東芝 TP-72328~9
発売: 1983年
A1 E.T.のテーマ 🅰→23/11/17
A2 炎のランナー
A3 素直になれなくて
A4 ブルー・ハワイ
A5 南国の夜
A6 プロテクション
A7 いそしぎ
B1 悲しき雨音 🅱
B2 ハワイの結婚の歌 🅱
B3 月の夜は
B4 小さな竹の橋
B5 サーフィン・U.S.A.
B6 ガール・イズ・マイン
B7 引き潮
C1 黒い瞳のナタリー 🅰→23/11/17
C2 愛と青春の旅だち
C3 オール・ライト
C4 港の灯り
C5 珊瑚礁の彼方
C6 夕陽に赤い帆
C7 波 🅱
D1 君の瞳に恋してる 🅱
D2 ニューヨーク・シティ・セレナーデ
D3 アレンタウン
D4 汚れた英雄
D5 マンイーター
D6 ハートブレーカー
D7 アロハ・オエ
演奏: 奥田宗宏とブルースカイ・ダンス・オーケストラ
編曲: 高野志津男、山本有信、五十嵐謙二
定価: 4,600円
1年を締めくくるのに相応しい「今宵踊らん」。82年末のヒット曲を中心に、洋楽のみでまとめた異色作で、ポップなイメージを醸し出すジャケットの割に、メインターゲットはいつもの客層、というか原曲自体もはや「おまけ」なんでしょうね。分裂症状としか思えない曲の配列、なのにちゃんとカラーが統一されていて、さすがこの長寿シリーズ。慣れた者には安堵感しか感じられません。早速踊ってみることにしましょうか。
まずは82年末に空前の大ヒットを記録した「E.T.」のテーマ…なんですけど、天空を駆けるというよりクイズ番組のテーマ、当たったら世界一周、みたいなイメージで、ペースセッターとしては文句なしなんだけど、映画に感じられたロマンはどこにいっちゃってるのでしょうか…「炎のランナー」もなんか、長閑に走っちゃってる感じだし、「素直になれなくて」にも脱力感が。そこから違和感なくハワイの自然に導かれていく。ハワイ音楽のファンとしては、どれも曲名が即答できるくらい親しみがある曲なので、そんなに憤りは感じないのだけど、全体の流れの中に馴染んでる感じがいまいちない。アウトドアで踊るには向いてないんだよね…そして、6曲目「プロテクション」。黄昏みゅうぢっくには初登場となるブルース・スプリングスティーン作品!と言っても、初登場は82年に出たドナ・サマーのアルバム。ディスコ経由で野暮ったい境地に着地していて、出だしがまるで「リバーサイド・ホテル」のように聴こえる。このドナ・ヴァージョンをプロデュースしたのが、本年度音楽界で最大の損失と言えるクインシー・ジョーンズだ。彼のプロデュース作品はもう一つ、ポール&マイケルの「ガール・イズ・マイン」も選ばれている。かのモンスター・アルバム「スリラー」からの第1弾シングルで、いまいち影が薄くなってしまったけれど、当時は大騒ぎしたものです。結果的には「ビートルズの著作権をめぐる歌」とさえ言われることになりましたが…ここでは仲良く踊ろうよ、って感じにアレンジされてますね。それに先立つのが、こちらも著作権関係で揉めた「サーフィン・U.S.A.」というのも皮肉。ここでは明らかにジミー竹内とわかるドラムが炸裂したイケイケアレンジ。その後もコンテンポラリー洋楽ヒットとハワイアン、スタンダードが入り乱れていきます。今年のSNSを舞台とした音楽関連の騒ぎの中で、具体的曲名が浮上して注目された曲の一つ「君の瞳に恋してる」も、メッセージ色の濃い「アレンタウン」も、淡白にアレンジされると余計JETを連想せずにいられなくなる「マンイーター」も、同じまな板の上で仲良く料理。ディレイ効果を使った「マンイーター」のサックス・ソロが再現されているところにはニヤリですね。そして、年の瀬を締めくくるに相応しい「アロハ・オエ」で大団円。もう、こんな風に踊りながら年を明かすなんて、それこそが真のピースフル・ワールドなはずなのに…誰もやろうとしなくなりましたね…いくら悲しい別れでも、新しい年の到来と共に新たな出会いとなり蘇るのです。「黄昏みゅうぢっく」も絶対、そんな風に。それでは、また逢う日まで…良いお年を…