黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

紅白歌無TOP40・第3幕

さて、メガヒットど演歌をどう切り抜けるか…

 

37位

なみだの操

歌: 殿さまキングス

作曲: 彩木雅夫

作詞: 千家和也

編曲: 藤田はじめ

73年11月5日発売/オリコン最高位1位 (9週)

 

🅰ゴールデン・ポップス (編曲: 山屋清) 21/4/22 

いきなりメロトロンが大炸裂! 恐ろしく場末色濃いバッキングにラブリーに襲いかかる。この温度差故、強烈すぎる印象を残している。これも山谷清仕事か…

🅱スターライト・オーケストラ (編曲: ?) 21/4/28 

どマイナーレーベルの録音なのだが、質感的には普通に場末色濃いオーケストラサウンド。ただ、イントロの最後から5小節目に変な感触がある。ギターは好夫節炸裂なので当然本人でしょう。

『昭和演歌』

🅲村岡実、山内喜美子/ミラクル・サウンズ・オーケストラ (編曲: 福井利雄) 21/5/20 

イントロのフルートにメロトロンを幻聴…する間もなく、山内女史が誘惑し、尺八が唸りを上げる。自分にとっては癒し系サウンド(爆)。

🅳松浦ヤスノブコロムビア・オーケストラ (編曲: 山田年秋) 21/5/29

KISSアルバムに抜擢されたオーセンティック録音。「守り」のところのコードが異質な感じを出しているが、無難なヴァージョン。ためにためるサックスについつい唱和してしまう…

🅴グランド・シンフォニー・オーケストラ (編曲: ?) 21/8/5 

いきなりマスタリングミスでテープがゆわんゆわん…だが、基本トラックは🅱と同じものを使用していて、主旋律を大正琴に入れ替えている。危なっかしいプレイは一体どこの誰だろう…そして、どこがシンフォニーオーケストラや…結構重厚な音出してるけど、ベースも危なっかしいし。🅱だと好夫ギターに気を取られて、そこまで目立たなかったのに。不思議。

🅵ホット・エキスプレス (編曲: 斎藤恒夫) 21/8/12、22/2/19 

これまたイントロのフルートにメロトロンを幻聴(汗)。好夫っぽいけど軽めのギターで、ゴールデン・サウンズ黄金律を引き継ぐ無難さ。「女」と「だから」の間に謎のフィルを入れるのが、特に好夫モードに乗っ取った感じが濃厚。3本以上ギター入っているな。

🅶T. Jeorge/ニュー・サン・ポップス・オーケストラ (編曲: T. Hanaoka) 21/8/29

国文社らしい革新的感触はなく、高野譲治の息遣いをじっくり聴かせる無難なヴァージョン。フルートやクラリネットを総動員してカラフルに彩っている。

🅷クリスタル・サウンズ (編曲: 池田正城) 21/11/3、21/11/15、23/6/3

クリスタルっぽさがあまりないな、と思ったら、アコーディオンと鍵ハモをオクターブで重ねて小粋なムードを感じさせる。ただ事では終わりません。

🅸吉岡錦正/ブルー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 池多孝春) 21/11/10

こちらは吉岡ファミリーの演奏だけあり手堅くまとまっている。あくまでも🅴と比較してだけど。「お別れするより~」のところだけ無茶してないのもいかにもプロだ。🅴に戻ってみると、死にそうなプレイしているもの(汗)。

🅹まぶち・ゆうじろう’74オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/11/28、21/12/24 

クラウンがかえってモダンな感触を出しているのも面白い。オクターブに囚われないプレイがむしろこれでよかったのだと思わせる。

🅺いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 22/1/2、22/1/28、22/11/2

同じクラウンサウンドだが、微妙に変えて来ている。このいとうヴァージョンの方にライトなノリを感じるけど、いずれも実際の録音には時間をかけていないと思われる(汗)。

🅻奥田宗宏とブルースカイ・ダンス・オーケストラ (編曲: 斎藤恒夫) 22/4/29 

同じようなテンポでありつつもスインギーに踊らせてしまうブルースカイサウンド。死にたさを強調するようなリズム演出にかえって心が揺さぶられる。

🅼木村好夫/ビクター・オーケストラ (編曲: 神保正明) 22/5/25

最後は自社らしく慎重にまとめたオケでじっくり聴かせる好夫サウンド。これも3回以上ギターが重ねられている。

 

以上、13ヴァージョン (19枚収録)。何やかんや言って「虹をわたって」より面白かった(汗)。やはり🅰に軍配をあげたい。オリジナルのアレンジャー、藤田はじめ氏は、トリオのサウンド・エクスプロージョン盤で大胆な編曲術を見せつけてた人だったのか…