黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は後藤悦治郎さん (赤い鳥、紙ふうせん)の誕生日なので

CBSソニー 18AH-466

最新ヒット歌謡ベスト18

発売: 1978年5月

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ジャケット



A1 サウスポー (ピンク・レディー)Ⓐ 🅱

A2 プレイバックPart2 (山口百恵)Ⓐ 🅱

A3 微笑がえし (キャンディーズ)Ⓐ 🅱

A4 カナダからの手紙 (平尾昌晃・畑中葉子)Ⓐ 🅱

A5 バイブレーション [胸から胸へ] (郷ひろみ)Ⓐ

A6 涙の誓い (アリス)Ⓑ

A7 タイム・トラベル (原田真二)Ⓐ

A8 花しぐれ (高田みづえ)Ⓑ

A9 かもめが翔んだ日 (渡辺真知子)Ⓒ

B1 迷い道 (渡辺真知子)Ⓑ 🅱

B2 愛よ甦れ (野口五郎)Ⓑ

B3 追いかけてヨコハマ (桜田淳子)Ⓑ

B4 冬が来る前に (紙ふうせん)

B5 甘ったれ (森進一)Ⓐ

B6 失恋魔術師 (太田裕美)Ⓐ

B7 きっと今日からは (清水健太郎)Ⓐ

B8 桃花源 (さだまさし)Ⓐ

B9 UFO (ピンク・レディー)Ⓐ 🅱

 

演奏: クリスタル・サウンズ

編曲: 矢野立美Ⓐ、松井忠重Ⓑ、西崎進Ⓒ

定価: 1,800円

 

クリスタル・サウンズによる、78年春のヒット曲がずらり18曲。冒頭4曲は既にクラウン盤をレビューしているが、こちらの方が歯切れのいい演奏でかつオリジナルの再現度が高い。やはり主軸をカラオケにシフトしていたおかげか、カラオケ前提の完奏バッキングに色とりどりの主旋律を添えて、しっかり鑑賞に耐えるものにしている。「プレイバックPart2」はオリジナルが5月1日発売であり、自社商品というアドヴァンテージはあるものの、短期間でオリジナルを吟味しつつアレンジを煮詰めた職人の意地が感じられる。オリジナルで演奏したミュージシャンが、特にリズム隊に起用されている可能性もあるが…クラウンと違い、シンセのシーケンスもせこい音色ではあるが、再現されている。微笑がえしもさすが自社商品、リズムのキレがクラウンと雲泥の差だ。最後の方、よく聴くとベースが遊んでいるが…

原曲の完成度が高すぎる「タイム・トラベル」もシンセの音色など滑稽で面白い味を加えているし、アダモが提供した「甘ったれ」の意外なシティポップ性が浮き彫りになったり、所々ハッとさせる展開があるが、最大の聴きものは「失恋魔術師」。多彩な音色を動員してラブリーに快走してみせる。Bメロで笛っぽいシンセの音に、右のチャンネルからリコーダーのデュエットが寄り添ってみせるところに、ほんのりスマイル。ここまでカラフルなアレンジをバンドサウンドで実現できたら、思い残すことありません…ラスト「桃花源」「UFO」(タイトルフレーズの発声入り!)のコンビネーションがシュールで頬が緩むけど、さすがに片面に32分も入れてるので、その辺りで音質がかなりデンジャラスになってるのが残念。