黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

鳥塚しげきさんの誕生日は3月23日

東芝 TP-7199

ブルー・シャトウ

発売: 1967年

ジャケット

A1 ブルー・シャトウ (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅳

A2 恋のハレルヤ (黛ジュン)

A3 センチメンタル・シティ (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)

A4 太陽の翼 (ザ・スパイダース) 🅱

A5 小さな倖せ (ザ・ワイルド・ワンズ)

A6 何処へ (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)

B1 夕陽が泣いている (ザ・スパイダース) 🅳

B2 野バラ咲く路 (市川染五郎) 

B3 青い渚 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)

B4 熱い砂 (ザ・ヴァン・ドッグス)

B5 夕焼けの砂浜 (トニーズ)

B6 想い出の渚 (ザ・ワイルド・ワンズ) 🅵

 

演奏: ザ・ヤング・ビーツ

編曲: 無記名

定価: 1,500円

 

ほぼGS曲縛りのインスト盤としては、最も早いリリースではないかと思われる1枚。この名義のリリースは謎が多くて、少なくとも6枚東芝にアルバムがあるのが確認されているが、アレンジャーが複数関わっていて(筒美京平まで!)、素性が読みづらい音。この盤にはアレンジャーの記載がなく、解説文も皆無だが、同じ名義でビクターのグローブ・レーベルがついた盤が通販のボックス・セットに入れられた例もあり、そこでは小谷充が演奏にも関わり(「ギター」というクレジットが怪しいが)、多少派手にはなっているものの、ほぼ同じ質感のサウンドが聴かれる。選曲もこの盤の続きという感じのGS特集になっているし。いずれにせよ音楽的にはGS色濃厚で、スウィング・ウエストあたりのインスト盤と殆ど変わらない。ただ演奏が職人的というだけで、もう立派なGSのレコードにしちゃっていいでしょう。どうやらギターは神谷正行氏の模様。冒頭の「ブルー・シャトウ」から飛ばしに飛ばすし、瞬時ゴーゴー喫茶の雰囲気が蔓延。「太陽の翼」あたりで顕著になるけど、ベースが不安定なのだけが弱点で、どの曲も突っ走った演奏。B面にいくつかあるフォーク色の濃い曲にも躍動感が加わり、海の家で爆音で流れるとめちゃキマりそうだ。特に「熱い砂」は選曲も含めてアガる。「何処へ」鄙びた感じがいいアクセントとなっているし。「想い出の渚」にはさりげなく「ドント・ウォリー・ベイビー」色が入り、いい幕引きだ。全体的に転調をアクセントにしたアレンジは、やはり小谷充氏だろうか。

ここまでサックスがはりきっているのに、意外に場末感がないのも不思議で、やはりGS時代の曲にはマジックがある。何より、この全体の音像そのものが魅力的。ニー・ショップスとかファイブ・サンズとか、この手の和製ポップスの曙的なインスト盤の放つオーラは意外となめられないですよ。ただ、崇めすぎて買えない値段になることは避けたいものです。躍動感のないジャケットはいかにもGS喧騒前夜という感じだが。