黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌無歌謡でスマイリーにサーフ!復活月間再び

フェリオス HC-1 (カセット)

歌謡ヒットヒット速報

発売: 1976年

ジャケット+テープ

A1 落葉が雪に (布施明) 🅳

A2 北の宿から (都はるみ) 🅺→22/5/28

A3 揺れるまなざし (小椋佳) 🅲

A4 最後の一葉 (太田裕美) 🅳→23/6/4

A5 針葉樹 (野口五郎) 🅳→23/6/4

A6 四季の歌 (いぬいゆみ) 🅳→22/5/28

A7 青春時代 (森田公一とトップギャラン) 🅶

A8 逢いたくて北国へ (小柳ルミ子) 🅲

A9 どこへ帰る (五木ひろし) 🅲→22/5/28 (short) 

A10 女になるでしょう (西川峰子)

B1 あばよ (研ナオコ) 🅴

B2 パールカラーにゆれて (山口百恵) 🅳

B3 あなただけを (あおい輝彦) 🅳→22/5/28

B4 想い出ぼろぼろ (内藤やす子) 🅴→22/5/28

B5 恋は紅いバラ (殿さまキングス) 🅱

B6 北の旅愁 (細川たかし) 🅰→22/5/28 (long)

B7 ドリーム (岩崎宏美) 🅱

B8 君がやさしすぎるから (あおい輝彦)

B9 季節はずれの走馬灯 (古時計)

B10 時 (中村雅俊) 🅲

 

演奏: フェリオス・スタジオ・オーケストラ

編曲: 無記名

定価: 1,600円

 

谷村新司さんともんたよしのりさんの予期せぬ訃報でちょっぴりフライングしてしまい、サプライズ復活とはなりませんでしたが、ハロウィンを合図に今年2回目の復活月間です。実は、あまりにも不安定なカセット再生環境を一新すべく、先月16日更新の数日後にほぼ新品のラジカセをジャンク品として入手(CDが再生されないため)。遂にステレオでこれらの音源を聴くことができます。それに加え、今回の復活月間には間に合いませんでしたが、まさかの8トラック再生環境まで手に入れてしまいました!こちらは真のジャンク品なので、再生音に大量にノイズが乗ってしまうのですが、聴けるだけ幸せなのです。我が最愛の歌手がこっそり残したパチ歌謡音源の真相もこれでバッチリ、解明できました。ここでは書きませんけどね…

というわけで8月までの数ヶ月の間に、さらに数本怪しいマイナーレーベルのカセットが手に入ったので、力を入れて紹介しようと張り切っていましたが、2大訃報のせいでそのうちの3本を連続して語る羽目になってしまいました。今回もテーマを決めず、ただ単にレコード番号が小さい順に語っていくのですが、これはまさかの「1」番。怪しい歌無歌謡テープが1番とは異例中の異例ですが、2番以降は出たのでしょうかね。発売元の本拠は、当時はまだまだバッタビジネス色を残す店も多かった電気街・秋葉原にあり、やぱいパーツショップなんかでこっそり企画され、売られていたのかもしれません。

内容的にまぁこんなもんだろうなと聴き進めていくと、「最後の一葉」のあたりで身に覚えある妙な感覚が…そう、あの悪酔いしそうなシンセ。昨年5月28日紹介した「夜の有線大賞」や、今年6月4日紹介したエルム盤「歌謡ヒットパレード」で強烈な印象を残したやつ。このテープも含め、どのアルバムも全編シンセというわけでなく、もたつき気味のギターなどがフィーチャーされる曲もあるので、真の供給元がどこかというのが余計曖昧になる。音源だけを供給するエージェントみたいなのがあったのかもしれないし、エルムあたりは自社制作環境も整っているから、そこと邪推すればいいのかもしれないけれど、とりあえず編成する側が旬と感じた曲を適当に拾い集めてるのは確実だろう。このテープでは、終盤に他ではあまり聴けない類のフォーク系の曲をまとめて持ってきているところに意地を感じる。ただ、曲によってフェイドアウト処置を加えているのが編成上の安定さを欠いている(テープの長さを合わせるための処置ゆえ、仕方ないところだが)。いずれにせよ著作権使用料に変動が起こるわけじゃないから、不可解ではあるけど。

「季節はずれの走馬灯」なんてレアな選曲だし、バックの演奏が異常にガチなのに、好夫崩れで色気を出そうとしているギターの演奏が不安定でなんか悲しい。その一方に、バッドトリップとしか思えない例の「あなただけを」(3度目の登場)があるのが滑稽なのだ。「恋は紅いバラ」も妙に気合入ったオケのくせして、主旋律が例のシンセ。笑うしかない。なお、「夜の有線大賞」でフェイドアウトされていた「どこへ帰る」はこちらでは完奏されており、「北の旅愁はその逆パターン。こういうのも気まぐれだったんでしょうね。

珍しく曲間が殆どない、矢継ぎ早に演奏されるサージェント・ペパー的展開が新鮮味を醸し出しているけれど、特に最後の曲が中途半端なところでフェイドアウトしてしまうのに、やる気のなさを感じてしまう。1番バッターがこれでどうするのだ…