黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

紅白歌無ベスト10・第10位

それでは、いよいよカウントダウン開始します。

 

10位

旅の宿

歌/作曲: 吉田拓郎

作詞: 岡本おさみ

72年7月1日発売/オリコン最高位1位(5週)

 

🅰ツゥイン・ギターズ/ワーナー・ビートニックス (編曲: 原田良一) 21/4/25 

ツゥイン・ギターズらしいユニークなイントロがついている、実に特性がよく出たヴァージョン。通俗的なムードがありつつ、カントリー・タッチが感じられるのが異色。

🅱ヒット・サウンド・オーケストラ (編曲: 馬飼野康二) 21/6/13、8/14

スタンダードな感じだが、このパーカッションの音が妙に耳に残る。奔放なピアノ・サウンドも良い。

🅲ミラクル・サウンズ・オーケストラ (編曲: 福井利雄) 21/7/7

これもスタンダードな感じで、イントロのトランペットがソフトな印象。鍵ハモのブレスが生々しく、いかにもミラクルサウンズ。

🅳秋本薫(テナー・サックス) オールスターズ (編曲: 川上義彦) 21/8/18

地味にこじんまりとまとまっている。電気ハープシコードが独特の響き。

🅴HARVEST ORCHESTRA (編曲: 無記名) 21/8/30

75年の録音と思われるので、ちょい進んだ響き。泥臭さを消化しつつも場末感がある。

🅵奥田宗宏とブルースカイ・ダンス・オーケストラ (編曲: 岩井直溥) 21/9/11

出た!「今宵踊らん」!大舞踏会の世界にイケイケモードで滑り込み、ロマンチシズムのかけらもない。それもまた良い。

🅶ありたしんたろうとニュービート (編曲: 福山峯夫) 21/10/2、22/11/5

激しいドラムに始まり、テンポを落としつつもロック度の高いアレンジ。随所でドラムソロが弾けまくる。

🅷サウンド・オブ・ドゥリーマース (編曲: 小谷充) 21/10/4

これも74年録音なのでピーク後の解釈。イントロの構造を変えてドリーミーに仕上がっている。口笛をフィーチャー。一瞬メロトロン的な音も入っているが、本物のトロンボーンかも。

🅸ザ・フォーク・ライダーズ (編曲: 無記名) 21/10/22、22/3/24

イントロのメロディーがちょっとだれる感じで、バックに入っているフルートがこれまたメロトロンっぽい響きだが、グリッサンドで本物と解る。これもピークを過ぎてからの録音だろう。けだるい。

🅹三笠輝彦 (テナー・サックス)/ブリリアント・ポップス77 (編曲: 小谷充) 21/11/25

こちらはリアルタイムに近い録音だが、基本アレンジは🅷とほぼ同じなのでそちらは使い回しだろう。ワーナーにしては保守的仕上がり。

🅺ニュー・サン・ポップス・オーケストラ (編曲: K.Kono or T.Ito) 21/12/2

『フォーク・ムード』のカラーを象徴する異色ヴァージョン。ムーディに始まり終始期待を爽快に裏切って進行する。フルートがアンニュイに響き、エンディングで過激に炸裂する。

『フォーク・ムード』

🅻小泉幸雄とクインテット (編曲: 小泉幸雄) 22/1/6

チージーなオルガン…と思いきや、鍵ハモを大フィーチャー。この寂れた感じがやはりこの曲にお似合い。

🅼はちの巣 (編曲: 宮本光雄) 22/1/24

アレンジ的に最も正統派に近い…が、ちょっと外したようなオカリナの響きが妙に乙女度が高く、転調してからはリコーダーにバトンタッチ。中学生ロマン的感触。

🅽ブルーナイト・オールスターズ (編曲: 土持城夫) 22/3/14

テンポが落ちて真っ当に気怠い響き。フルートが妙に乙女っぽい。『フォークの旅』(🅴)でリサイクルされなかったのは正解。

🅾山内喜美子 (琴)/キャニオン・オーケストラ (編曲: 小杉仁三) 22/4/19

妙にファンキーなオルガン入りのイントロから山内さんが華麗に舞い始める、不思議な和風情緒を感じさせる名解釈。

🅿︎稲垣次郎 (サックス、フルート)/コロムビア・ニュー・ビート (編曲: 荒川康男) 22/5/1

イントロの感じ、一瞬「今宵踊らん」かと思った。レイジーなラテン色に包まれてフルートがアンニュイに響く。パーカッションが孤高に自己主張

🆀ゴールデン・サウンズ (編曲: 荒木圭男) 22/5/2

普通。それにしてもこの曲、やたらフルートが使われる傾向があるけれど、煤気の簪的イメージがあるのだろうか?

 

以上、17ヴァージョン(19枚収録)