黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その16: 日本のメロディー

コロムビア KKS-20116~7

母と子のシャンペン・ミュージック からすの赤ちゃん

発売: 1973年5月

f:id:knowledgetheporcupine:20210726052533j:plain

ジャケット



A1 からすの赤ちゃん

A2 七つの子 🅱

A3 夕日

A4 やさしいお母さま

A5 めえめえ小山羊

A6 砂山 🅱

A7 かぜさんだって

B1 てるてる坊主

B2 さようなら

B3 あの子はたあれ

B4 しかられて 🅱

B5 金魚のひるね

B6 蝶々のお夢

B7 お花のホテル

C1 かわいいかくれんぼ

C2 通りゃんせ

C3 雨降りお月

C4 かなりや

C5 ゆりかごのうた

C6 夕やけこやけ 🅱

C7 月の砂漠 🅱

D1 赤い靴

D2 浜千鳥

D3 どんぐりころころ

D4 花嫁人形

D5 しゃぼん玉

D6 小さい秋みつけた

D7 山茶花

 

演奏: 安倍圭子 (マリンバ)/コロムビア・オーケストラ

編曲: 横山菁児

定価: 2,000円

 

怒涛の二枚組週間は火曜も続きます。月一恒例となった「日本のメロディー」シリーズ。今回も心揺さぶられる、まさに親子のためのラブサウンズ。学芸部門からのリリース、主にクラシック界を舞台にガチな演奏家として世界的活躍を見せる安倍圭子さんをフィーチャーということで、肩に力を入れて聴く覚悟を要しそうだけど、リラックスしたイージーリスニング作品のテイストも強く、お子様の楽器に対する関心を呼び起こすにも最適のアイテム。『日本の郷愁 ベスト・セレクション』でもモダンにアレンジされていた「七つの子」にまず耳が揺さぶられる。こちらも負けちゃいませんよ。ちっちゃな鉄琴でファンシーに奏でられる調べを、華麗なオーケストレーションが色付け。目の前に広がるのは一体どこの夕暮れ…「夕日」もフルートによる装飾が蝶々の舞のようで、2コーラス目のアドリブを盛り立てる。「てるてる坊主」「通りゃんせ」なんかは最早歌のない歌謡曲に同化した世界で、ここまでポップな解釈の後者は考えられない位だ。強靭なミュージシャンシップに裏打ちされた親しみやすさ、それを最大限に活かしたアレンジで理想的な響きのアルバム。奇をてらった方向に引っ張るより、こんな解釈の方がずっといいし、もっともっと作られて然るべきと思う。ところで、ファンカデリックの ”A Joyful Process” ってもろ「しゃぼん玉」ですよね、とここでの演奏を聴いてさらに思わされるんですけど…