黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1974年、今日の1位は「ふれあい」(2週目)

キング SKM-1299

最新歌謡ヒット・メロディー Vol.2

発売: 1974年

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ジャケット



A1 ふれあい (中村雅俊)

A2 精霊流し (グレープ) 🅱

A3 追憶 (沢田研二) 🅱

A4 ひと夏の経験 (山口百恵) 🅱

A5 愛の詩を今あなたに (布施明)

A6 ちっぽけな感傷 (山口百恵) 

B1 淋しがりや (梓みちよ)

B2 涙の河 (マギー・ミネンコ)

B3 命火 (藤圭子)

B4 北航路 (森進一) 🅱

B5 愛ひとすじ (八代亜紀) 🅲

B6 理由 (中条きよし) 🅳

 

演奏: ニュー・サウンド・オーケストラ

編曲: 小町昭

定価: 1,500円

 

71年以降のキング歌無歌謡は、寺内タケシの『歌のないエレキ歌謡曲』シリーズを主流になんとなく続いていたというイメージで、それ以外の盤も妥当に出ていたけど、ビクター同様手堅さと品質維持が命という感じしかない。気軽に付き合えるけど、それ以上のものではないのだ。同時期のクラウンでさえ「それ以上のもの」満載だから蔑視できないんだけど、やっぱりキング盤にもそれなりのよさは探せばあるわけで。

74年の夏の大ヒット(あの忌々しい「ピアノ騒音殺人事件」が起こるのは、この日付の2日後のこと)を中心に集めたこの盤も例外ではない。まず耳を引くのはグレープの精霊流し。惜しくも2位止まりとなったこの曲だが、さだまさしの出発点として見逃せない以前に、名曲ゆえ歌無ヴァージョンも多岐に及んでいる。このキング盤、イントロの後Aメロでちょっとテンポが落ちて、ボトムを強調したリズムアレンジになると思いきや、Bメロでイントロのテンポに戻り、想定外に賑やかなアレンジに変化。Bメロ後半で再び減速して侘しい感じに…なんとも摩訶不思議なアレンジだが、一体何を意図してこうなったんだろうか。その上、フルコーラス演奏されているため、歌無歌謡では異例の5分にちょい足らずという長さになっている。物凄くハイスピードでオートパンするエレピをフィーチャーした「追憶」や、異様なほど繊細に響く「ひと夏の経験」のイントロなど、シンセやメロトロンこそ使っていないものの、鍵盤類から新鮮な響きがもたらされていて、さすがにカーペンターズのキング(当時)というイメージだ。「愛の詩を今あなたに」のイントロ、ザッパの「プラスティック・ピープル」みたいと改めて気づいたし(汗)。同曲のドラムに一瞬だけフェイザーかますなど、凝ったアイディアもそこここに。

そして、あ、流石キングだなと感心せずにいられないのが、異色バラドルマギー・ミネンコの超名曲「涙の河」が取り上げられているところ。渋い曲なのだが、一応デビュー曲「燃えるブンブン」よりヒットしてるんですよね。名曲をさらに名曲らしく彩る名アレンジで、特にフルートが色っぽい音を出してるのがいい。ガチなプレイヤーにとっては禁じ手でしかない「低い音混じり」がここまでセクシーに聞こえるとは…これはフィリー・ソウルですよ。

 

さて、ここまで順調に一人語りを続けてきました「黄昏みゅうぢっく」にいよいよ、明日劇的展開があります…