黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

心をくすぐるチャンネル切り替え音と琴の響き

ホメロス 16H-144 (8トラック)

琴が謡う最新歌謡16曲 愛する人はひとり

発売: 1971年

ジャケット

1-1 愛する人はひとり (尾崎紀世彦) 🅼

1-2 ポーリュシカ・ポーレ (仲雅美) 🅷

1-3 地球はひとつ (フォーリーブス) 🅱

1-4 愛があれば (湯原昌幸) 🅴

2-1 水色の恋 (天地真理) 🅺

2-2 ノアの箱舟 (平山三紀) 🅳

2-3 初恋 (舟木一夫)

2-4 青春の旅 (森田健作)

3-1 誰も知らない (伊東ゆかり) 🅺

3-2 知床旅情 (加藤登紀子) 🅾

3-3 望郷 (森進一) 🅹

3-4 女の意地 (西田佐知子) 🅺

4-1 君をのせて (沢田研二) 🅳

4-2 すべてを愛して (内山田洋とクール・ファイブ) 🅴

4-3 美しく燃えて (小川知子) 🅱

4-4 悲しい女と呼ばれたい (日吉ミミ) 🅲

 

演奏: 山内喜美子/オーケストラ名未記載

編曲: 無記名

定価: 2,800円

 

遂に禁断の領域、8トラックに進出してしまいました…昨年夏、歌無歌謡ではないものの、気になる内容のテープが含まれる8トラックのまとめ売りを落札してしまい、聴く術もないのにどうしようと思っていたところ、とあるリサイクルショップでジャンク品のプレイヤーに遭遇。動作確認に関するコメントが全く添えられていず、大いなる賭けのつもりでそれに投資。持ち帰って何とか通電するのを確認し、いよいよテープを投入。ちゃんと音が出てきて感動しましたよ。もちろん、ジャンク品ではあるのでめちゃノイズが出ているけれど、我慢できる部類には入るし。昨今話題のAIプログラムを使えば、この種のノイズも完璧に除去できるのでしょうか…

音が聴けると解ったら、当然弾を増やしたくなるわけです。というわけで、当然山内喜美子さんのお出ましですよ。既に何作かカセットを紹介しているホメロス・レーベルからのリリース。本社は名古屋にあったのでしょうか。このレーベルの音源は、CD時代になってからも幾度かリサイクルされているようで、未だ近付き難い勢力の方が原盤権を有しているかもしれません。そこから配信に流れていたりして。各プログラムが8分30秒程度に抑えられており、テープの長さに符合するように無理やり曲を編集しているような感が否めないのですが、それはしょうがないなということで。でも、歌無歌謡のようなフォーマットが、最も8トラックに向いていたんじゃないかなと実感させられるのです。71年後半のヒット曲が中心で、歌無歌謡アルバムの常連曲が手堅く並べられていますが、そんな中に「初恋」があると色めきだちますよ。同年4月にリリースされた可愛和美の曲ではないかと、一瞬推測してしまうし。実際は舟木一夫の曲の方でした(作詞は島崎藤村)。オリジナル盤にも山内さんが演奏しているクレジットがあるし、選曲した側にもこだわりがあったのでしょう。全体的にはマイナーレーベル色の濃い演奏をバックに、手堅く主旋律を弾いているというイメージで、本来の音で伝わってくれば感想も変わってきそうだけど、彼女の持ち味は充分発揮されています。「誰も知らない」のイントロとか鮮やかすぎるし、このラインナップに「地球はひとつ」とかノアの箱舟が入っているのも胸熱。テイチク盤で聴けなかった知床旅情も純情たっぷり。「君をのせて」も意外に琴に合うのですよね。このジャケットは当然本人ではなさそうですが、なかなかガチな押さえっぷりです。