コロムビア HS-10002-J
ニュー・ヒット14 或る日突然
発売: 1969年7月
A1 長崎は今日も雨だった (内山田洋とクール・ファイブ) 🅵
A2 或る日突然 (トワ・エ・モア) 🅲
A3 禁じられた恋 (森山良子) 🅱
A4 みんな夢の中 (高田恭子) 🅱
A5 涙の糸 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) 🅱
A7 時には母のない子のように (カルメン・マキ) 🅳
B1 愛して愛して (伊東ゆかり) 🅱
B2 港町ブルース (森進一) 🅵
B5 粋なうわさ (ヒデとロザンナ) 🅱
B6 風 (はしだのりひことシューベルツ) 🅴
B7 涙の中を歩いてる (いしだあゆみ) 🅲
演奏: ゴールデン・ポップス・オーケストラ
編曲: 森岡賢一郎
定価: 1,500円
本日で当ブログも100日目(前夜祭は除く)を迎えました。寺さんの訃報に1日黙祷していなければ、これが100枚目…来るとこまで来ましたが、まだまだ先は長いです。開始後解明された新たな謎もあったり、近々「当事者に直撃」の最初の事例を試みる運びになりそうだったり、やはり歌無歌謡のことを考えるのが一番楽しいし、世の理不尽からのいい解放ができてるなと思います。
いい感じでネタも増えてきたので、「はじめに」で提示したポリシーにいくつか変更があることを、この機会に表明します。
「通販で売られたセット物の1枚」「当時のLPの流れを忠実に再現したCD」を取り上げることを示唆していましたが、これらは対象外とすることにしました。また、「2枚組で片方が欠けたもの」もいくつか手許にありますが、万全を期すため排除。但し「ジャケットと違う盤が入っていたアイテム」が1枚あり、それ自体が重要盤のため取り上げます。カセットはすでに1本取り上げているし、語る価値がありすぎるブツが更新予定に組み入れられているので、今更対象外にはしません。
「単独アーティストの楽曲をカヴァーした盤」に関して、主に火曜日に数枚取り上げており、通常の日にもあと数枚予定していましたが、それも諦めました。よって、4月11日の『加山雄三ヒットメロディー』が唯一のその手のエントリになります(火曜日は除く)。但し、各サイド毎に単独アーティストをカヴァーした盤は、すでに1枚(1面)取り上げており、あと2作予定しています。
「相応しいテーマが思いつかない日は、適当に1枚拾い上げて対応」=いわゆる「ノンセクションの日」も、開始当初は10日程設定していましたが、丹念な史実調査、新たに入手したネタの内容などが関係し、結局今後全ての日(火曜日は除く)にある程度のテーマが設定され、そこで語る盤が決まりました。その変更を促すものがあるとすれば、偉大な歌謡関係者の訃報のみです。それこそ、もし「あの方」が亡くなったら、1週間かけて追悼します。
そんなわけで、今後はひたすら「67~79年に市販された歌のない歌謡曲のコレクションLPレコード」を、数回の例外はありますが取り上げていきたいと思います。火曜日に関しても、ポリシー変更を決めましたが、これに関してはもうしばらく黙っておくことにします。
というわけで、本題そっちのけになってしまいましたが…68年まで扱っていたCBSレーベルを筆頭とするコロムビアの洋楽部から枝分かれしてスタートしたインスト盤専門シリーズ、HS品番で出されたレコード30数枚のうち、現時点で手元にあるのは今日取り上げる1枚のみ。何せ質の高さ故か妙に人気があり(村岡実の『尺八ロック』シリーズなど、4桁で買えれば奇跡という領域に達したものも)、全容を解明するのに相当勇気が要りそうである。69年の大ヒット曲が勢揃いの本盤も、取り上げられまくった曲のオンパレードで、見た目には面白味皆無。しかし、その編曲者が森岡賢一郎先生であるというのがポイント。この時点で既に歌謡界随一のアレンジマスターである。せこい仕事をするわけない。本作では「長崎は今日も雨だった」と「港町ブルース」の2曲がセルフリアレンジで、当然原曲の魅力をある程度再現しているが、他の曲も一切手加減せず「自分ならこうするな」という絶妙な技を見せまくり。「禁じられた恋」のキハーダの音がせこかったり、「涙の糸」ではオリジナルのソウルフルさが抑え気味だったりするけれど(この曲にはめちゃ贔屓目があるのでね…)、それらが「落ち度」にはなっていないし、「夜明けのスキャット」もコードの簡素化一切なしで容赦してない。他の盤で聴けるこれらの曲のヴァージョンより、遥かに「華」がある音だ。これが71年とか72年になると、相当変わってきそうだけど、森岡氏の多忙さがそんな余裕にかまける暇を与えるわけないだろう。奇跡の大ヒット曲が次々と出されるわけだから…