黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

誰かさんと誰かさんがレコード上で…あれっ?

クラウン GW-5182

ドラム・ドラム・ドラム 傷あと

発売: 1971年2月

ジャケット

A1 傷あと (ジャンニ・ナザーロ) 🅱

A2 誰かさんと誰かさん (ザ・ドリフターズ) 🅰→21/6/14

A3 誰もいない海 (トワ・エ・モワ) 🅼

A4 生きがい (由紀さおり) 🅵

A5 愛でくるんだ言訳 (安倍律子)☆ 🅴

A6 貴方をひとりじめ (和田アキ子) 🅱→21/6/14

A7 別れたあとで (ちあきなおみ) 🅱→21/6/14

A8 すべてを愛して (内山田洋とクール・ファイブ)☆ 🅵

B1 めまい (辺見マリ) 🅳

B2 京都慕情 (渚ゆう子) 🅰→21/6/14

B3 中途半端はやめて (奥村チヨ) 🅱

B4 誓いの明日 (ザ・タイガース) 🅱

B5 冬の停車場 (布施明)☆

B6 ビューティフル・ヨコハマ (平山三紀) 🅱

B7 おんなの朝 (美川憲一)☆ 🅰→21/6/14

B8 できごと (弘田三枝子)☆

 

演奏: ありたしんたろうとニュービート

編曲: 福山峯夫、小杉仁三(☆)

定価: 1,500円

 

昨日に続いて炸裂するドラム…1曲目に幾分と地味な曲持ってきたな…なんとイタリアの超大物、ジャンニ・ナザーロに平尾昌晃が書き下ろした曲。一応オリコン33位とかなりのヒットになっていて、当時の歌謡界とカンツォーネの親和性を物語る。藤本卓也ボビー・ソロに「さよなら恋人」を提供していたり、活発な交流があったのだな。実はこの曲の歌無盤は既に73年のポリドール盤に入っているのを紹介していて、そこでは美樹克彦の曲となっていたが、そちらはチャートインせず。ちょい時間差があったので、新鮮に受け取られなかったのだろうか…

既に他の盤に流用されたのを紹介した曲もあるが、安定のありたしんたろう節で全編駆け抜ける。派手に走りすぎないものの、終始自己主張するドラムで70年モード。「誰もいない海」「生きがい」のようなソフトな曲が決してぶっ壊されず、屋台骨としてのドラムを聴かせるモードに徹しているのがいい。グルーヴだけを求める人に解ってたまるか…ベースも恐らく寺川氏だろうか、なかなかの走りっぷり。「別れたあとで」「おんなの朝」の過激なアレンジはやはり痛快だな。逆に派手に盛り上げることを期待してしまう「誓いの明日」「ビューティフル・ヨコハマ」は、安定したプレイが曲を支えるのみ。後者のイントロとか、間奏に「ブルー・ライト・ヨコハマ」を挟んでくるところとか、憎めないのだけど。それらの異なる印象が上手くブレンドされている「めまい」がベストトラックだろう。クラウン盤なのに西郷さんの選曲がないのは、奇遇としか言えない…藤圭子もないし(余計なお世話…爆)