黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その26: 今日はビートルズ・デビュー記念日

ACE NA-006

ビートルズ・メロディ

発売: 197?年

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ジャケット



A1 エスタデイ 🅴

A2 レット・イット・ビー 🅴

A3 マジカル・ミステリー・ツアー 🅱

A4 ヘルプ 🅱→5/18

A5 ミッシェル 🅲

A6 ア・ハード・デイズ・ナイト 🅲

A7 オブラディ・オブラダ 🅳

A8 ガール 🅲

B1 ヘイ・ジュード 🅳

B2 フール・オン・ザ・ヒル 🅳

B3 サムシング 🅱

B4 レボリューション

B5 カム・トゥゲザー 🅳

B6 デイ・トリッパー 🅳

B7 アンド・アイ・ラヴ・ハー 🅲

 

演奏: グランド・シンフォニー・オーケストラ

編曲: 無記名

定価: 1,800円

 

『レット・イット・ビー』のデラックス盤発売、映画「ザ・ビートルズ: GET BACK」の公開も間近ということで、デビュー59周年を迎える今年の10月はますます盛り上がりそうなビートルズ月間。その辺の動きを巡る主観的なことは、宗内の母体がレコードショップ・芽瑠璃堂のサイト内で執筆しているコラム「大衆音楽秘境巡り」に色々と書き綴られる予定ですが、ここでは緩く、宗内的観点からビートルズに迫ってみたいと思います。

ビートルズ・オンリーのインスト盤を取り上げるのはこれで3枚目となりますが(実はあと1枚あるのですが、果たして取り上げられるのか否か?贔屓しすぎもよくないということで)、これはちょっと毛色の違う1枚。内容がではなくて、別の視点から、ですが。

例によってエルムの傘下レーベルから出た、怪しげな演奏アルバム。ではありますが、決してパチソン的観点から語れない1枚。これと同じ演奏を収録したと思われるアルバムも複数出回ったり、オムニバスものの演奏レコードに流用されるケースも数知れず(「ヘルプ」は『カーペンターズ・ヒット・メロディー』に同じテイクが収録されている!まるで違うアレンジでカヴァーしているのに)。そして、やたらよく見かける1枚でもあります。それだけ、食いつかれる頻度が高かったのでしょうか。そんな、ついつい食いついてしまった一人に、実は自分も含まれていたのです(汗)。

小学5年の頃からビートルズに尋常ない興味を抱いて、色々盤を集めてはいたけれど、こんな緩いインスト盤まで買っちゃうとは誰が思いますか?恐らく、家族と一緒にデパートの催し物会場でよく行われていた、レコード特売会かなんかにいて、「ビートルズや、買うか」なんて勢いで買っちゃったのではと思われます。こんなレコードを持ってた記憶はまるでなかったけど、なんと!当時録音した妙なテープの数々の中に、まさしくこのレコードに入っている「イエスタデイ」をバックに熱唱(?)した音源が残されていたんです。ま、まさか…そんなわけで、ジャンクヤードをディグっていた時、まさかの再会。裏ジャケに載せられた文章を読んで、「これだ!これを持ってたんだ!」と思い出して、100円と引き換えに再び手中に帰ってきました。

演奏がどうのこうのとか、解釈がどうおかしいのかとか、そういうのは抜きにして、聴いてた頃の感情がただひたすら蘇るのみ。歌無歌謡のレコードに対しては、絶対そんな態度では臨めません。「レリビー」「サムシング」のような、比較的攻めている演奏もあるけど(69~70年の洋楽インスト・カヴァー盤は、総じてこんな感じだったし)、この緩さには愛着さえあります。「マジカル・ミステリー・ツアー」はサイケ性を簡素化した挙句、エンディング部分で必要以上にフリークアウトしてしまうし、ここまでネジが緩んだ「レボリューション」も滅多に聴けるものではない。ひたすら、親しみやすい存在としてのビートルズを追求し、浄化の極みを尽くした1枚。これを早々と聴いてたからこそ、後々になって「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」や「アイ・アム・ザ・ウォルラス」を演っているオルゴール盤を手にして大喜びしたりするわけですよ。山内喜美子さんの『琴・ザ・ビートルズ』もなんとかしなきゃ…