黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は吉幾三さんの誕生日なので

クラウン GW-3183~84

ビッグ・ヒット歌謡ベスト36 サウスポー・微笑がえし

発売: 1978年4月

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ジャケット+盤

 

A1 微笑がえし (キャンディーズ)Ⓐ 🅰→4/3

A2 サムライ (沢田研二)Ⓑ 🅰→4/21

A3 泣き虫 (清水健太郎)Ⓐ

A4 愛よ甦れ (野口五郎)Ⓒ 🅱

A5 今夜は気取って (布施明)Ⓐ

A6 酒と泪と男と女 (河島英五) 🅲

A7 若き旅人 (狩人)Ⓐ 🅱

A8 おまえに (フランク永井)Ⓑ 🅰→9/18

A9 追いかけてヨコハマ (桜田淳子)Ⓒ 🅲

B1 カナダからの手紙 (平尾昌晃・畑中葉子)Ⓐ 🅰→4/21

B2 甘ったれ (森進一)Ⓒ 🅲

B3 UFO (ピンク・レディー)Ⓐ 🅰→4/3

B4 俺はぜったい! プレスリー (吉幾三)

B5 あんたのバラード (世良公則&ツイスト)Ⓒ 🅰→4/3

B6 失恋魔術師 (太田裕美)Ⓐ 🅱

B7 津軽海峡 冬景色 (石川さゆり)Ⓓ 🅴

B8 恋人たちの100の偽り (太田裕美)Ⓐ 🅱

B9 しあわせ芝居 (桜田淳子)Ⓒ 🅱

C1 サウスボー (ピンク・レディー)Ⓐ 🅰→4/3

C2 二十才前 (岩崎宏美)Ⓒ 🅱

C3 勝手にしやがれ (沢田研二)Ⓐ 🅳

C4 春の予感 (南沙織)Ⓑ 🅱

C5 ウォンテッド (ピンク・レディー)Ⓐ 🅲→9/18

C6 沈丁花 (石川さゆり)Ⓑ 🅱

C7 昔の名前で出ています (小林旭)Ⓔ 🅰→4/3

C8 赤い絆 (山口百恵)Ⓐ

C9 ひとり歩き (小柳ルミ子)Ⓒ 🅲

D1 迷い道 (渡辺真知子)Ⓐ 🅰→4/3

D2 乙女座 宮 (山口百恵)Ⓑ 🅱

D3 青春物語 (狩人)Ⓐ

D4 潮どき (五木ひろし)Ⓒ 🅱

D5 わかれうた (中島みゆき)Ⓐ 🅲

D6 灯りが欲しい (五木ひろし)Ⓑ 🅱

D7 もう一度一から出なおします (小林旭)Ⓐ 🅱

D8 わな (キャンディーズ)Ⓒ 🅲

D9 案山子 (さだまさし)Ⓐ 🅱

演奏: クラウン・オーケストラ

編曲: 井上忠也Ⓐ、久冨ひろむⒷ、神山純Ⓒ、石川大介Ⓓ、小杉仁三Ⓔ

定価: 3,000円

 

乱発しまくりの上に曲被りまくりのクラウン歌無歌謡最後の1年、完全ドキュメントしたらほんと頭おかしくなりそう…これなんかジャケットもあれすぎだし。「見せんかい」と言ってくる勢力もいそうですが、タダでそういう欲求を満たすとこじゃないですからねここは。主役は音楽です。

キャンディーズ最後のライヴの月に発表されたこのアルバム、それに相応しく微笑がえしが1曲目。前年から引き継がれるロングランヒットも交えつつ、初期「ザ・ベストテン」の想い出をフラッシュバックさせる。新米中学生としてどきどきの日々を送ってましたよ自分は…放課後、密かに思いを寄せていたTちゃんが体操服のままリコーダーを吹きながら駆け寄ってきて、「この曲知ってる?」って聞いた時のキュンキュンぷりったら。ずっと忘れていたけど、その曲はクリッパーの「あいつのストリート」(78年5月新譜)だったことをつい最近、思い出しました。そんな曲、クラウンの歌無歌謡アンテナには引っかかってなかったけど(一応オリコン80位まで行ってる)。70年の出来事だったら、選曲されてたかもしれないな。生憎、78年にそこまでの冴えは残されてませんでした。

おっと、めちゃ話が脱線してしまったけど、ヒットソングってのはそんな感情を素直に投影するものなんです。このアルバム聴いてると、ほんとそう思う。「泣き虫」なんて、歌手そのもののその後の地位堕落のせいで、滅多に聴けない曲になってしまったけど、いい曲じゃないですか。左のチャンネルで誘惑する天使の歌声が、エモさのツボを刺激します。「今夜は気取って」も隠れがちだけど名曲だし、A面ラスト前にはクラウン必殺の1曲「おまえに」が控えている。「甘ったれ」はアダモの作曲により、森進一がアーバンな世界に挑んだ異色作だけど、ここでのアレンジは極度にアーバン色を高めており、「エーゲ海の真珠」を借りたようなエレピや女性コーラスがムードたっぷり。シティソウルだわ、これ(汗)。吉幾三初のメジャーヒット「俺はぜったい!プレスリーは、ノベルティ性を高めてのアレンジ。のちのネタアーティストとしてのブレイクの発芽はこの曲にあったのだ。「失恋魔術師」は残念ながらクリスタル・サウンズの圧勝。その分、「しあわせ芝居」で取り返している。Tちゃんの体操服姿を蘇らせてくれるリコーダーの音…(汗)

2枚目では、勝手にしやがれ「わかれうた」のようなメガヒット曲が無難なアレンジすぎてかえって萎えるし(後者はミノルフォン版がTちゃんの…おっと、その話はもうおしまい!)、例の昔の名前で出ていますも入っているが(これで5回目の登場)、「潮どき」のアーバン演歌が耳をくすぐる。なかなかファンキーなフルート入り。もう、この世の中が「潮どき」に達して欲しいと思いませんか…