黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その22: 黄金のドラム

ポリドール MR-8023~4

黄金のドラム 原田寛治 豪華決定盤!! ドラム・ドラム・ドラム

発売: 1970年9月

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ジャケット



A1 涙の乗車券 [チケット・トゥ・ライド] (ザ・ビートルズ) 🅱

A2 ペニー・レイン (ザ・ビートルズ) 

A3 ヴィーナス (ショッキング・ブルー)

A4 レット・イット・ビー (ザ・ビートルズ) 🅳→7/30

A5 グリーン・リヴァー (クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)

A6 マルタ島の砂 (ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラス) 🅰→7/30

A7 ハロー・グッドバイ (ザ・ビートルズ) 🅱

B1 トレイン (1910フルーツガム・カンパニー) 🅱

B2 抱きしめたい (ザ・ビートルズ) 🅲

B3 アクエリアス~輝く星座 (フィフス・ディメンション) 🅱

B4 デイ・トリッパー (ザ・ビートルズ) 🅲

B5 明日に向う道 (ショッキング・ブルー) 🅰→7/30

B6 西暦2525年 (ゼーガー&エヴァンス)

B7 オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ (ザ・ビートルズ) 🅲

~ア・ハード・デイズ・ナイト (ザ・ビートルズ) 🅱

C1 恋を抱きしめよう (ザ・ビートルズ)  

C2 シー・ラヴズ・ユー (ザ・ビートルズ) 🅲

C3 恋のほのお (エジソンライトハウス) 🅰→7/30

C4 エスタデイ (ザ・ビートルズ) 🅳 

~ヘルプ (ザ・ビートルズ) 🅲

C5 ラヴ・ミー・トゥナイト (トム・ジョーンズ) 🅱

C6 しあわせの朝 (クリフ・リチャード)

C7 カム・トゥゲザー (ザ・ビートルズ) 🅲

D1 涙のくちづけ (レターメン)

D2 ミッシェル (ザ・ビートルズ) 🅱

~ヘイ・ジュード (ザ・ビートルズ) 🅲

D3 雨のささやき (ホセ・フェリシアーノ)

D4 ザ・フール・オン・ザ・ヒル (ザ・ビートルズ) 🅲

D5 悲しき天使 (メリー・ホプキン) 🅱

D6 マンチェスターリヴァプール (ピンキーとフェラス) 🅱

D7 アンド・アイ・ラヴ・ハー (ザ・ビートルズ) 🅱

~愛こそはすべて (ザ・ビートルズ)

 

演奏: 原田寛治と’70オールスターズ

編曲: 前田憲男

定価: 2,000円

 

最初の1年間でアルバム7枚と飛ばしに飛ばしまくった『黄金のドラム』シリーズの集大成洋楽編。7月新譜として出た『ビートルズビートルズビートルズ!』(MR-3115)を全曲再収録しつつ、シリーズの他の盤に分散収録されていた洋楽曲を集めて補強したもので、便利ではあるけれど、元の盤(ちなみに1,700円)を買った人の立場はどうなるんだ…まぁ、ジャケットがアレという付加価値はあるけれど(汗)。こちらの盤の方が抑え気味といえば抑え気味ですが、念のためちょっとだけクロップさせていただきました(自爆)。

爆走するドラムにどうしても焦点が行ってしまうけれど、前田憲男アレンジがいい具合に「ジャズ・ロック」感を引き出しており、歌謡曲の合間に配されるより遥かにインスト音楽としての安定感がある。やはり元がビートルズだと、やわなアレンジにするよりスパイス効かせた方が面白いですからね。それにしてもやっぱ執拗なドラミングだな…「恋を抱きしめよう」でステレオ効果をフルに使っての一人ドラムバトルが展開されるけど、明らかに片方が走りすぎていたり。マルチ録音の限界もあったかもしれないけれど。「ミッシェル」をイントロに幽幻に始まる「ヘイ・ジュード」が徐々に狂気を帯びてきて、最後の方でとんでもないことになってしまうのが最大の聴きものだろう。ビートルズ以外の曲では、7月30日紹介の『ふりむいてみても』でも活躍した女性コーラスのがんばりが聴きどころ。「ヴィーナス」「雨のささやき」も、存在感としては歌謡曲にかなり近いところにあるし(実際シングルA面としての歌謡カバーもあるし)、聴いてて安心する曲はむしろこれらの方。「グリーン・リヴァー」にそこまで派手な味付けは不釣り合いだ。