リプリーズ SJET-7874
9,500万人のゴールデン・ベスト・ヒット第3集
発売: 1967年

A1 青い渚 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅱
A3 星に祈りを (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅷
A4 殺しの免許証 (バートラム・チャペル)
A5 お嫁においで (加山雄三) 🅴
A6 ベビー・ベビー・ベビー (リトル・パティ)
B1 青い瞳 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅴
B2 黄色いレモン (望月浩) 🅲
B3 恋のエンジェル・フィッシュ (エミー・ジャクソン)
B4 恍惚のブルース (青江三奈) 🅷
B6 東京流れ者 (竹越ひろ子)
演奏: ファイブ・サンズ
編曲: 無記名 (柳田六合雄?)
定価: 1,750円
50年代末にはスタートしていたという名門老舗バンド、ファイブ・サンズが満を辞しての初登場。といっても、東芝時代に残した音源のうち2曲がこっそり、アート・ポップス・オーケストラ名義のアルバム『雲にのりたい/恋のなごり』に流用されていたので、厳密には初登場ではないけれど。このバンドの日本ポップス史との関わりを紐解くためには、相当の労力が必要とされるが、肝心の彼らの演奏レコードのほとんどにおいては、その手の情報が明らかに記されることはない。この盤も、わざわざ洋楽レーベルのリプリーズ扱いでリリースされており(ということは、現在音源の扱いはワーナーの管轄下にあるのか)、当時日本のバンドだと思って買った人はほとんどいないのではないだろうか。ユニオンのクリー・シェイズみたいに、実際米国のセッション・ミュージシャンが演ってたユニットもあることはあったけれど。
個人的には熱い思い出を掻き立ててくれる1枚であり、ここからA1、A2、A3、B1を抜粋した4曲入りのEPが、昔からうちに転がっていた。なので、ブルコメや山内・和泉盤より早くこちらに親しんでいたし、勁文社の松浦ヤスノブ氏をフィーチャーしたソノシートなどと並んで、逸早く歌無歌謡のエッセンスを小生に教えてくれたレコードの1枚。だからこそ、フル・アルバムを聴きたくなるのは当然の成り行き。さすが名門ならではの小気味よい演奏がテンポ良く魅了してくれる。ミュージシャンのアイデンティティに国籍も何もあるか、ってものだ。自分の琴線を揺さぶってくれるのであれば。この段階では筒美京平氏の作品であることが未だ隠蔽されていた「黄色いレモン」はこれで3つ目のヴァージョンになるけど、これが最もノリがよく上出来。「恋のエンジェル・フィッシュ」も歯切れ良く、ドラムのキレ具合が半端ない。最後の方でドメスティックな世界に突入していくけれど、サウンドの組み立て自体も変えていて、寧ろエレキコンボとしての個性が伝わりやすい録音だ。「恋と涙の太陽」も正統派エレキサウンドで違和感ないし、改めて橋さんの生涯に乾杯。