黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は沢田研二さんの誕生日なので

ポリドール MR-3194 

秋本薫のテナー・サックス 忘れな草をあなたに

発売: 1971年12月

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ジャケット+盤



A1 忘れな草をあなたに (菅原洋一)

A2 お祭りの夜 (小柳ルミ子)

A3 遠くはなれて子守唄 (白川奈美)

A4 潮風のメロディー (南沙織)

A5 火の女 (森進一)

A6 涙の誓い (和田アキ子)

A7 この胸に (はしだのりひことクライマックス)

A8 水色の恋 (天地真理) 🅳

B1 月光のノクターン (ザ・キング・トーンズ)

B2 CHOTTO MATTE KUDASAI (ゴールデン・ハーフ)

B3 青空は知らない (堺正章)

B4 君をのせて (沢田研二)

B5 おもいでの長崎 (いしだあゆみ)

B6 誰も知らない (伊東ゆかり) 🅱

B7 お世話になりました (井上順)

B8 虹と雪のバラード (トワ・エ・モア)

 

演奏: 秋本薫、ポリドール・オーケストラ

編曲: 川上義彦、森岡賢一郎(A8のみ)

定価: 1,500円

 

歌無歌謡黄金時代の主役=ジュリーを讃える日が遂にやってきました。とにかく、72年以降になるとどのレコードにも、ジュリーの曲が入ってないとしょうがない事態になってきてるし、イレギュラーな英語盤は除くとしても、79年までに発売された全シングルA面曲の歌無ヴァージョンを最低1つは持っていたいという願望が続いている。最後の「ロンリー・ウルフ」以外にも、もう一つ手に入っていない曲があるのだが、それが収録されている盤を巡って某オークションでビッド合戦に突入したほどで、あまり気合入れ過ぎは良くないですけどね…

というわけで今日は記念すべき初の本格的ソロシングル「君をのせて」が収録されている盤を敢えて選んでみました(当然ジブリのあの曲ではありませんよ!)。名曲中の名曲ではあるけど、快進撃の序曲的な存在なので、そこまで頻繁に取り上げられたわけじゃないし、今のところこのポリドール盤の他に、ワーナー・ビートニックスのテイクが2つ確認されてる位である。当然クラウンあたりにもありそうだが…

グラモフォン~ポリドールのサックスムード路線ですっかりお馴染みの秋本薫氏が手堅く聴かせる71年末のヒット曲集。相変わらずの「ミラクサウンド」ではあるけれど、録音技術が格段にシャープになり、個々の音の粒が立っている。ドラムにしても、やっぱ原田寛治だろうなという感触を残しつつ、響きがタイトになっているし、ストリングスの色付けも鮮やか。71年前後のポリドールの歌謡レコード幾つかは、モヤモヤとした響きが特徴的だったが(特にドラム)、そこから抜け出たという感じがする。ハワイのサム・カプーを発祥に、様々なアーティストのカヴァーが発表され話題になった「CHOTTO MATTE KUDASAI」が特にムーディ度が際立つ名演だが、色気よりも爽やかさの方が強い。「水色の恋」だけは、オリジナルと同じく森岡賢一郎氏をアレンジに起用しているが、当然音の質感は違う。この曲に関しては色々と謎が残りますね…

最後に、色気よりも爽やかさの方が強い演奏でありながら、このジャケットはないでしょう…裏にもこの写真だし、見開き内側でも背景に何度もリピートで使われている。余程強調したかったんでしょうね…仕方なく盤でカムフラージュしようとしたら、中から出てきたのは白レーベル(汗)…ということで、他のポリドールの盤を苦肉の策として出してきましたとも。クレジット周りも一部の作詞家・歌手の名前が抜けているし(肝心のジュリーまで!「虹と雪のバラード」には4組も歌手名が載せられているのに)、余程政治的な何かがあったのでしょうか。