黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

レッツ・社交ダンス・アゲンそして…

東芝 TP-72386~7

今宵踊らん ベスト・ヒット’83~’84

発売; 1983年

ジャケット

A1 探偵物語 (薬師丸ひろ子) 🅱

A2 さざんかの宿 (大川栄策)

A3 細雪 (五木ひろし)

A4 黒い瞳のナタリー (フリオ・イグレシアス) 🅱

A5 プリーズ・テル・ミー・ナウ (デュラン・デュラン)

A6 流れ星 (松山千春)

A7 君に、胸キュン。~浮気なヴァカンス~ (YMO) 🅱

A8 ミスター・ロボット (スティクス)

B1 Tシャツに口紅 (ラッツ&スター)

B2 君は完璧さ (カルチャー・クラブ)

B3 釜山港へ帰れ (チョー・ヨンピル)

B4 禁区 (中森明菜)

B5 キャッツ・アイ (杏里)

B6 想い出がいっぱい (H20)

B7 め組のひと (ラッツ&スター) 🅱

C1 夢芝居 (梅沢富美男)

C2 矢切の渡し (細川たかし)

C3 冬のリヴィエラ (森進一)

C4 ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ (松任谷由実)

C5 初恋 (村下孝蔵) 🅲

C6 フラッシュダンス~ホワット・ア・フィーリング (アイリーン・キャラ)

C7 E.T.のテーマ (ジョン・ウィリアムズ)

C8 氷雨 (日野美歌)

D1 そんなヒロシに騙されて (高田みづえ)

D2 時をかける少女 (原田知世) 🅳

D3 ボヘミアン (葛城ユキ)

D4 悲しい色やね (上田正樹)

D5 ガラスの林檎 (松田聖子)

D6 君はTOO SHY (カジャグーグー)

D7 めだかの兄妹 (わらべ) 🅱

 

演奏: 奥田宗宏とブルースカイ・ダンス・オーケストラ

編曲: 高野志津男、山本有信、五十嵐謙二

定価: 4,600円

 

予期せぬ訃報にまた更新スケジュールが揺さぶられました…この「今宵踊らん」、ぎりぎり3ヶ月ルールにひっかからないながら、当初次候補としてよけておいたのですが、先月の2大訃報により繰り上げ、レコード番号が一番でかいので30日に語れるようスタンバっていたのですが…三浦徳子さん絡みのネタが辛うじて2枚残っていたので、まずこちらの方を急遽、引っ張り出すことにしました。作詞家として忘れ難い名曲をいくつも残されていますが、てっきり忘れていました、Magic play is dancingといういろんな意味で印象に残るフレーズを編み出したのも、この方だっていうことを…ご冥福をお祈りします。

 

そのCAT’S EYEを含め、83年発大ヒットの数々をブルースカイ印のまな板に乗せて料理しまくる2枚。これは恐らくジャンクコーナーには出てこないだろうと読みつつ、早くから気になっていた作品でしたが、理由は見ての通り、大瀧詠一作品が3曲も入っているからです。それぞれ違った世代を狙いながら、音の錬金術師ぶりをまざまざと見せつけたこれらの曲が、意外にこの社交ダンスのムードにハマっているのですよ。そんな大瀧さんやYMO周辺、ユーミン、そしてシティポップ再発見で人気再燃中の杏里といった、80年代流の「NOW」な曲から、演歌、韓国歌謡、はたまた今や80年代ジャンクカルチャーを象徴する1曲となった「ミスター・ロボット」を始めとする洋楽、そして映画音楽までが、一つの地平の上で統一され、そして踊らせる。このシリーズにしかなし得ない魔力が、最も効果的に糸を引くセットです。ミュージシャンクレジットも載せられていますが、この時点でもまだドラム叩いてるんですよね、ジミー竹内さん。77年くらいから自らのリーダー作は出ていませんが、その後もこのシリーズではじけ続けていたようです。特に「プリーズ・テル・ミー・ナウ」は破壊力抜群。ラテン系のノリを取り入れた異様なアレンジを盛り上げています。「流れ星」も一瞬「急いで!初恋」かと錯覚させるノリノリのアレンジ。最後「めだかの兄妹」をまさかのムーディなアレンジで盛り上げ、いたずらっぽい仕掛けも施しているし。大人の階段を登り切った世代以外にも優しく伝わる、限りない社交ダンスの魅力満載。