黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

岩崎良美さんの誕生日は6月15日

ミノルフォン  KC-7101

‘80最新ヒット 《ポップス・フォーク&ロック編》

発売: 1980年11月

ジャケット

A1 ダンシング・オールナイト (もんた&ブラザーズ) 🅳

A2 防人の詩 (さだまさし)

A3 九月の色 (久保田早紀)

A4 いまのキミはピカピカに光って (斉藤哲夫)

A5 ヤング・ボーイ (河合奈保子) 🅱

A6 順子 (長渕剛) 🅱

A7 銀河伝説 (岩崎宏美)

B1 YES・NO (オフコース) 🅲

B2 ジェニーはご機嫌ななめ (ジューシー・フルーツ)

B3 哀愁でいと (田原俊彦) 🅲

B4 あなた色のマノン (岩崎良美)

B5 やさしさ紙芝居 (水谷豊)

B6 青い珊瑚礁 (松田聖子) 🅲

B7 昴 (谷村新司) 🅱

 

演奏: ミノルフォン・オーケストラ

編曲: 京建輔・神保正明

定価: 2,000円

 

9年振りにブルーナイト・オールスターズ名義を凍結させての、80年代対応歌無歌謡再出発作。帯裏で「上村一夫イラスト(ジャケ)・カラオケシリーズ」を大々的に告知しているとはいえ、カラフルな音を動員して、単なるカラオケ対応作の延長にしていないところに意地を感じるし、76年以降サボっていた(?)アレンジャークレジットも復活。さすがミノルフォン、歌無歌謡は終わったと見なしていない気合の入れ方。

メガヒットダンシング・オールナイトで軽く挨拶代わりに続いては、あまりにも重い防人の詩だが、メロディーがリコーダーで奏でられ始めた途端ときめきが…重さと童心を均等に孕んだ音色で曲にマッチしているし、曲が長いので(フル演奏すると7分越えるが、さすがにちょっと端折っている)じっくり聴ける。果たしてガチプレイヤーの演奏だろうか…さだまさしの曲といえば、「天までとどけ」のイントロをリコーダーで奏でたヴァージョンが昔、天気予報のBGMで流れていて、それを探し求めているのだがまだ出会っていない…

なんか他の曲もリコーダーで聴きたいなという選曲が多いのだが、笛天国はここでおしまい…ヴィヴィッドなCMのシーンを思い起こさせる「いまのキミはピカピカに光って」も然り。ドライなサウンドでダイレクトにハートを直撃するが、ちょっと前のクラウンだったらここに妙なコーラスを挟んできそうとか妄想する…あんな風に少年心をどっきりさせる仕草と笛の音は、なぜか直結するんですよね…あと、Bメロへのタックル振りがちょっと残念。70年代の歌無レコードで聴けない類のベースの音がでかいのは買える。「はい・いいえ」(違)はかなりせこいとはいえ、イントロを再現しようとはりきる様子が窺えるが、フルートがかなり硬いな。小田さんぽくない。続く「ジェニーはご機嫌ななめ」は、クラウンの「きりきり舞い」が好きな者にはたまんないかも。ソプラノサックスが主旋律を奏でているが、イリアのヴォーカルの壊れ方に肉薄してる部分もあり、アレンジもいい線行っている。ギターソロがフュージョン寄りなのだけが残念…「やさしさ紙芝居」は、イントロと間奏に控え目にリコーダーが再登場。青い珊瑚礁は、歌無盤は全体の音そのものはどれもいい線行ってるんだけどな。これもなかなかいい出来だけど、聖子の歌はそう簡単に演奏に置き換えられるものではない。最後の「昴」は、やはりコーラス入りのクリスタル・ヴァージョンに軍配が上がる。そして、脳内でその音をメロトロンに置き換えるのだ(爆)。

こうして聴くとやっぱり、80年の曲って思い出深いな。いくらレジデンツを発見して夢中になろうが、青春の根底にこれらの曲は確実にありました。