黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

ギターもいいけど、それで食えるとは思いなさんな

アトランティック L-6045A

かもめ町みなと町/華麗なるミラクルギター・ベスト・ヒット20

発売: 1972年3月

ジャケット

A1 かもめ町みなと町 (五木ひろし) 🅻

A2 めぐり逢い (渚ゆう子) 🅳

A3 雨のエアポート (欧陽菲菲) 🅾

A4 涙のジャーニー (仲雅美) 🅱

A5 はじめての世界で (フォーリーブス)

A6 ちいさな恋 (天地真理) 🅾

A7 涙 (井上順) 🅵

A8 夜が明けて (坂本スミ子) 🅲

A9 別れの朝 (ペドロ&カプリシャス) 🅿︎

A10 ともだち (南沙織) 🅻

B1 北国行きで (朱里エイコ) 🅵

B2 ハチのムサシは死んだのさ (平田隆夫とセルスターズ) 🅺

B3 さすらいの天使 (いしだあゆみ) 🅻

B4 愛をあリがとう (にしきのあきら) 🅱

B5 雪あかりの町 (小柳ルミ子) 🅼

B6 幸福への招待 (堺正章) 🅵

B7 男がつぶやく子守唄 (白川奈美) 🅱

B8 終着駅 (奥村チヨ) 🅼

B9 フレンズ (平山三紀) 🅴

B10 好きなんだけど (野口五郎)

 

演奏: ツゥイン・ギターズ/ワーナー・ビートニックス 

編曲: 原田良一

定価: 1,800円

 

今回の復活月間も無事、宗内の考えるところの歌無歌謡四天王=クリスタル・サウンズ、ブルーナイト・オールスターズ、ミラクル・サウンズ・オーケストラ、そしてワーナー・ビートニックスのアルバムを最低1枚追加できました…と言っても、前回はミラクル・サウンズが増えなかった…どうしても東宝に関しては、慎重に行きたかったんですよね。未知のネタが常時手招きしてるのに。

ワーナー・ビートニックス及びブリリアント・ポップス77の登場は今回が25回目。ということは、未だ開拓していない盤が歌無歌謡に関しては20枚あるのだ…しかし、洋楽を取り上げた数少ない盤の中にはとんでもない高値で取引されているものもあるし、真のコンプリートはまだまだ遠い。一応、やっと1枚洋楽盤が手に入ったので、次回復活の際必ず取り上げたいと思います。というわけで、今日登場するのはツゥイン・ギターズ名義では最初のアルバムにあたるもの。のちのアルバムで全開する「らしさ」はまだ希薄ではあるけれど、小気味よいサウンドの中を、今までの歌無歌謡におけるアプローチとは全く異なるギターの奔流が駆け抜けるところは、もう既に気合入りすぎ。オープニングの「かもめ町みなと町」から、派手にパンしまくり、一体幾つのチャンネルをギターに費やしたのだろう…一応8トラック録音であることは明記されているけど、リズムセクションは多少ラフではありつつ、サブミキサーを巧みに操り音の粒は鮮明だ。かつ、のちのビートニックスの音に比べて、まだ素朴な、原色のパレットのような感触がある。のっけから筒美曲3連発だが、「めぐり逢い」がまるで太田とも子の「はじめに愛があった」みたいな感じになっていて、改めていい曲だなと。以後も超定番曲にあっと驚く曲が時折交わるが、原曲がモータウン「はじめての世界で」のラウンジ風味に意表を突かれた。一方「ちいさな恋」「ともだち」といった定番曲はテンポが落とされ、アイドル色を低めた陰りある世界へと変貌している。よせばいいのに「終着駅」までも…徐々に個性丸出しになっていくツゥイン・ギターズ・サウンドの骨格を存分に楽しめる1枚。やはり筒美京平は凄い。