黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は和田アキ子さんの誕生日なので

MCA JMC-3005

最新歌謡曲ヒット速報第一集 

発売: 1972年3月

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ジャケット



A1 雨のエア・ポート (欧陽菲菲)

A2 かもめ町みなと町 (五木ひろし)

A3 水色の恋 (天地真理)

A4 流れのブルース (森進一)

A5 夜明けの夢 (和田アキ子)

A6 望郷子守唄 (高倉健)

B1 愛する人はひとり (尾崎紀世彦)

B2 雪あかりの町 (小柳ルミ子)

B3 悪魔がにくい (平田隆夫とセルスターズ)

B4 誰も知らない (伊東ゆかり)

B5 別れの朝 (ペドロ&カプリシャス) 

B6 長崎慕情 (渚ゆう子)

 

演奏: MCAサウンド・オーケストラ

編曲: 土持城夫

定価: 1,500円

 

1970年、ビクターとの新規契約によりレーベルとして新スタートを切ったMCA(後に独立会社MCAビクターを経て、現ユニバーサルミュージックへ)。国内音源制作部門も松崎しげる、エム、頭脳警察などをラインアップに揃え先鋭的なリリースを72年まで展開。その末期に歌無歌謡の新シリーズ『最新歌謡曲ヒット速報』を2枚リリースした。ビクタースタジオ備え付けのミキシングコンソールをジャケットにあしらい、サウンド的こだわりを視覚にまで訴える力の入ったシリーズに…なるはずが、MCA国内制作部門がビクターGAMレーベルに引き継がれたため、2枚で打ち止めとなったのである。

とにかく、マルチ録音の利点を活かしたタイトなサウンドが、針を落とした途端飛び出してくる。シャープなベース音は決して出しゃばっていないのに耳を捉え、分離のいいミキシングが全体をバランスよくまとめ上げている。冒頭の筒美京平曲2連発で早くも全開だ。「望郷子守唄」を彩るサイキックな音響、「誰も知らない」の過激なファズサウンドも効果的。「悪魔がにくい」は原曲の編曲者自身によるセルフリアレンジを堂々と実行。曲を詰め込みすぎない方針にもこだわりが表れた好盤。

ところでゴッド姐ちゃん、歌無歌謡で聴くと改めて名曲の多さに敬服するのですが、何故か「古い日記」が手許にありません…きっとどこかにあるんでしょうけどね。