黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

カート没後30年にて、ティーンスピリットに想いを馳せる

CBSソニー 18AH-229

最新歌謡ベスト18

発売: 1977年

ジャケット

A1 イミテイション・ゴールド (山口百恵)Ⓐ 🅰→21/8/28

A2 帰らない (清水健太郎)Ⓐ 🅱→21/8/28

A3 風の街 (ハイ・ファイ・セット)Ⓑ 

A4 沈黙 (野口五郎)Ⓐ 🅳

A5 恋愛遊戯 (太田裕美)Ⓑ 🅱

A6 カルメン'77 (ピンク・レディー)Ⓒ 🅲→21/8/28

A7 五月のバラ (塚田三喜夫)Ⓒ

A8 悲恋白書 (岩崎宏美)Ⓐ 🅳

A9 能登半島 (石川さゆり)Ⓒ 🅵

B1 渚のシンドバッド (ピンク・レディー)Ⓐ 🅱→21/8/28

B2 気まぐれヴィーナス (桜田淳子)Ⓑ 🅲

B3 雨やどり (さだまさし)Ⓑ 🅰→21/8/28

B4 失恋レストラン (清水健太郎)Ⓒ 🅴

B5 暑中お見舞い申し上げます (キャンディーズ)Ⓐ 🅰→21/8/28

B6 硝子坂 (高田みづえ)Ⓐ 🅰→21/8/28

B7 夢先案内人 (山口百恵)Ⓒ 🅱→21/8/28

B8 悲しきメモリー (郷ひろみ)Ⓐ

B9 ひとり芝居 (布施明)Ⓒ 🅱

 

演奏: クリスタル・サウンズ

編曲: 矢野立美Ⓐ、武市昌久Ⓑ、松井忠重Ⓒ

定価: 1,800円

 

ポーリュシカ・ポーレ」や「知床旅情」が素直に聴けない曲になってしまったのと全く別の理由で、今積極的に言及すべきじゃない曲となってしまった能登半島。寧ろ、聴いて応援とか歌って応援したい気持はあるのだけど、それを表にしただけで、対立感情を持つ者が湧いてくる危険性があるのだ。全く、こんな時代に誰がしたのだ。歌謡界は平和であって当然じゃないのか…と言いたいけれど、この盤が登場した昭和52年の芸能界こそ、ピースフルと程遠い世界だったし、そんな要素を後々まで引きずった歌手の曲が、ここには2曲も含まれているではないか…もう一人、素直に口にできない歌手名も含まれているし。

「歌のない歌謡曲」は、一切そんなことを考えずに聴けばいいものである。歌手もいないし、歌詞もない。ただ、いい演奏さえあれば曲の魅力が伝わってくるし、素材として上出来な曲ばかりである。そんな曲に恵まれた時代が羨ましいとしか言えない。そんなわけで、たまには「津軽海峡冬景色」や「天城越え」ではない曲を、紅白で歌ってくださいよ石川さゆりさん。

というわけで、1977年夏の無邪気な記憶を蘇らせてくれるクリスタル・サウンズのアルバム。この時期のリリースに関する詳細を調べることがどうしてもできなくて、出てくるだけで有難かったので。多くの曲をクラウンやミノルフォンのヴァージョンで聴いてはいるけれど、このクリスタルな軽さに接するとホッとするし、やはり安心のブランドですね。既に取り上げた総集編2枚組に再利用されなかった曲では、まずシティポップ色に彩られた「風の街」に耳が留まる。クラウン盤のライトな感じに比べて、慎重に綴られている「恋愛遊戯」「悲恋白書」も、曲のフレッシュさが伝わりやすいし、最後2曲で際立つフルートとピッコロのオクターブユニゾンが、このアルバムの若々しさを象徴する音になっているようだ。「暑中お見舞い申し上げます」にも、合いの手のコーラスに呼応した音として出てくるのだけど、「うーっふーん」に該当する音がないのが惜しい。そこはスライドホイッスルを使えばいいのに…あと、スチール・ギターに代わる音がシタールっぽいのも面白い。「硝子坂」「夢先案内人」のフルートもフレッシュな音だけど、後者の方はやっぱクラウン盤の圧勝かな。

さて、これに先立つクリスタルの77年必殺盤もようやく手に入ったけれど、そちらは次の復活戦まで隠しておきます…以前2時間自動延長して競り負けたのは一体何だったのだろう…

心をくすぐるチャンネル切り替え音と琴の響き

ホメロス 16H-144 (8トラック)

琴が謡う最新歌謡16曲 愛する人はひとり

発売: 1971年

ジャケット

1-1 愛する人はひとり (尾崎紀世彦) 🅼

1-2 ポーリュシカ・ポーレ (仲雅美) 🅷

1-3 地球はひとつ (フォーリーブス) 🅱

1-4 愛があれば (湯原昌幸) 🅴

2-1 水色の恋 (天地真理) 🅺

2-2 ノアの箱舟 (平山三紀) 🅳

2-3 初恋 (舟木一夫)

2-4 青春の旅 (森田健作)

3-1 誰も知らない (伊東ゆかり) 🅺

3-2 知床旅情 (加藤登紀子) 🅾

3-3 望郷 (森進一) 🅹

3-4 女の意地 (西田佐知子) 🅺

4-1 君をのせて (沢田研二) 🅳

4-2 すべてを愛して (内山田洋とクール・ファイブ) 🅴

4-3 美しく燃えて (小川知子) 🅱

4-4 悲しい女と呼ばれたい (日吉ミミ) 🅲

 

演奏: 山内喜美子/オーケストラ名未記載

編曲: 無記名

定価: 2,800円

 

遂に禁断の領域、8トラックに進出してしまいました…昨年夏、歌無歌謡ではないものの、気になる内容のテープが含まれる8トラックのまとめ売りを落札してしまい、聴く術もないのにどうしようと思っていたところ、とあるリサイクルショップでジャンク品のプレイヤーに遭遇。動作確認に関するコメントが全く添えられていず、大いなる賭けのつもりでそれに投資。持ち帰って何とか通電するのを確認し、いよいよテープを投入。ちゃんと音が出てきて感動しましたよ。もちろん、ジャンク品ではあるのでめちゃノイズが出ているけれど、我慢できる部類には入るし。昨今話題のAIプログラムを使えば、この種のノイズも完璧に除去できるのでしょうか…

音が聴けると解ったら、当然弾を増やしたくなるわけです。というわけで、当然山内喜美子さんのお出ましですよ。既に何作かカセットを紹介しているホメロス・レーベルからのリリース。本社は名古屋にあったのでしょうか。このレーベルの音源は、CD時代になってからも幾度かリサイクルされているようで、未だ近付き難い勢力の方が原盤権を有しているかもしれません。そこから配信に流れていたりして。各プログラムが8分30秒程度に抑えられており、テープの長さに符合するように無理やり曲を編集しているような感が否めないのですが、それはしょうがないなということで。でも、歌無歌謡のようなフォーマットが、最も8トラックに向いていたんじゃないかなと実感させられるのです。71年後半のヒット曲が中心で、歌無歌謡アルバムの常連曲が手堅く並べられていますが、そんな中に「初恋」があると色めきだちますよ。同年4月にリリースされた可愛和美の曲ではないかと、一瞬推測してしまうし。実際は舟木一夫の曲の方でした(作詞は島崎藤村)。オリジナル盤にも山内さんが演奏しているクレジットがあるし、選曲した側にもこだわりがあったのでしょう。全体的にはマイナーレーベル色の濃い演奏をバックに、手堅く主旋律を弾いているというイメージで、本来の音で伝わってくれば感想も変わってきそうだけど、彼女の持ち味は充分発揮されています。「誰も知らない」のイントロとか鮮やかすぎるし、このラインナップに「地球はひとつ」とかノアの箱舟が入っているのも胸熱。テイチク盤で聴けなかった知床旅情も純情たっぷり。「君をのせて」も意外に琴に合うのですよね。このジャケットは当然本人ではなさそうですが、なかなかガチな押さえっぷりです。

群れにはぐれた歌無歌謡バンドの姿は一体

ミノルフォン KC-30

走れ!歌謡曲/最新ベストヒット14 命預けます

発売: 1970年10月

ジャケット

A1 命預けます (藤圭子) 🅼

A2 圭子の夢は夜ひらく (藤圭子) 🅼

A3 昨日のおんな (いしだあゆみ) 🅹

A4 男は三回泣く (畠山みどり)

A5 わたしだけのもの (伊東ゆかり) 🅷

A6 私生活 (辺見マリ) 🅺

A7 今日でお別れ (菅原洋一) 🅹

B1 心の旅路 (千昌夫)

B2 ロダンの肖像 (弘田三枝子) 🅸

B3 愛は傷つきやすく (ヒデとロザンナ) 🅹

B4 噂の女 (内山田洋とクール・ファイブ) 🅻

B5 希望 (岸洋子) 🅼

B6 わが青春に悔いなし (ジョイベルス東京)

B7 波止場女のブルース (森進一) 🅺

 

演奏: グローリー・プレイズメン

編曲: 森田公一

定価: 1,500円

 

歌無歌謡の世界からは、いかなる神秘が出てくるかわかりません…この盤、なんと森田公一氏がアレンジを担当しているという貴重な1枚。タイムラインに沿うと、作曲家としていよいよ頭角を現すかという時期、自らのバンドとしてトップギャランを結成し、そのシングルデビューを4ヶ月後に控えた時に発売されている。バンドのライヴ活動も軌道に乗ってきた頃、作曲活動と同様にちょちょいとこなしたと想像されるが、音を聴いていると安直なやっつけ仕事の色が全く感じられず、ディレクターの期待に応えての堅実な仕事ぶりが伺える。この頃になると、制作総指揮の座から遠藤実氏が一歩退いたのは確かであるのだが。

バンド名「グローリー・プレイズメン」は、恐らく67年までミノルフォンに在籍していた「トシ伊藤とザ・プレイズメン」とは関係ないと思われる。が、全体的なサウンドスタジオミュージシャン集団というより、手慣れたハコバン系バンドマンの演奏という色彩が強く、リズムセクションはそれぞれ異なるGSのメンバーとして研磨を積んだトップギャランのメンバーがそのまま引っ張られたのではなかろうか。そのあたりのヒントは、徳田満氏による力著「森田公一とトップギャラン」の中に隠れてさえもいなかったが。と言えども、ベースやドラム以上に、フルートやヴァイオリン、キーボード類の活躍が目立ち、特にフルートはあまり歌無歌謡のレコードで聴けない類の音になっている。スタジオ・プレイヤーというより、強者のハコバンメンバーを引き抜いてきたという感じ。それこそ沢村和子か…と思ったが、彼女のプレイにそこまでのぶっとさは感じないし。この手のコンボ・サウンドの中に、孤高なヴァイオリンの音が聴かれる例も珍しい。ミュージシャンの選択にまで、森田氏の個性が反映されたというところだろうか。深夜放送的なドライヴィング・ミュージックをイメージして聴くとやけどしそうな1枚である。選曲の方は当然ディレクター任せだったと思われるけれど、作曲家としてそれらを吟味しつつ、独自のタッチを加える森田氏の鬼ぶりは、想像を遥かに越えている。

例えば「命預けます」は、任侠色を残しながらもラウンジ的な軽妙さが加わっており、それを背にしてのフルートの凄みが只者ではない。派手な赤で飾った花魁が暴れ回る様子が想像でき、そこに絡んでくるヴァイオリンの音がその凄みを和らげてくれる。「夢は夜ひらく」もジャジーなブルース仕立てだし、「今日でお別れ」はワルツとレゲエっぽいビートが交錯して不思議な解釈。「噂の女」は場末感を保ちながらも、パーカッションが派手な躍動感を加味していて異色の出来だ。サイケ色さえ伺える「我が青春に悔いなし」も意外な選曲。「波止場女のブルース」でも、サイケ色がより加速していて、絶妙の幕引きだ。

これと同じ月に、上原ことみ「女なんです」を手掛け、より実験的なサウンド・センスを発揮していた森田公一氏。このアルバムの方が添え物だったのだろうか。その曲がもっとヒットしていれば、この後もこの手のアルバムよろしくと声がかかったかもしれない…ロマンの価値を知らなかったのは、ライト兄弟だけじゃなかったんだよね(謎)。

歌謡フリー火曜日その47: 追悼…スティーヴ・ローレンス

ユニオン CJP-1050~1

トップ・オブ・ザ・ポップス・ベスト28

発売: 1971年

ジャケット

A1 霧の中の二人 (マッシュマッカーン)

A2 太陽は燃えている (エンゲルベルト・フンパーディンク) 🅲

A3 魔法 (ルー・クリスティ)

A4 ミスター・ロンリー (レターメン) 🅱

A5 移民の歌 (レッド・ツェッペリン) 🅱

A6 ハロー・リヴァプール (カプリコーン) 🅱

A7 サインはピース (オーシャン)

B1 ある愛の詩 (フランシス・レイ) 🅵

B2 シーズ・ア・レディ (トム・ジョーンズ) 🅲

B3 マイ・スウィート・ロード (ジョージ・ハリスン) 🅴

B4 喜びの世界 (スリー・ドッグ・ナイト) 🅱

B5 薔薇のことづけ (ジリオラ・チンクェッティ)

B6 ローズ・ガーデン (リン・アンダーソン) 🅴

B7 さすらいのギター (ザ・ベンチャーズ) 🅹

C1 メロディ・フェア (ビー・ジーズ) 🅴

C2 ポーリュシカ・ポーレ (赤軍合唱団) 🅶

C3 ブラック・マジック・ウーマン (サンタナ) 🅲

C4 愛のために死す (シャルル・アズナヴール) 🅱

C5 雨のフィーリング (フォーチュンズ) 🅱

C6 アメリカ (サイモン&ガーファンクル) 🅱

C7 サマー・クリエイション (ジョーン・シェパード) 🅱

D1 バングラ・デシュ (ジョージ・ハリスン) 🅱

D2 黒い炎 (チェイス) 🅲

D3 シェリーに口づけ (ミッシェル・ポルナレフ) 🅲

D4 涙のハプニング (エジソンライトハウス) 🅱

D5 ゴー・アウェイ・リトル・ガール (ダニー・オズモンド)

D6 出ておいでよ、お嬢さん (ポール&リンダ・マッカートニー)

D7 イン・ザ・モーニング (ビー・ジーズ)

 

演奏: ユニオン・シンギング・オーケストラ

編曲: 無記名

定価: 2,000円

 

復活2日目にして早くも「歌謡フリー火曜日」です。今回も仕方なく洋楽ヒット曲を取り上げたものが中心となるのですが、それ以外にいいネタが巡ってこないんですよね…選球眼にもよるのですけど。

昨年11月14日紹介した『ドラム・ビート・ドラム』に続くユニオンの2枚組で、その作品と8曲被っているが、内容的には好対照と言えるもの。楽団名を見ると、69年に乱発された「シンギング・サウンド」シリーズの名残が濃い音が展開されているのかと思いきや、それなりに冒険的な展開も随所に見られて、むしろ全体的な印象は11月28日紹介したワーナー・ビートニックスのアルバムの方に近い。そちらとも6曲被っているけれど、アレンジの傾向は変わっているし。アレンジャー・クレジットがないのが謎だけど、池田孝氏という線はなさそう。ラブ・サウンド的な方向に行きつつ、躍動感を生かし、かつ実験的な味付けが効いている。

冒頭の「霧の中の二人」だが、79年までのオリコン1位曲の歌無盤が全部揃ったと思いきや、洋楽で手に入っていなかったのが2曲あって、その内の片方。それだけでも安心する…意外にもムーディなイントロで始まっているが(日本盤シングルで非情にもカットされた元々のイントロとは全然違う)、次第にビートが効いていつつも甘美なサウンドへと様変わりする。チープなラブソングの面影はどこへやら…と思っていると、ヴァイオリンを電気処理したサウンドが登場して意表を突いてくる。最初はコルネットヴァイオリンかと思った…けど、これは絶対アンプを通した音だし、斬新な試みだ。「黒い炎」で聴こえる、レズリーを通したフリーキーなプレイもどうやらヴァイオリンのようで、ここまでできる人が一体どこに隠れていたのだろうか…驚愕の選曲「出ておいでよ、お嬢さん」ではフランジャーまでかましてしまうし、ガチプレイヤーの意外な冒険心が伝わってくる。こちらも日本独自の大ヒットとなった「魔法」もついつい口ずさんでしまうし、ミスター・ロンリーのハーモニカの音も萌え心をくすぐる。『ドラム・ビート・ドラム』にも収録されていたZEPの「移民の歌」は、ガチロック色を感じさせないながら心を揺らすアレンジ。途中フリーキーな間奏を挟み込んだりして、決して呆れさせない出来だ。ここでもディストーション(?)の効いたヴァイオリンが暴れている…スペクター色が一掃された「マイ・スウィート・ロード」に萎え気味になっていたら、続く「喜びの世界」歓喜。ビートニックス版「青空は知らない」で聴かれたのと同じ笛の音で、フットワークの軽いリードが聞こえてくるし、グルーヴィなリズムに負けていないストリングスのプレイも心弾む。間奏やエンディングで聞かれる笛のアドリブもびっくりもので、これはジャズ心のあるプレイヤーでなきゃできない演奏だな。ということは、自らのリーダー作でもあらゆる笛を取り出していた横田年昭氏あたりのプレイだろうか。こういうのを、昨今のいきのいいフルーティストの演奏に期待してしまうんですよね。「さすらいのギター」ポーリュシカ・ポーレなどの解釈も、歌無歌謡で聴けるそれとは一線を画すし(でもやはり、欧米のヒット曲に混じって聞こえてくると違和感が)、前述した通りのフリーキーなプレイが先導する「黒い炎」もオリジナルを越える破壊力だ。まぁ原曲が「花嫁」や「知床旅情」でない分、衝撃度は薄れるけれど…もう一つ、激萌えなのがシェリーに口づけ」。イントロのコーラスをフルートのアンサンブルで聴かせた後、こちらはより本来の味で吹かれるリコーダーが。71年の段階でちゃんとフィーチャーしていたのが偉い。2コーラス以降はサポートに回るのが惜しいけれど、早いフレーズを楽しそうに吹いている。やはり、学生アルバイトにはできないプレイだな(汗)。まぁあれ(何?)もあれでいいのだけど。このヴァージョン、残念なのはあのメロトロンのフレーズがないことだけだ(例えメロトロン以外の楽器でプレイされていようがだ…)。かと思えば「涙のハプニング」は「あずさ2号」みたいなサウンドになっているし。これもまた、アレンジの妙味。 「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」もラブリーすぎるし。「ミスター・ロンリー」や「イン・ザ・モーニング」にアルトリコーダーを幻聴してしまいそうですが、そこまで含めてイマジネーションを刺激してくれる、高度なサウンドが聴ける2枚組。

黄昏3周年!歌無歌謡を語る資格再発!(汗

テイチク SL-6

鶴岡雅義 魅惑のレキント・ギター 愛に散りたい

発売: 1969年

ジャケット

A1 愛に散りたい (鶴岡雅義と東京ロマンチカ)Ⓐ 🅱

A2 港町・涙町・別れ町 (石原裕次郎)Ⓑ 🅷

A3 霧にむせぶ夜 (黒木憲)Ⓑ 🅸

A4 今は幸せかい (佐川満男)Ⓐ 🅸

A5 朝のくちづけ (伊東ゆかり)Ⓒ 🅶

A6 小樽のひとよ (鶴岡雅義と東京ロマンチカ)Ⓓ 🅶

B1 旅路のひとよ (鶴岡雅義と東京ロマンチカ)Ⓐ 🅴

B2 恋の季節 (ピンキーとキラーズ)Ⓑ 🅸

B3 知りすぎたのね (ロス・インディオス)Ⓒ 🅺

B4 釧路の夜 (美川憲一)Ⓒ 🅷

B5 花はまぼろし (黒木憲)Ⓒ 🅶

B6 夕月 (黛ジュン)Ⓒ 🅻

 

演奏: 鶴岡雅義/テイチク・レコーディング・オーケストラ

編曲: 笠原公平Ⓐ、福島正二Ⓑ、山倉たかしⒸ、鶴岡雅義

定価: 1,500円

 

昨日「明日は知らない」と締め括った通り、またまた予期せず復活する黄昏みゅうぢっく!思ってみれば、3年前の昨日開設したのでした。そこから休む間も無く、目標427枚(+38枚)を語り尽くし、その後も度々の復活でさらに85枚(+10枚)を上乗せ。どうやら本当に1327枚に達する気配さえしてきましたが、そこまであと何年かかるのやら。とりあえず、この4月に語るべきネタが30作(内5作は洋楽)揃いました。当然、3ヶ月ルールは厳守していますので、次の復活予定はまだ読めていません。今回は遂に、禁断の領域である「アレ」が登場しますので、覚悟のほどを…そして、前回の復活同様、紹介は基本的にレコード番号順に行います。

稲垣次郎氏の訃報に触れて、一体歌無歌謡の真実を語れる者がどの位生き残っているか不安になったところですが、今日の主役鶴岡雅義さんは驚くべきことに現役ばりばり。近年は「はやぶさ」の新曲を手がけて、作曲家としても全く勢いを緩めていないし、彼らのMVにも登場してピンピンの生命感を証明しています。もう55年前にリリースされたこのアルバムでは、早々と貫禄充分の姿を見せているのですが、本当頼もしいし、少しでも見習わなければ。自らのバンドで大ヒットを連発する傍らで、こうやって余裕綽綽のインスト盤を出せるという、時代の豊かさはもう戻ってこないでしょうけど…歌無歌謡の火は、絶対消しちゃいけませんよ。「演ってみた」は商売として成り立ってナンボですから。お嬢さんお手柔らかに…お嬢さんを口説く人は余計ですよ…

大ヒット「小樽のひとよ」を始め、自らのレパートリー3曲のリメイクを軸に、ムード歌謡寄りの作品を集めつつ、恋の季節で場末感の強いビート・サウンドに挑んだり、ジャケットのファッショナブルさに見合った音が展開されています。やはり山倉たかしアレンジの曲のくせの強さがアクセントになっているし、全体を安定したギター・サウンドが引っ張っていて説得力充分。やはり、ビッグネームの音は聴いてて安心できますね。この調子でバリバリ行きますよ今月も。

明日は知らない…稲垣次郎さんを偲んで

2024年度初更新となります。昨年度、宗内の母体にとってかけがえのない音楽的同志(奇しくもサックス・プレイヤーでもありました)を天に見送ったため、各方面への新年の挨拶を控えさせていただくことになりましたが、ここまでの3ヶ月間、それに匹敵する悲しい訃報が相次ぎ、前向きでいようという意欲が削がれ続けていました。

謡曲の流れからすると、最も悲しい損失は八代亜紀さんのそれでしたが、過去「黄昏みゅうぢっく」では2回も、そのレパートリーだけを集めたアルバムを取り上げていたので(それを上回る回数を取り上げたのはザ・ビートルズのみ)、わざわざ1曲だけ取り上げたアルバムを追悼のために引っ張り出すのは痴がましいと感じ、沈黙を保つことにしました。

それでも、やはり黙っていられなくなるケースは訪れるもので。今月上旬、日本のポピュラー音楽史に残る功績を残したサックス・プレイヤー、稲垣次郎氏の訃報が流れてきたときは、正にそうでした。享年90歳。

昨年までの更新で、実に70枚を数えた「サックス」カテゴリー。そのうち少なくとも9枚のアルバムに、稲垣さんのテナー・サックスやフルートがフィーチャーされていました。近年は本流であるジャズ・ファンク方面の仕事が再評価されていましたが、傍流と言える商業音楽系の仕事に於ける軽々としたフットワークも避けて語れないのです。特に歌無歌謡のレコードは雰囲気作りの素としてよく売れたため、そのご褒美として自分本来の音楽性が発揮できるレコードを作らせてもらえたという趣旨の発言が、晩年のインタビューに記録されたりもしています。勿論、セッション・ミュージシャンとして関わったレコードに、その名を見つけると意外な喜びに見舞われたりして。特に印象深いのが大瀧詠一関係のレコード、中でもシリア・ポール「夢で逢えたら」で聴ける蝶のように舞うフルートは、いつまでも心に残ります。

 

今回引っ張り出してきたビートルズのカヴァー・アルバムは、まさしく商業仕事と彼本来の持ち味の中間点にあたる作品というべきもの。実は彼の訃報を聞いた直後、用あって1998年の自分の日記を引っ張り出したのですが(正に「宗内世津のDuBiDuBiペーぢ」に熱中していた頃)、その年の8月14日にこのアルバムを買ったという記録があって、予期せぬ感涙に襲われていました。その時期、稲垣さんや他のスタジオの達人の名前を意識していた形跡があったなんて…ましてや、歌無歌謡のレコードなんて、7インチ33回転盤を2枚持ってただけだったはずです。レア・グルーヴ的に「和モノ」の一環としてこのアルバムに注目していたとも思えないし、恐らく買った理由は、収録曲の中に「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」が含まれていたことを、早々と認知していたからではないかと思われます。

この特異な曲は、リアルタイムの段階で早々とジャズ・インスト化された例が少なくとも二つあって、その1つが収録されたスティーヴ・マーカスの同名アルバムの再発CDを当時よく聴いていたのも、これの購入に走らせた理由かもしれません。先のインタビューでもスティーヴに言及されていて、ここでの選曲に影響を与えたのが窺い知れます。過去3回、ビートルズ・ナンバーだけを取り上げたアルバムを「歌謡フリー火曜日」で紹介していましたが、それらと同じ流れで取り上げるにはあまりにも「ガチ」すぎるため、意図的によけていた感があります。今、こうして聴いてみると、ビートルズがまだまだ現役最前線(と言っても、最後の録音アルバム『アビイ・ロード』の国内発売に僅か先駆けてのリリースではありましたが)だった時代の空気が、時に場末的な色彩を伴って伝わってくるし、その点では数多の歌無歌謡のアルバムに混ぜて聴いても違和感がないと思います。『’72ヒット曲要覧』に選曲された一連の曲で過激なアレンジの腕を奮っているベーシスト、荒川康男氏がここでもアレンジの中心になっていて、過激なアフロ・ファンク色を押し出すのは控えているものの、そこここにビートルズでは聴けなかったタッチを加味していて、ヤバいとは言えないけれどユニークさは感じられます。ポピュラー色の濃い曲ではそれこそ「営業仕事」に徹したアレンジが聴けて、特に65年以前の6曲にはそれが顕著。「オブラディ・オブラダ」はむしろザ・カーナビーツ版に準じたアレンジだし、一方「フール・オン・ザ・ヒルは敢えてセルメン方向に走っていないし。しかし、問題の「TNK」で予想通りの方向に舵を切ります。幻覚的タッチを拡大したスティーヴ・マーカス盤に敢えて寄り添わず、独自のダウナー感覚でサイケ感を再構築、いつの間にかフリー・ジャズの色に侵食されていきます。これが一般的認識上のジャズアルバムであれば、12分とか15分とか続いたはず。それを敢えて3分以内に凝縮して、この流れに組み込むことを許したのは、やはりナイアガラの育ての親、谷川氏でした。彼がデノンで手掛けたインスト仕事のアンソロジーとか、実現できないでしょうか…今コロムビアと濃厚なコネクションがあれば、是非やりたいのですが…

A面の残り2曲も予想通りサイケ色が残ったジャズ・ファンク仕立てで、70年代以降の洗練されたタッチは期待できないものの、ビートルズを通して見たプリミティヴなソウル感が伝わってきます。「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」もそれこそパワーハウス版みたいなロウダウン・ブルースで聴きたかったものですが、さすがにそこまでは…それにしてもこの曲を今聴くと、複雑な気持ちに襲われますが。ポールの「フリーダム」さえ、もうこんな世の中じゃ平和讃歌として受け止められません。一昨年の9月11日、ライヴ・イベントでその曲を流した時には、そんな気配さえ微塵も感じなかったのですが…

 

改めて、稲垣次郎さんのご冥福をお祈りします。さて、トゥモロー・ネヴァー・ノウズとは言いますが、明日はエイプリル・フールであり、黄昏みゅうぢっく開始3周年(厳密には今日)ですので、何かが起こるとは予告しておきますね…

 

デノン CD-4003

ビートルズ・ヒット!ヒット!

発売: 1969年9月

ジャケット

A1 オブラディ・オブラダ 🅵

A2 フール・オン・ザ・ヒル 🅴

A3 抱きしめたい 🅳

A4 エスタデイ 🅶

A5 トゥモロー・ネヴァー・ノウズ

A6 レディ・マドンナ

A7 レイン

B1 ヘイ・ジュード 🅴

B2 バック・イン・ザ・U.S.S.R.

B3 シー・ラヴズ・ユー 🅳

B4 アンド・アイ・ラヴ・ハー 🅴

B5 ミッシェル 🅳

B6 ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア 🅱

B7 プリーズ・プリーズ・ミー

 

演奏: 稲垣次郎とリズム・マシーン

編曲: 荒川康男/稲垣次郎

定価: 1,500円

 

大晦日!ベスト10追加曲検証の巻

というわけで、真の千秋楽がやってまいりました。予告した通り、昨年カウントダウンした上位10曲のラインナップに変動はありませんでしたが、7位以上がドラマティックに入れ替わっています。微々たる数のヴァージョン追加であろうがこの結果とは。というわけで今日は、6月と11月の一時的復活で追加されたヴァージョンを総まとめしてみます。

 

10位 (⇅10位)

旅の宿 [吉田拓郎] (72/#1) 18ヴァージョン/21枚

🆁石川鷹彦とそのグループ (編曲: 青木望) 23/6/16

ギターのストロークペースが通常の1/2になっている、まったりヴァージョン。小室等とのコラボアルバムが第二版を迎えた時に追加された曲の一つだが、彼の存在感はあまりなく、バックのスライドプレイも石川氏だろう。またしてもフルートがフィーチャーされており、気怠いプレイ。「フォークにっぽん」のクレジットは確認できていないが、木田高介氏の可能性も。ヴァイブは違う人だろう。ちなみにそのアルバムでは「からっぽの世界」も演っています…

 

8位 (タイ) (⇅8位)

襟裳岬 [森進一] (74/#6) 19ヴァージョン/22枚

🆂コロムビア・フォーク・アンサンブル (編曲: 小杉仁三) 23/11/25

一瞬ジブリの某曲かと思わせるイントロで始まる、清純フォークヴァージョン。さすがにフォークのアルバムで森進一のアレンジは使えないだろう(ビクター盤では使ったが)。ミスター昔の名前こと小杉さんのアレンジは手堅いが、やはり強烈にメロトロンを恋しくなる曲だ。

 

8位 (タイ) (⇅8位)

京のにわか雨 [小柳ルミ子] (72/#1) 19ヴァージョン/22枚

🆂松浦ヤスノブ/オーケストラ・プラッツ (編曲: 竹田喬) 23/11/15

竹田アレンジなので山内さん大活躍と期待したら、まさかの意表を突くオープニング。オリジナルとテイストの違うイントロも、バックの演奏も忠実にこなす職人ぶり(断定できないけどする!)。ハーモニカとか入って不思議なサウンド作りだが、所々コードが変わっているところに不安定感も。

 

7位 (↓4位)

時には母のない子のように [カルメン・マキ] (69/#2) 19ヴァージョン/23枚

ベスト10中、唯一新規ヴァージョンがなく、派手にダウンしました…せめて、ジャケットだけでも。(ヴァージョン🅰収録)

『時には母のない子のように 哀愁のギター・ムード』

6位 (⇅6位)

白いブランコ [ビリー・バンバン] (69/#15) 20ヴァージョン/20枚

🆃石川鷹彦/ニュー・ミュージック・オーケストラ (編曲: 大柿隆) 23/11/20

前年度19ヴァージョン中8つが非リアルタイムでしたが、これもそう。75年録音で清らかなオーケストラサウンド。石川氏のプレイも職人に徹している。ポール・モーリア以降ではないとできないアレンジだな。フルートは誰だろう(木田氏では絶対ない)。

 

5位 (↓3位)

風 [はしだのりひことシューベルツ] (69/#2) 21ヴァージョン/21枚

🆄石川鷹彦とそのグループ (編曲: 青木望) 23/6/16

71年の革新的アルバム収録ヴァージョンにしては、スタンダードなアレンジ。当然、原曲をやった人だものしょうがない。同好会の人もこんな風に、ストリングスを従えて演れたら…という憧れを感じさせるアレンジだ。但し、終盤でタンゴに行っていない。

 

4位 (↓2位)

瀬戸の花嫁 [小柳ルミ子] (72/#1) 21ヴァージョン/26枚

🆄ザ・ゴールデン・ブラス (編曲: 鈴木邦彦) 23/6/25

一瞬、黒い炎が上がりそうと思わせといて、メロウに進行するブラスサウンド。故郷に取り残された幼い弟のメランコリーが静かに炸裂していく…

 

3位 (↑5位)

港町ブルース [森進一] (69/#1) 22ヴァージョン/23枚

🆃カンノ・トオルとブルー・クインテット/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 福島正二) 23/6/12

ここからが急上昇パート、69年のアルバムが大挙追加された効果が出ています。🅺の鶴岡雅義盤と同じようなアレンジながら、奏者の個性がくっきり判別。どっちも同じようなプレイ、と片付けちゃいけないのですよ。タッチに個性が出ているので。こっちの方が若干水商売色あるかな。「伊勢佐木町ブルース」と同じアルバムに入っているし。

🆄ヒット・キット・アイランダース (編曲: ?) 23/11/29

ハワイアン・サウンドで奏でられるとやはり異国の港という感じがするが、場末色は濃い。軽いメロディこなしだけど、中の人がオッパチさんという説にちょい疑問も。

🆅ホセ・ルイスとロス・ルンべロス (編曲: 無記名) 23/11/30

ミックが叫び出しそうなイントロから、意表を突くラテン・ビートへ。さわやかに冴えまくるフルートは、下世話なブルース色を一掃している。やはり沢村和子なのだろうか…

 

2位 (↑6位)

禁じられた恋 [森山良子] (69/#1) 23ヴァージョン/23枚

🆃木村好夫とフォーク・サンズ (編曲: 木村好夫) 23/6/18

上位2曲は奇しくも、同じラインナップの4ヴァージョンが追加。しかも、山上路夫ワンツーフィニッシュに変わりがありません。これは凄い。彼の生命力共々称えたいです。これはサブスクにもあるレインボー・オーケストラのヴァージョン🅵によく似ている(レーベルも同じ)が微妙に違い、好夫の12弦プレイを堪能できる。フルートも小気味よく絡み、全体的に軽めのサウンド。キハーダも使用。

🆄松浦ヤスノブ、テイチク・ニュー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 23/11/13

ヘヴィな山倉サウンドが地獄へと誘う、と思いきやキハーダの代わりにハープが入り、ヘヴンリーなムードも。執拗なテナーの向こう側に清らかな涼川先生の歌声を夢想するのだ…テナーを引っ込めた2番もマジカルに誘惑する。この人にはほんと脱帽です。

🆅ヒット・キット・アイランダース (編曲: ?) 23/11/29

せこい楽園サウンドは執念のかけらも感じさせず、ありふれた風景へと連れ戻してくれる。キハーダの箇所に何も(ブレイクさえ)入れてないのは珍しいし、このプレイはオッパチさん色が濃厚。フルートはまさか沢村さんじゃないですよね…

🆆ホセ・ルイスとロス・ルンべロス (編曲: ?) 23/11/30

こちらはオリジナルのジャングル色をさりげなく強調。2小節毎に律儀にキハーダが入っているし(Bメロを除く)、フルートのメロも若干飾りあり。ベースまでジャングルビートに徹しているのも面白い。と思ったら、2コーラスで正統派ラテンサウンドへ。「ふっ!」とか言ってくれたら、ピーターパン特定しちゃうよ(汗)。でもほんと、この清らかなフルート、ラテン野郎というより沢村さん色を妄想できる(瀧汗)。

ちなみにこの曲は21年末の段階では7ヴァージョンしか集まっていなかったので、物凄い勢いで追い上げたことになります。あの時は「心もよう」が11位だった…(現54位)

 

そして、やはりこの曲が不動の1位です…しかもヴァージョン大幅追加で独走体制。未踏の🆉は目前に迫っている…

1位 (⇅1位)

或る日突然 [トワ・エ・モワ] (69/#4) 25ヴァージョン/27枚

🆅木村好夫とフォーク・サンズ (編曲: 木村好夫) 23/6/18

純粋なアコースティック・フォーク・ヴァージョン。ギターは3本入っているが、両サイドのプレイは好夫ではないだろう。他にさりげないベース、ちょっとしたシェイカー(卵形ではないだろう)のみ、ここまで潔いヴァージョンは珍しい。ドラムの不在に気付かない程。

🆆松浦ヤスノブ、テイチク・ニュー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 23/11/13

ハープの一撃で一気にゴージャスな世界へ。ビートを効かせつつ山倉マジックを全開させ、『天使のスキャット』のジャケットのイメージそのもののサウンドを展開。涼川先生の曲だと「あなたのとりこ」に近いイメージだ。そこまで下世話ではないけれど。テナーもファンキーな響き。

🆇ヒット・キット・アイランダース (編曲: ?) 23/11/29

イントロもしっかり演っているけれど、どうしてもせこい楽園色が…なんか萎縮してるようなスチールのプレイが、うつむき気味な乙女の面影。これはオッパチさんだろう。頬を赤らめたようなフルートの音が優しく寄り添う。ほんとアンパンだと思う…

🆈ホセ・ルイスとロス・ルンべロス (編曲: ?) 23/11/30

軽めのイントロから、歌い出しの1音に1オクターブ下の音が見え隠れし、激萌え…これ、ガチフルートプレイヤーにとってはまじで忌み嫌われるやつだけど、自分もフルートやってるのでよく解ります。歌無盤のような急造要素が強い商品においては、これがあるとかえって安堵に襲われる。そして2コーラスでノリノリの世界に。フルートもギアが入ってきて、フレッシュなプレイだ。以上も踏まえて、やはり沢村和子だと思う…

 

というわけで「ホセ・ルイス=沢村和子」説を陰謀論のように唱える回になってしまいましたが(瀧汗)、これで本年度の黄昏みゅうぢっくはお開きです。ぼちぼち、びっくり新ネタも集まり始めているし(示唆した通り8トラックも!)、次なる復活は案外早いかもしれません。それでは、よいお年を…