黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

紅白歌無TOP40・第12幕

さて、「虹をわたって」とどう差がつくか?

 

28位

ひとりじゃないの 

歌: 天地真理

作曲: 森田公一

作詞: 小谷夏

編曲: 馬飼野俊一

72年5月21日発売/オリコン最高位1位 (6週)

 

🅰山下洋治とハワイアン・オールスターズ (編曲: 山下洋治) 21/4/17、22/11/5

ウクレレによる軽いリズムがうきうき気分を助長するポップなヴァージョン。スチールの響きもお茶目。最後は律儀にアレをやる。ポルタメント萌えが一気に開花!(汗

🅱ゴールデン・サウンズ (編曲: 荒木圭男) 21/4/19

大編成ブラスでポップさを強調。シンプルな音場なのだけど、4チャンネルの特性を活かすミックスがされている。東芝らしくビートルズテイストも。

🅲ツゥイン・ギターズ/ワーナー・ビートニックス (編曲: 原田良一) 21/4/25

ツゥイン・ギターズらしいうきうきした感じはあるのだけど、テンポが相対的に落ちていて、もたつき気味な部分も。やはりビートルズ的ブラスアレンジはやらずにいられなかったようだ。

🅳栗林稔/ワーナー・ビートニックス (編曲: 竜崎孝路) 21/4/30

オリジナルのノリはそのままに、ラテン的感触がちょっとアンバランスな印象。それぞれの音の噛み合いが空間内に溶け込んでない感もある。あまりいじらない方が勝ちかも。

『華麗なるビート・オルガン・ベストヒット20 京のにわか雨/芽ばえ』

🅴佐野正彦/エマノンストリングス楽団 (編曲: ピーター・ギブス) 21/6/12

イントロを筆頭にやたらベースが印象に残るサウンドで、ピーター・ギブスの独自カラーが現れたという感じ。トランペットに色気が出ていて、真理ちゃんっぽくないイメージ。ストリングスはどこにいっちゃったんでしょうか。

🅵金成良悟、ビクター・オーケストラ (編曲: 舩木謙一) 21/6/13

最も「白いギター」が似合う解釈になっている。さわやかな女性コーラスが聴きものだが、ベースが暴れまくっているのも無視できない。

🅶ミラクル・サウンズ・オーケストラ (編曲: 福井利雄) 21/7/7

中道的な解釈と言ってしまえば終わりなのだけど、それなりに心躍ってしまう部分もあって無視できない。

🅷山内喜美子とオーケストラ・プラッツ (編曲: 竹田喬) 21/7/23

かなり軽いノリの中を京琴がキュートに舞いまくる。Bメロ以降は和服のお嬢さんがうきうき乱舞するイメージ。山内女史がアイドルとして振る舞う貴重な瞬間を目撃できる(?)。3番のAメロなんてめちゃかわいい!2番のクラリネットも控えめながら傍観するヲタみたい(汗)。

🅸原田寛治とオールスターズ (編曲: 川上義彦) 21/8/18、22/4/10

🅷のお嬢様的イメージを一瞬で破壊するドラム。メロディもオブリガートも素直に耳に入ってこない暴走ぶりは、最早前衛の域に達している。

🅹奥田宗宏とブルースカイ・ダンス・オーケストラ (編曲: 岩井直溥) 21/9/11

プリンスの「レッツ・ゴー・クレイジー」並に加速し、超高速で踊らせる「今宵踊らん」ヴァージョン。イケイケなのだがアイドル的イメージには程遠い。

🅺市原明彦/ワーナー・ビートニックス (編曲: 原田良一) 21/10/18、22/3/31

オリジナルの構造を保ちながらロックテイストを加えている。こんな感じでドラムを前面に出すと、素直に聴けるのだけど。ブラスアレンジは🅲に準じたものになっている。

🅻かなり良悟/ダイアモンズ (編曲: 荒木圭男) 21/12/15

ゴールデン・サウンズとテイク同じ…と思いきや、こちらの方が多少落ち着いた出来。ギターに色付けするに留まっているブラスサウンド。🅵と顔を巧みに使い分けているのも職人っぽい。

🅼大野雄三/ワーナー・ビートニックス (編曲: 小谷充) 22/3/19

女性コーラス、オーボエ、フルート…うきうきする音選びでハーモニカの登場に花を添えるキュートなイントロ。やはり、真理ちゃんまでのアイドルにはリコーダーは似合わない(汗)。Bメロのスキップ感は他のヴァージョンにはないもので、バスハーモニカの響きも相まって萌え萌えな展開。歌い出し3小節目のコードだけが不吉さを煽る。

🅽コロムビア・ニュー・ビート (編曲: 荒川康男) 22/5/1 

パワフルにビートを強化、ブラスのビートルズ感もこのヴァージョンがMAXだろう。この曲でさえも野性味たっぷりに彩ってしまう荒川マジック。

 

以上、14ヴァージョン (17枚収録)。どれもいいけど個人的には🅷にバイアス傾けたい(汗)。