黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1977年、今日の1位は「渚のシンドバッド」

Dovecot DL-1001

ヤングアイドル・ベスト12

発売: 1978年

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ジャケット



A1 カルメン’77 (ピンク・レディー) 🅱

A2 渚のシンドバッド (ピンク・レディー)

A3 S.O.S. (ピンク・レディー)

A4 ウォンテッド (ピンク・レディー)

A5 UFO (ピンク・レディー) 🅲

A6 サウスポー (ピンク・レディー) 🅲

B1 やさしい悪魔 (キャンディーズ)

B2 わな (キャンディーズ)

B3 秋桜 (山口百恵)

B4 横須賀ストーリー (山口百恵) 🅲

B5 しあわせ芝居 (桜田淳子)

B6 センチメンタル (岩崎宏美)

 

演奏: Dovecot Sounds

編曲: 柳刀太

備考: カラーレコード (橙)

定価: 1,480円

 

前日に続きヨーカドーのカラオケレコード、記念すべき1番若い番号の1枚はやはり、当時のトップアイドルPLを軸とした女の子向けのアイテム。こうきたのがヨーカドーらしいというか、夜の盛り場層をメインターゲットとしていたメジャーなカラオケ市場と一線を画すスタンス全開。カラオケにファッショナブルなイメージを植え付けたという点では、時代を10年以上先取りしていたかも(?)。なんかよくわからない抽象的なジャケットもカラーレコードも、まさに「素面でもいける」と語りかけてるようだ。どうせなら、ピンクの盤にすればよかったのに。

A面は一家に一枚もののピンク・レディー大会。のっけのカルメン’77」からもろ、完全に忠実にオリジナルを再現している。実は本家ビクターからも公式にオリジナル・カラオケのシングルが出てたりしていたので、今となっては存在価値も何もないけれど、ヨーカドーの売り方は見事にその裏をかいたようで、なんとなく買って「あ、これ使えるじゃん」みたいな反応を狙ったに違いない。自分も聴いててまずやったことといえば、歌うことでしたから(汗)。ガイドメロディの音量は昨日取り上げた『青春の思い出』に比べると若干大きめ。それもお子様狙いかな。渚のシンドバッド「S.O.S.」はかなり飛ばし気味のテンポで、踊りながら歌うのは大変そうだ。あと、前者はやはり「幸福泥棒」から相当逸脱している(爆)。

B面のお姉さま方の曲もオリジナルの再現度がかなり高く、かえってガイドメロディの存在が滑稽に感じたりする(特に横須賀ストーリー。女性コーラスも必要以上にエモすぎ)。エルム版のようなどうしようもない演奏だと、カラオケになり難いけど、好き者としてはそういう要素があった方が楽しいですね。ヒロリンの曲はどうしてこの段階で「センチメンタル」を選んだんだろ。いい演奏なんだけど、女性コーラスに気を取られる。

いずれにせよ、78年の乙女心を微妙にくすぐる選曲。43年経った今も、そのままの気持でこのオケに合わせて歌える元乙女達、かなりの数いそうですね。