黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

冒頭3曲で早々と崩壊するラブストーリー

アトランティック L-5026~7

ひとりじゃないの 華麗なるドラム・ベスト・ヒット40

発売: 1972年5月

ジャケット

A1 結婚しようよ (吉田拓郎) 🅹→22/3/31

A2 ひとりじゃないの (天地真理) 🅺→10/18

A3 別離の讃美歌 (奥村チヨ) 🅶

A4 太陽がくれた季節 (青い三角定規) 🅸

A5 初恋の頃 (淡路まさみ) 🅱

A6 さようならの紅いバラ (ペドロ&カプリシャス) 🅰→21/5/28

A7 ふたりは若かった (尾崎紀世彦) 🅳→21/5/28

A8 北国行きで (朱里エイコ) 🅰→21/5/28

A9 あの鐘を鳴らすのはあなた (和田アキ子) 🅱→21/5/28

A10 新しい冒険 (フォーリーブス) 🅰→21/5/28

B1 青い麦 (伊丹幸雄) 🅱

B2 恋の追跡 (欧陽菲菲) 🅳→21/5/28

B3 お嫁に行くんだね (水原弘)

B4 嵐の夜 (にしきのあきら) 🅱→21/10/18

B5 若い涙はみな熱い (森田健作) 🅱

B6 恋人たち (ピープル)

B7 お別れしましょう (朝丘雪路) 🅱→21/5/28

B8 ハチのムサシは死んだのさ (平田隆夫とセルスターズ)☆ 🅰→21/5/28

B9 涙 (井上順)☆ 🅰→21/5/28

B10 今日からひとり (渚ゆう子) 🅳→21/5/28

C1 ちいさな恋 (天地真理)☆ 🅰→21/5/28

C2 瀬戸の花嫁 (小柳ルミ子) 🅴→21/5/28

C3 雨のエアポート (欧陽菲菲)☆ 🅱→21/5/28

C4 友達よ泣くんじゃない (森田健作) 🅰→21/5/28

C5 さすらいの天使 (いしだあゆみ) 🅰→21/5/28

C6 かもめ町みなと町 (五木ひろし) 🅱→21/5/28

C7 許されない愛 (沢田研二) 🅱→21/5/28

C8 めぐり逢い (渚ゆう子) 🅰→21/5/28

C9 フレンズ (平山三紀) 🅰→21/5/28

C10 波止場町 (森進一) 🅹

D1 愛する人はひとり (尾崎紀世彦)☆ 🅱→21/7/4

D2 ピンポンパン体操 🅱

D3 水色の恋 (天地真理)☆ 🅴→21/7/4

D4 雪あかりの町 (小柳ルミ子) 🅷→22/4/6

D5 誰も知らない (伊東ゆかり)☆ 🅲→21/7/4

D6 雨の御堂筋 (欧陽菲菲) 🅶→22/4/6

D7 悪魔がにくい (平田隆夫とセルスターズ) 🅳→21/10/18

D8 夜明けの夢 (和田アキ子) 🅳→22/4/6

D9 長崎慕情 (渚ゆう子) 🅵→22/4/6

D10 二つのギター (小山ルミ) 🅲→22/4/6

 

演奏: 市原明彦 (ドラム)/ワーナー・ビートニックス

編曲: 原田良一、穂口雄右(☆)

定価: 3,000円

 

今回も所謂自分内での「4大楽団」は勢揃いしてます。当然ワーナー・ビートニックスも。まだまだコンプリートには程遠いですが、慎重に揃えていきますよ。ただ、このセットは9曲を除くと、既にここで語った盤と被っている…というわけで音楽的メリットに触れるのは困難。でも、特筆事項はありますよ。これは2枚組として初めてリリースされた盤なのですが(テナー・サックス盤「さようならの赤いバラ」も同時に出ている)、2枚組なのに普段の盤と同じように窓開きスタイルになっている。これはお店で買ったのですが、一体どういうことと、手に取った途端疑問符に襲われましたね。で、買いやすい値段だったので当然買い。ワーナー・ビートニックスを3桁台で買うのは、買い始めた頃から既に至難の技だったからね…で、どんな仕掛けになっているかというと、見開きジャケット内部の最初に写真を印刷したページが出てきて、それを貼り付けた形で1枚目を収納した紙スリーヴが綴じられているという仕組み。2枚目は普通にジャケットに収納されている。さすがにこのカラクリはコストが嵩んだのか、次の発売分からは通常のダブルポケットのジャケットで発売され、見た目だけふちどりというニュアンス。見た目ワーナー・ビートニックスなのは明白だけど、何枚持っていようが楽しいし、このスタイルはCD紙ジャケにすると相当興醒めしそう。

そんな、パターン化されたビートニックス・ワールドが大好きなのですが、全部集めて改めてヴァージョンチェックするとなると、相当神経使いそう。なので、その盤だけに収められたユニークトラックが何かを検証していくしかなさそうですね。ミノルフォンの小梅ちゃんシリーズにしてもそうですけど。例えばA面は、他の盤でめちゃ聴いた曲が大多数なのですけど、例えば太陽がくれた季節は初めて聴くので、どうなっているか気になる。案の定ビートが効いていて、かっこよく演っているけど、この曲の決定版は山内さんのテイチク盤だという思想は揺るがないので、まぁそんなもんだなと。その意識のうちに続く「初恋の頃」を聴くと、はっとするのですよ。この地味な曲をこんな派手にやっちゃっていいのか?と。ちなみにこの曲、歌手名を伏せてプロモーションされたことも好き者の間では知られていますが、オリコン92位(そして「オリコン・チャート・ブック」では歌手名誤植という仕打ちに…)。B面も、今ではジャケットのインパクトが独り立ちしたような印象がある「お嫁に行くんだね」や、オックスの後身バンドが出した筒美作品「恋人たち」などユニークな選曲があるし、前者も面白いアレンジを聴かせる。2枚目に行くと、山内さんの当たり曲「波止場町」と、穂口氏による痛快なアレンジが楽しめるピンポンパン体操だけが独自トラック。続く「水色の恋」ともシームレスに繋げられそうな一体感がある。いっそノンストップミックス版にした方がいいのではとさえ思える、終始ドラムグルーヴが脈打つセットだ。