黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

紅白歌無TOP40・第4幕

ここで重大な問題が勃発するのだ…

 

36位

草原の輝き

歌: アグネス・チャン

作曲: 平尾昌晃

作詞: 安井かずみ

編曲: 馬飼野俊一

73年7月25日発売/オリコン最高位2位

 

🅰三笠輝彦/ブリリアント・ポップス77 (編曲: 小谷充) 21/4/1、22/6/3 

自社(トリオは違うが)故に慎重なサウンドでオリジナルを再現してる上、サックスにも猥雑なニュアンスがなくて、音がうわずり気味なのがむしろさわやか。2コーラスのストリングスの鮮やかな展開はここだけでは終わらなかった…

🅱まぶち・ゆうじろう’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/5/2 

三笠輝彦と中の人が同じって誰が言った…こっちは正統派まぶち節でかなりの場末色。サウンド全体はさわやかにまとまっているのに。

🅲森ミドリとレモン・ポップス (編曲: あかのたちお) 21/5/14、22/1/27

乙女心をやらせたら真の乙女が最強に決まっている。ちょっと暴走気味のテンポだけど純情満開。

『アルプスの少女 さわやか!! 最新ヤングヒット』

🅳木村好夫/テイチク・オーケストラ (編曲: 栗田俊夫) 21/6/17、22/2/15

問題のヴァージョン。若干場末感がある演奏に手堅い好夫ギター。Bメロのバックで意地が炸裂している。このヴァージョンが何故か、マイナーレーベルから出たカセットにも収録されているのだ…不覚にもカセットをステレオで再生して初めて気づいたが、テイチクにまで他社とのヴァージョン被りがあるミステリーは如何に。よって、2月15日のエントリでヴァージョン🅼としたのは🅳と同一で、以下は1ずつ繰り上げとなります。今のところゴールデン・ポップス版しかないけど。

🅴クリスタル ・サウンズ (編曲: 土持城夫) 21/7/16、21/10/13

かなり簡素化しているけれどノリが良く、不意打ちで出てくる笛の音に胸がキュンキュン。恐らく違う種類のリコーダーを別々の人が吹いてそうだけど、クリスタルらしくガチさがそんなにないのが魅力的。片方、頭部管を0.3mmほど抜いてそうだ(汗)。

🅵市原明彦/ワーナー・ビートニックス (編曲: 原田良一) 21/7/31 

ドラムが炸裂している割に、自社曲らしく慎重に扱っている様子が窺える。フリーキーなギターに異色の感触が。

🅶木村好夫/ミラクル・サウンズ・オーケストラ (編曲: 福井利雄) 21/8/13

🅳に比べるとビジネスライクなプレイを聴かせる(?)好夫ギター。笛は控えめだが、片方はアルトではないだろうか。萌える…

🅷ジョージ高野、野口武義、村上三雄/ブルーシャドウズ (編曲: 山口順一郎) 21/9/3、22/5/22

これまた慎重で特異な色のないサウンド。ただひたすら大人っぽいサックスはあまり似つかわしくないな。

🅸原田寛治とオールスターズ (編曲: 川上義彦) 21/10/1

最初の方はそれほどでもないけど、段々ドラム以外耳に入らなくなってくるという展開がまさに寛治マジック。派手にキメまくり曲の美学を粉砕。

🅹いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/10/10、21/12/29 

まぶち盤よりは軽快に決めているはずなのに、どこか歯切れの悪さも。途中で1オクターブ落としているせいだろうか…Bメロ後半でIIIマイナーに行かない罠にハマっているが、ここでは特にだれた印象を与える。

🅺ツゥイン・ギターズ/ワーナー・ビートニックス (編曲: 原田良一) 21/10/23、22/4/12 

イントロから魔法全開のツゥイン・ギターズ・サウンド。ここまでギターでやられるとかえって快感。

🅻ブルーナイト・オールスターズ (編曲: 小谷充) 21/11/5、21/12/13

上位40曲中、所謂4大楽団が総激突したのはこの曲だけでした(しかもワーナーには3ヴァージョンあったし)…リコーダーに限りなく近いフルートが朝もやの世界に誘う好ヴァージョン。2コーラスの後半で、🅰に出てきたのと全く同じ魔術的ストリングスが…同じ人がやってるからしょうがないですが。ファゴットは🅰でも控え目に使われていたが、こちらでは全開していて効果的だ。

🅼ゴールデン・ポップス (編曲: 穂口雄右) 21/3/29 

のちにアグネス仕事で大前進する穂口さんが意地を見せたヴァージョン。結構走っているが慎重さがある。

 

以上、13ヴァージョン (21枚収録)。個人的には🅴の優勝。ここには間に合わなかったが、ブルコメ時代に同名曲を残した井上大輔氏の「遺恨ヴァージョン」も抑えておきたいところだ。