黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

愛川みささんの誕生日は1月12日

ミノルフォン KC-21 

涙のとなり テナー・サックスのブルーなささやき

発売: 1969年8月

ジャケット

A1 涙のとなり (千昌夫) 🅱

A2 七色のしあわせ (ピンキーとキラーズ) 🅹

A3 星のみずうみ (布施明) 🅳

A4 恋のなごり (小川知子) 🅶

A5 禁じられた恋 (森山良子) 🅾

A6 みんな夢の中 (高田恭子) 🅸

A7 くれないホテル (西田佐知子) 🅲

B1 港町ブルース (森進一) 🅿︎

B2 涙の中を歩いてる (いしだあゆみ) 🅹

B3 君がすべてさ (千昌夫) 🅳

B4 君は心の妻だから (鶴岡雅義と東京ロマンチカ) 🅻

B5 お気に召すまま (じゅん&ネネ) 🅵

B6 誰にも云わないで (愛川みさ)

B7 エルムの恋 (ザ・デビィーズ) 🅱

 

演奏: ジョージ高野とパーフェクト・サウンド・グループ

編曲: 福山峯夫

定価: 1,500円

 

昨年6月2日のエントリで「切実に聴きたい」と熱望したアルバムが、無事巡ってきましたよ。「ささやき」シリーズの姉妹編で、2ヶ月前にフィリップスでジョージ・ヤング盤を出したばかりの高野ジョージ氏が、また違ったアプローチで臨んだアルバム。港町ブルースのみ重なっているが。やはりレーベルのカラーが全く違う故、ここではあくまでも保守的ブロウに抑えており、サウンド全体も場末色濃厚。ミノルフォンだからこれでいいのか、というか、こっちのサウンドもたまりませんな。全体的に、オクターブにとらわれないメロディーのこなし方が、ある種の不安感を誘き出しているのが特徴的というか、これもサックスの特性故なのかも。福山峯夫アレンジの「禁じられた恋」というと、やはりクラウンの大正琴盤の異様なサウンドを思い浮かべるけれど、ここで聴けるヴァージョンは地味っちゃ地味だけど、洗練されてはいる。ただ、キハーダの代わりにクラッシュシンバルが入るという共通点はある。「くれないホテル」は陰り感に欠ける分、いまいちだな。ハーモニカやオルガンのチージーな音は、この曲には不釣り合い。

さて、ミノルフォンマニアとしてはせっせと最後の2曲にまっしぐら(汗)。「誰にも云わないで」は、他社に取り上げられていないのがおかしい位ヒットしてるはずなのになぁ。 このヴァージョンは、まだ2番目のジャケットが出回る前の、ヒットの兆しが見え始めたあたりでのカヴァーで、それゆえに貴重だけれど、元歌が長すぎるので1コーラスで終わってしまうのが残念だし、オクターブが一定していない演奏のため、めちゃ気を揉まれてるような感じがして、上出来の歌無盤とは言い難い。やはり思い入れが強すぎる曲だからなぁ。「エルムの恋」は、琴版がオリジナルのオケを使用していたので、演奏全体をリメイクした唯一の盤ということで貴重(?)。幻想的なイントロでハッとさせるし、原曲を手掛けた山屋清氏も納得だろう。こういう場末乗りが似合うGS曲は、ちゃんと評価してあげなきゃいけない。この、これでお開きって感情を慌てて出したようなエンディングが憎めない。

さて、その次の番号の盤にもあっと驚く自社推し曲が…これも完結前に取り上げますよ。『GROOVIN’昭和』シリーズ、歌無歌謡編もやってくれればいいのにね。というかやらせて。