黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は堺正章さんの誕生日なので

キャニオン C-1036

最新全国歌謡ベスト・ヒット さよならをもう一度

発売: 1971年10月

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ジャケット



A1 さよならをもう一度 (尾崎紀世彦) 🅳

A2 17才 (南沙織) 🅱

A3 砂漠のような東京で (いしだあゆみ)☆ 🅲

A4 天使になれない (和田アキ子) 🅲

A5 さらば恋人 (堺正章)

A6 あの素晴しい愛をもう一度 (加藤和彦北山修)☆ 🅱

A7 愛の泉 (トワ・エ・モア)☆ 🅲

B1 わたしの城下町 (小柳ルミ子)☆ 🅴

B2 私が生まれて育ったところ (野路由紀子)☆

B3 よこはま・たそがれ (五木ひろし)☆ 🅶

B4 昨日・今日・明日 (井上順)

B5 熱い涙 (にしきのあきら) 🅲

B6 甦る明日 (岸洋子)

B7 琵琶湖周航の歌 (加藤登紀子)

 

演奏: 木村好夫 (ギター)/キャニオン・ポップ・サウンズ

編曲: 竹村次郎、平岡精二(☆)

定価: 1,500円

 

キャニオンの好夫ギター・シリーズ早くも3度目の登場。安定のクォリティでナイスプレイを堪能できます。本盤はなんと言っても鬼才・平岡精二氏がアレンジャーとしてクレジットされてるのが目を惹く。筒美メロディを軽いフットワークで消化した竹村アレンジの2曲(「17才」の随所に漂う「DuBiDuBi東京」の影はご愛敬?)に続き登場する「砂漠のような東京で」は、イントロのメロディがオーボエで奏でられちょい興醒め。ちょちょっと料理した、みたいな印象だけど、コードのあしらい方はなかなかお洒落。「さらば恋人」は軽量化が功を奏したいい演奏。「あの素晴しい愛をもう一度」の出だしでは、テクニカルなアコギよりもイントロ全部を一息で吹き切ってしまうフルートに耳を奪われる。これは地味に凄いよ。もちろんメロトロンでさえ再現できない(爆)。そして、本盤のヤマはA面ラスト「愛の泉」。この曲にここまでアグレッシヴなノリを持ち込んでしまうなんて。攻めに攻めた演奏に煽られ、好夫ギターが激しく炸裂。こんな面もあるんですよ、木村好夫さんには。左側に入っている激しいリズムギターは、恐らく別の人だと思うが。平岡アレンジはB面前半の演歌攻勢でも容赦無く、安定したギターメロを煽りに煽る。トレードマーク炸裂のわたしの城下町でのプレイを、そう簡単にコピーできると思いますか?

体温が伝わってくるような録音もナイス。変な方向に揺れなくても、この音があればこれでいいんじゃないって思える1枚。