黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は未唯さんの誕生日なので

ビクター SJX-2166

サウスポー/微笑がえし ダイナミック・マーチ・パレード

発売: 1978年

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ジャケット

A1 サウスポー (ピンク・レディー) 🅴

A2 UFO (ピンク・レディー) 🅵

A3 ウォンテッド (ピンク・レディー) 🅶

A4 渚のシンドバッド (ピンク・レディー) 🅵

A5 カルメン’77 (ピンク・レディー) 🅶

A6 S.O.S. (ピンク・レディー) 🅲

A7 ペッパー警部 (ピンク・レディー) 🅲

B1 微笑がえし (キャンディーズ)Ⓒ 🅳

B2 アン・ドゥ・トロワ (キャンディーズ)Ⓑ 🅲

B3 わな (キャンディーズ)Ⓐ 🅳

B4 やさしい悪魔 (キャンディーズ)Ⓒ 🅲

B5 年下の男の子 (キャンディーズ)Ⓐ 🅱

B6 春一番 (キャンディーズ)Ⓑ 🅲

B7 ハートのエースが出てこない (キャンディーズ)Ⓑ 🅱

 

演奏: ビクター・ブラス・オーケストラ

編曲: 筒井広志Ⓐ、野々村直造Ⓑ、越部信義

定価: 2,000円

 

全然運動会シーズンじゃないけど、そろそろ春一番の到来ですね…ということで「体育会系シリーズ」2枚目の登場と相成りました。ノリにノるビクターの財産、ピンク・レディーに的を絞って行進曲仕様に仕立て上げましょう、というコンセプトは出てきて当然と思われるけど、それじゃアルバムが片面しか埋まらないし、じゃもう片面には解散も決まったし(この盤が出た頃にはもう済んでたかも)、あの三人でいきましょうとお約束の成り行きに。それにしても、自社財産故PLの写真はふんだんに使っておいて(しかもシングルジャケ写の別テイク!本人公認じゃなきゃそんな芸当はできないはず)、あの三人に対してその仕打ちはないでしょうと。蘭ちゃんの目に届かないことを祈りたいです…近頃は同社内であれ安直に人のアー写は使えないだろうし、まだおおらかな時代だったと思いますが(8年前の「ヒット!ヒット!歌謡曲」なんてもっとヤバいですからね…昨年8月21日の項を参照)。

まぁとにかく、予測された通りの内容で、特に「サウスポー」はスポーツがテーマ故全く違和感なく、使い勝手が高い。「UFO」「ウォンテッド」には多少違和感あるけれど、当時の小学校なんかでは頻繁に使われまくったのではないだろうか。渚のシンドバッドは駆け足仕様にするわけでもなく、まったりと並足歩行向き。越部氏アレンジの割にサザエ色は希薄なので、面白味がないが(爆)。カルメン’77」に滑稽な色が与えられているのがかえって面白い。いずれにせよ、PLの曲はこういう場にうってつけのアンセム揃いって思い知らされますね。

もう片面、ジュリーでもよかったと思うのですけど。当時の最新曲が「サムライ」だったことを思うと、それも無茶な想いだけど、キャンディーズをこんな場に持ち出されると、むしろ感傷的になる。微笑がえしで楽しそうに行進なんて、穂口さんが知ったらどう思うだろうか…卒業式で地味なアレンジで実演するとか、それならまだ解るけど。キャリア終盤の曲は総じてそんな感じだけど、「やさしい悪魔」は珍しくシャッフルテンポのままなので、うきうき気分が高まりそうだ。やはり春一番は全然違和感ない、春の大会にぴったり。途中ちょっと過剰に雰囲気作りしすぎたような箇所があるけれど、鼓笛隊の実演で演られたら盛り上がりまくりそう。70年代末期におけるヒットソングの存在価値と、その義務教育との共存のプロセスを突きつけられる、衝撃的な一枚だ。これと同じようなことを今したからって、ピースフルな校風が蘇るわけじゃなし。