黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

水前寺清子さんの誕生日は10月9日

クラウン GW-5146

盃 大正琴ヒット歌謡メロディ集

発売: 1970年5月

ジャケット

A1 姿三四郎 (姿憲子)

A2 東京でだめなら (水前寺清子)

A3 艶歌 (水前寺清子)

A4 兄嫁 (笹みどり)

A5 仁義 (北島三郎)

A6 いっぽんどっこの唄 (水前寺清子)

A7 薩摩の女 (北島三郎) 🅱

B1 空手道 (水前寺清子) 🅱

B2 (北島三郎)

B3 女のうず潮 (笹みどり)

B4 浪曲子守唄 (一節太郎)

B5 兄弟仁義 (北島三郎) 🅲

B6 下町育ち (笹みどり)

B7 函館の女 (北島三郎) 🅱

 

演奏: 吉岡錦正・錦英 (大正琴)、村岡実 (尺八)/クラウン・オーケストラ

編曲: 安藤実親

定価: 1,500円

 

セガサターン、シロ!」ではありません(爆)。というわけで、一般だとクラウンは演歌のイメージが強いけど、インスト盤になると主流からかなり外れてしまうんですよ、演歌系は。67年までの、自社曲中心に取り上げた盤となると、もろそればっかりなんですけど。70年リリースのこの盤は、そんな67年までの芸風を忠実に引き継いだ異色アルバム。もちろん自社曲だけで固め、ぬるぬるな「禁じられた恋」に象徴される大正琴ポップス路線と一線を画した、気合入ったサウンドが全編に展開。ジャケットからして、普段のクラウンと全く芸風が違う。

なぜかチータの曲は歌無歌謡界では避けられる傾向にあって、今まで取り上げた盤にもポツポツとしか入っていない。昨年の10月9日に春日八郎大先生祝福に走ったのは、そんな事情のせいで。「三百六十五歩のマーチ」でさえ、つい4日前に手に入れた盤にようやく顔を見せた位で。その親しみやすさがかえって、演奏に置き換えづらかったのではないか。隠れ名曲も多いんですけどね。「祭りになればいい」とか「魚のロック」とか。そんで、レコードもものによってはめちゃ高くなってるし。そんなわけで、こんな企画になると4曲もフィーチャーされております。もちろんドル箱サブちゃんも、例の一文字シリーズの記念すべき一発目「盃」を筆頭に5曲。最新ヒット集というより、クラウンを代表する演歌スタンダード集という趣きが強い。

ただ単に凄みを利かせるだけでなく、所々に意表を突く展開を潜めてみたり。「兄嫁」のイントロなんて場末感溢れるドラマチックさだし、「いっぽんどっこの唄」も途中ちょっとだけグルーヴィなノリに至る。浪曲子守唄」の2番もまったりしたノリの中に、トライアングルが16ビートを刻んでいて不思議な印象。単音のクラビオリンではなく、チージーなオルガンの音が、当世風喫茶店音楽との接点を持ち込んでいるようだ。こんなど演歌ばっかりのアルバムであろうが、最低4曲、歌メロに入ったら咄嗟に歌詞が出てくる自分が恐ろしいです。成長過程内で無意識に刷り込まれたんだろうな…まぁみんな大好きな最後の曲は別格として、あとは「ボロ」「逃げた」「親」なんですけどね。リアルタイムで認識した曲なわけない(瀧汗)。

ところで「兄嫁」を聴いて思ったのだけど、ポリドールには秋美子の曲のインスト盤あるのかな。68年以降の盤にないのは解ってるのだけど(名曲が多発するのはそこからだ)…気になる…