発売日まで「愛して愛して」と同じ…なのに、こちらは普遍のメガヒットクラシック。やはり、インパクトの差がでかすぎ。面子も相当入れ替わりました。
29位(タイ)
恋の奴隷
歌: 奥村チヨ
作曲: 鈴木邦彦
作詞: なかにし礼
編曲: 川口真
69年6月1日発売/オリコン最高位2位
🅰山下三夫/阿部源三郎、テイチク・ニューサウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 21/4/2
『魅惑のギター二重奏/雲にのりたい』はどうしても「こんなにこんなに愛してる」収録という事実が優先してしまうので、どこを切っても王道の涼川サウンドというイメージなのだけど、この曲も例外ではなく、涼川先生が悪い時はどうぞぶってねと歌う光景を妄想(汗)。2番なんて特にキュートだ。間奏を単音ギターにしているところも逆説的に痛快。
🅱いとう敏郎と’68オールスターズ (編曲: 福山峯夫) 21/8/2
普通にグルーヴィにギターインスト化。この曲は変にいじらない方がいかして聴こえるんですよね。
🅲藤田都志/久保茂、上参郷輝美枝/山内喜美子/杵屋定之丞、杵屋定二/テイチク・レコーディング・オーケストラ (編曲: 山田栄一) 22/1/18
和楽器が集団で押し寄せる、高級料亭グルーヴ。ちょっと重心を置きづらいリズムながら、三味線が我が道を行くノリで全体を引っ張っている。おしとやかな琴が圧倒されているイメージ。
🅳木村好夫とザ・ビィアーズ/トミー・モート・ストリングス・オーケストラ (編曲: 小谷充) 22/2/18
ブンブン唸るベースがB級映画の中のクラブシーンのようないかがわしいイメージを醸し出し、そこに意表を突くオーケストレーションが襲い掛かる。好夫ギターも奔放に暴れ回り、ヤバい取り引きが始まりそうな光景。ちょっとカントリー色も。
🅴アート・ポップス・オーケストラ (編曲: 川口真) 22/4/5
なんとオリジナルのオケを使用した貴重なヴァージョン。そこにサックスとギターを被せているのだけど、ちょっと演りづらそうな雰囲気も。かえって間奏の響きの良さが際立つという皮肉な出来になっている。
🅵ゴールデン・サウンズ (編曲: 荒木圭男) 22/4/17
ゴールデン・サウンズだからといって妥協していない、幾分走り気味のヴァージョン。キュートに仕上がっているけれど、ベースが所々もたついていたりして。間奏を端折り、2分以内で終わっているのがもったいない。
🅶益田のぼるとパーフェクト・サウンド・グループ (編曲: 福山峯夫) 22/6/2
まったりなノリ、オルガンもチージーな響きで小悪魔的感触がかなり失われている。Bメロのドラムが地味に意表を突いているのが耳に残る。
🅷ユニオン・ニュー・ポップス・オーケストラ (編曲: 池田孝) 22/11/4
大編成のブラスで容赦無く襲い掛かる夜のサウンド。サックスも凄みが効いていてなかなかの説得力。
🅸筒美京平とクール・サウンズ (編曲: 筒美京平) 22/11/11
筒美京平がどう料理するか、と思ったらまさかのシベリア鉄道で北の果てへ。予期せず不意に愛の意味を知らされる思いに駆られる。
🅹稲垣次郎、木村好夫/コロムビア・ストリングス (編曲: 河村利夫) 22/11/12
🅳に比べるとビジネスライク(?)な好夫ギターに、重厚なストリングスが襲い掛かる。手堅いながら力強さを感じさせるヴァージョン。
🅺有馬徹とノーチェ・クバーナ (編曲: 小泉宏) 22/11/27
最高にヤバいアルバムのタイトル曲に相応しい激ヤバヴァージョン。単にジャズファンク化しただけじゃない、この曲に潜む邪心をより危なく染め上げた感触が、随所を侵食する。凄すぎるとしか言えない…
🅻松浦ヤスノブ、テイチク・ニュー・サウンズ・オーケストラ (編曲: 山倉たかし) 23/11/13
王道の山倉サウンドにさらに重量感増し増し。🅺の後で聴いても決して普通すぎるという印象をもたらさない。時々ちょっと控えめになりつつ咆哮しまくるサックスも、この曲に相応しい響き。
🅼ヒット・キット・アイランダース (編曲: ?) 23/11/29
やはり最もまったりしているのはこのヴァージョン。イントロ7小節目がメジャーコードなのも異色の感覚で、ハワイアンでありつつも清涼感がほぼ皆無。睡眠感へと誘われる。
🅽ホセ・ルイスとロス・ルンべロス (編曲: ?) 23/11/30
ビート的にはまったりしているが、フルートが小悪魔的な響きでこの曲に相応しい。エントリをあげた後、ホセ・ルイスの中の人は沢村和子ではないかという仮説を立ててみたが(時期的にもレーベル的にも、シングル「赤い星のボレロ」と合致するし)、もしそうだったらと想像すると萌えるヴァージョンだ。2コーラスからラテンノリになり、一気に疾走する。
以上、14ヴァージョン(15枚収録)。やはり🅺の圧勝…ですが、強力ヴァージョンが多いですね。