黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日はアン・ルイスの誕生日なので

クラウン GW-5294

エスタデイ・ワンス・モア/白い恋人たち 電子オルガン・ポップス・コンサート

発売: 1974年8月

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ジャケット



A1 サバの女王 (レーモン・ルフェーブル) 🅱→6/1

A2 コンドルは飛んで行く (サイモン&ガーファンクル) 🅳→6/1

A3 白い恋人たち (フランシス・レイ) 🅱

A4 ふたりの急行列車 (チェリッシュ)

A5 神田川 (かぐや姫)

A6 白いギター (チェリッシュ)

B1 イエスタデイ・ワンス・モア (カーペンターズ) 🅲→6/1

B2 やさしく歌って (ロバータ・フラック) 🅱→6/1

B3 五番街のマリーへ (ペドロ&カプリシャス)

B4 あなた (小坂明子)

B5 灰色の瞳 (加藤登紀子長谷川きよし) 🅰→6/1

B6 グッドバイ・マイ・ラブ (アン・ルイス)

 

演奏: 田中明子とフローラル・ポップス’74

編曲: 神山純

定価: 1,800円

 

半分というか7/12が歌謡曲ということで「歌謡フリー火曜日」に取り上げないことにした、電子オルガンイージーリスニングもの。そろそろクラウンも「演るアイドル路線」に乗ろうかという勢いで、20歳の新人・田中明子さんを発掘。既にいくつかのテレビ番組で活躍、「ミス銀座」に選ばれたこともあるという正真正銘のお嬢様。その親しみやすさはちゃんと、表ジャケットでフィーチャーされるに至っている。まぁ、当時のアイドルの主流が17歳未満(それこそヤマハJOCの「若き音楽家」は10代未満もざらであった!)であるということを考えると、相当な「お姉さま」だけど、20歳で講師経験ありというのは現在の水準からすると驚異的だ。嗚呼、あの時代はもう戻ってこない…

あの悪名高き「ピアノ騒音殺人事件」が起こった月にリリースされたこのアルバムは、その前の月の8日に一気に録音。田代・西村両ユリに代表される先輩方のアルバムと比較すると、あくまでもアンサンブルの一部としてオルガン(カワイのドリマトーンE-8D)を際立たせようという意図が打ち出された手堅いもので、派手なアドリブや主旋律を飾る和声構築は一切なし、様々な音色を生かしながら主旋律を忠実に奏でるのに終始している。性急な制作状況のせいか、はたまた若さが露呈したのか、所々テヘペロ的なプレイに傾いたりしているが、そのカラフルな音色からはアイドル性さえ伝わってくる。LFO系の音色構築に力を入れたのか、エレクトーンやビクトロンのレコードで味わえないサウンドもそこここに。「コンドルは飛んで行く」ケーナ代わりに使われるリコーダーや、神田川」「やさしく歌って」でのフルートなど、お嬢さん度の高い音がサポートで目立つ。楽しそうに演奏しているのが伝わってくる「ふたりの急行列車」がベストトラック。もっともっと伸びてほしかったと思わせる、初々しいアルバム。

このアルバムを始め、74年のクラウンの録音には「トライデント・レコーディング・システム」が採用されていたことが大々的に明記されており、要は英国のトライデントに当時あったのと同じ卓を使用して制作されたということである。そう、翌年「ボヘミアン・ラプソディ」を録るのに使われたのと同じ卓である…その辺を考えてまで聴くもんじゃないですよね…