黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は加山雄三さんの誕生日なので

Camel C-37

加山雄三ヒットメロディー 

発売: 197?年

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ジャケット+盤



A1 ぼくの妹に

A2 夕陽は赤く

A3 走れドンキー 

A4 まだ見ぬ恋人 

A5 夜空の星

A6 蒼い星くず 

A7 美しいヴィーナス 

A8 夕陽よ 

B1 霧雨の舗道

B2 旅人よ 

B3 二人だけの海

B4 小さな恋人 

B5 君といつまでも

B6 夜空を仰いで

B7 ある日渚に

B8 お嫁においで 

 

全作曲: 弾厚作

演奏: インペリアル・サウンド・オーケストラ

編曲: 無記名

定価: 1,800円

 

今ブログでは、基本的に一人のアーティスト(作曲家も)に焦点を絞ったインスト集は取り上げない方針だが、何回かは例外もあり得る(特に火曜日)。それこそ、80年代以降当たり前に作られるこの種のアーティスト作品集にありがちな淡白なカラーと、それ以前の歌無歌謡は無縁でなきゃいけないのだ。と言えども、本日84歳を迎える永遠の若大将・加山雄三(弾厚作)の作品集は、それこそ70年代から何枚も出されており、それぞれに手堅いアレンジを得ながら、曲そのものが持つ永遠性を浮き彫りにしてくれるのである。よって「例外」のひとつとした。

ところで、これを出している「CAMEL」は、特に「パチソン」に属する音盤を追い求める一部マニアから熱い注目を浴びている「エルム」の傘下レーベル。パチソンに限らず、歌謡曲・ポピュラー・歌あり歌なし問わず、せこい「サウンドアライク盤」ビジネスで名を上げており、宗内も小学生の頃、デパートの特売コーナーで時折開かれたレコード市の類で、これらのレコードが売られる光景を頻繁に目にしたし、その名残は未だに駅構内などで時折売られる廉価CDやカセットの中に見られたりする(近年は正規レコード会社もその手の廉価盤ビジネスに積極的に進出しているため、そこまで目立ってはいないが)。これらの中で聴かれるサウンドの独特のせこさは、ちょっとこれについてまともに語らなきゃいけないなという意識を妙にそそりたたせるのである。当ブログでは今後も邦楽洋楽問わず、ここ及び周辺マイナーレーベルのレコードを語る機会はやってくるはず。一部歌入りレコードについても語りたい位であるが。

この加山メロディー集は、やはり曲本来の魅力のおかげで、そこまで妙な出来に陥っていない。トップの「ぼくの妹に」こそフルオーケストラで演奏されるが、以下はシンプルなバンド編成で小気味よい演奏に統一されている。気合入ったエレキサウンドで聴かせる「夜空の星」や、小技が効きまくった「旅人よ」など、実はシャープファイヴの弟バンドの演奏ではないかとさえ思わせる。「蒼い星くず」もエレキサウンドではあるが、主旋律が妙なシンセで奏でられており、時空を超えた仕上がりが耳をくすぐる。「夕陽よ」はオルガン中心でエキゾかつサイケに傾いたアレンジ。さすがに「君よいつまでも」になると場末感が露呈するが、田舎の結婚式みたいでそれなりの良さがある。

最後にこのレコードの入手裏話を。昨年12月に某オークションに出された時、すかさずビッドしたが、寝ている間に競り負けるという失態。しかし、その6日後、ふと入った某リサイクルショップのジャンク盤コーナーから、まさかの出現!してやったり。こういう経験があるから、dig道はやめられません。やっぱ、ジャケットに罠が潜んでる方がいいんですよ…この程度がちょうどいい…(盤で隠しましたが…汗)