黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

緊急復活。追悼…谷村新司さん

東京音楽工業 CR-515 (カセット)

有線ベスト・ヒッツ

発売: 1979年

ジャケット+テープ

A1 チャンピオン (アリス) 🅲

A2 ガンダーラ (ゴダイゴ) 🅴

A3 いい日旅立ち (山口百恵) 🅴

A4 カメレオン・アーミー (ピンク・レディー) 🅲

A5 夢想花 (円広志) 🅶

A6 カサブランカ・ダンディ (沢田研二) 🅴

A7 青葉城恋唄 (さとう宗幸) 🅳

A8 岩尾別旅情 (さとう宗幸)

B1 涙の朝 (八代亜紀) 🅳

B2 惜春 (五木ひろし) 🅳

B3 北国の春 (千昌夫) 🅸

B4 花街の母 (金田たつえ) 🅷

B5 夢追い酒 (渥美二郎) 🅷

B6 きみよ荒野へ (森進一) 🅱

B7 昔があるから (内山田洋とクール・ファイブ)

B8 そんなナイト・パブ (増位山太志郎) 🅱

 

演奏: 東京ビーバーオリジナルサウンド

編曲: 無記名

定価: 1,200円

 

そろそろ眠りから覚めるかと、今年2回目の復活月間に向けて黙々と準備を進めていたところに、まさかのタイミングで大訃報。例によって、用意していたコンテンツの中に格好のはなむけがあったので、急遽繰り上げることにしました。

谷村新司さんには、多感な時代にほんと、哲学的な影響を多大に受けました。アリスを好んで聴くというよりも、当時の交友関係に於ける共通の鍵として、必然的に持っていたのです。何せ当時中学生だった者が逃れられない世界。と同時に、当時音楽を実践するにあたって、どうしても逃れられない「ニューミュージック」という罠。それを意識しなければ、結局世捨人として人生を終えることしかできないと、当時の段階で悟っていました。いくらニューウェイヴに刺激を受けようが、「ロック・マガジン」を愛読しようが。

今、宗内の母体が取り組んでいる「フニルネッサンスProject」は、そんな当時の心の持ちようを純粋に、今の技量で再構築しようという試みであり、だからこそ舞台設定を1978年にしてあるのです。そんな1978年の末期から翌年初頭にかけてヒットチャートを賑わせた曲のインスト版を集めたこのテープを聴くと、あの頃の切なさが蘇ってきます。

それにしても「チャンピオン」は熱心に歌ったものです。未だにキッチンに立つとこの曲が一字一句、漏れることなく出てくることがよくあるし、もちろんこのテープを流しながらでも、歌わずにいられません。いかなる場所でも気軽に再生できるカセットの特性は、聴き手の心をいかなる時代にも連れて行ってくれるのです。

例によって訳の分からないレーベルから出ている1作ですが、意外にも骨格がしっかりした音作りで、ガンダーラのイントロとかなかなかの再現度。ただ、主にギターで奏でられるメロディのこなしに、所々こける要素が出ていたり。やはりそこが愛しさに転じていますね。B面の演歌サイドも、「夢追い酒」がエルムヴァージョンと同じようで微妙に違っていたり、素通りできません。カラフルなアレンジこそ期待できないものの、時代性は充分伝わる1本。惜しまれるのは、微妙なところでフェイドアウトしてしまう曲がいくつかあることで、これはテープ編成の掟みたいなものなのでしょうがありません。「ガンダーラ」の間奏とか、フルートで奏でられるのは確認できたものの、2小節で終わってしまうし。やはり、ちゃんとしたステレオデッキを買ってきて、もっと真剣に向き合わなきゃ。

 

谷村新司さんのご冥福を、心よりお祈りします。心の命ずるままに…