ミノルフォン KC-5009~10
最新ヒット歌謡ベスト30
発売: 1976年12月
A1 パールカラーにゆれて (山口百恵)
A2 あなたがいたから僕がいた (郷ひろみ) 🅱
A3 もう一度逢いたい (八代亜紀) 🅱
A4 北の宿から (都はるみ) 🅵
A5 good good-bye (井上陽水)
A6 愛に走って (山口百恵) 🅲
A7 少年時代 (森昌子)
A8 別涙(わかれ) (因幡晃)
B1 どこへ帰る (五木ひろし)
B2 恋人試験 (松本ちえこ) 🅱
B3 メランコリー (梓みちよ) 🅱
B4 ぼくの妹に (加山雄三) 🅱
B5 きらめき (野口五郎) 🅱
B6 最後の一葉 (太田裕美)
B7 わかって下さい (因幡晃) 🅳
C1 恋ひとつ雪景色 (森昌子) 🅱
C2 あなただけを (あおい輝彦)
C3 コバルトの季節の中で (沢田研二)
C4 弟よ (内藤やす子) 🅱
C5 赤いハイヒール (太田裕美) 🅲
C6 霧のめぐり逢い (岩崎宏美) 🅲
D1 あばよ (研ナオコ) 🅱
D2 針葉樹 (野口五郎) 🅱
D3 ハート泥棒 (キャンディーズ)
D4 ねえ! 気がついてよ (桜田淳子) 🅱
D5 さざんか (森進一) 🅲
D6 夢をください (アグネス・チャン)
D7 夏にご用心 (桜田淳子) 🅲
演奏: ブルーナイト・オールスターズ&ストリングス
編曲: 無記名
定価: 2,000円
ミノルフォンの歌無歌謡ジャケット美学が爆発したのは、’77~’78年にかけて少なくとも7種類リリースされた一連の「林静一ジャケ」に於いてである。と言っても、ジャケットにクレジットがないので、本人が関与したのかどうか定かでない部分もあるのだが、確かに「小梅ちゃん」に象徴されるロマンチシズムとは異質の純情表現に見えなくもない。いや、それにしても見事な出来だし、使われている紙の質、帯が付いてるのと付いてないので微妙に表情が変わってくるところまで含めて、シリーズ出色のジャケットだ。帯そのもののデザインも、曲名を羅列しているのみながら、独自性を徐々に増していて見逃せない。
ただ、ジャケットへの注目度が増した分、音そのものは多少守りに入ったという印象。アレンジャークレジットも載らなくなって、匿名性が増した感も。それでも、安定感がある分独自性が際立つところもあって、やはり愛しいシリーズである。例えば、「もう一度逢いたい」のギター。もやっとしたエフェクトがかかっているのに、フレージングが木村好夫先生のそれもろ出しだ。他のギタリストが思いっきりインスパイヤされたプレイをしている可能性もあるし、そこまで考え抜いて作られたとなれば天晴である。で、安心しつつ聴いていると、7曲目に「少年時代」が。あれ、井上陽水の曲2つ前に入ってたじゃん…と思いきや、森昌子の曲の方だ。絶好調の百恵に大幅に差をつけられ、低迷期に入った時期の曲故忘れ去られがちではあるけれど、こんな「時のいたずら」に出くわすのも歌無歌謡のスリル。いい曲なのに。
B面では「まん丸顔の女の子は~」で一世を風靡した松本ちえこの「恋人試験」に着目。ケーナのように聞こえるが実はリコーダーかもという例の音がイントロに入っているのだが、その謎を解く鍵が見つかった。同じく徳間傘下のママレーベルからこの盤の2ヶ月後に出た『魅惑のリコーダー』という演奏盤に、全く同じ印象の音が出てくるのである…ということでリコーダー確定とします(この盤もなかなかの力作で、近々火曜日に紹介予定)。この曲でのクラリネットや、続く「メランコリー」でのハーモニカなど、多彩な音をあっさり聴かせるカラフルさは、やはりブルーナイトならでは。「横須賀ストーリー」はこれでいいのかというくらい速い演奏。「ねえ!気がついてよ」では脇役に徹しつつ、お茶目に弾けまくるリコーダー隊がこそばゆい(間奏ではフルート2本が使われているので、同録持ち替えの可能性も)。こういうアレンジをする人の顔が見えてこないのが、残念といえば残念。ジャケットに見合った純情たっぷりの音が、そこら中に散りばめられた2枚組。これで2000円はおいしかった(当時としても)。