クラウン GW-5282
'73 ドラム・フォーク・ポップス 神田川・一枚の楽譜
発売: 1973年12月
A2 一枚の楽譜 (ガロ) 🅲
A3 夏色のおもいで (チューリップ) 🅱
A4 心もよう (井上陽水) 🅴
A5 伽草子 (吉田拓郎) 🅰→6/18
A6 たどりついたらいつも雨ふり (モップス)
A7 ロマンス (ガロ)
A8 てんとう虫のサンバ (チェリッシュ) 🅳
B1 学生街の喫茶店 (ガロ)☆ 🅱→6/18
B2 心の旅 (チューリップ) 🅰→5/2
B3 おきざりにした悲しみは (吉田拓郎)☆
B4 ケンとメリー~愛と風のように~ (BUZZ)☆ 🅰→6/18 (短縮版)
B5 紙風船 (赤い鳥) 🅱
B6 君の誕生日 (ガロ) 🅲→6/18
B7 若草の髪かざり (チェリッシュ)☆ 🅱
B8 赤とんぼの唄 (あのねのね) 🅰→6/18
演奏: ありたしんたろうとニュービート
編曲: 青木望、水上卓也 (☆)
定価: 1,800円
颯爽と元の歩みに戻って、レイ・デイヴィスの誕生日でもある今日は、中2日でありたしんたろうとニュービート再登場。「神田川」の大ヒットで予期せずフォーク・ブームを先導することになったクラウンが、その波に歌無歌謡の看板サウンドを見事に乗せてみせた企画。と言えども、全てが新録音というわけでなく(録音は10月19日に行われたというクレジットがあるが)、うち5曲は既に3日前取り上げた『赤い風船』に収録されていたのと同じヴァージョンだし、それ以前が初出の曲もある。ヒットの時期から判断しても、ここで初出が確実なのは冒頭の4曲くらいではないだろうか。
ありたしんたろうの本名名義(?)では、ビクター・ワールドにフォークを取り上げたアルバムが残されているが、ここではあくまでも営業モードに則りつつ、所々で個性的アピールを欠かさない。「神田川」はさすがに自社の看板アイテムということで大胆に料理することはせず、オリジナルの枠組みにさりげなくダイナミックなビート感をはめ込んでみせる。一転して「一枚の楽譜」ではいきなり派手に個性が炸裂。新たに導入されたメロトロンが異様なムードを誘き出す。「夏色のおもいで」でもメロトロンが大活躍。コーダ部分でのドラミングのこれでもか感に唸らざるを得ない。「心もよう」はLPを45回転でかけた並にスピードアップ。東宝の好夫ヴァージョンのミステリアスさに触れた耳には刺激が足りないが、これはこれで面白い。「たどりついたらいつも雨降り」はほぼオリジナルに忠実なサウンド。「ロマンス」の軽さはこの流れだと貴重だが、この曲の最高ヴァージョンは10日ほど経ったら語りますね…
『赤い風船』との重複曲に関しては言及は避けるが、「ケンとメリー」は1分以上長いフルレンスヴァージョンになっている。このヴァージョンの初出は4チャンネル盤『学生街の喫茶店』(GW-7047Q)のはずだが、そのタイトル曲共々ここで聴けるミックスには4ch的要素がなく、その辺まで追求してるとキリがない…「君の誕生日」の「サザエさん現象」はやはりここでも起こっている。
なお、ライナーに貴重な談話を提供しているのは、あの牧村憲一氏。のちにフリッパーズ・ギターを世に送った、あのマキGさんである。歌無歌謡界にも偉大な足跡を残していたとは…