黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その23: ラブ・サウンド

国文社 SKS-118

ラブ・サウンド2

発売: 1977年?

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ジャケット(裏)



A1 ミスター・メロディー (ナタリー・コール)

A2 天使のささやき (スリー・ディグリーズ) 🅱

A3 スペインの瞳 (アル・マルティーノ)

A4 マイ・ウェイ (フランク・シナトラ) 🅲

A5 一人ぼっちの囁き (オリビア・ニュートン=ジョン)

A6 トップ・オブ・ザ・ワールド (カーペンターズ) 🅲

B1 見つめあう恋 (カーペンターズ) 🅱

B2 初恋の丘 (クロード・チアリ)

B3 しあわせの朝 (クリフ・リチャード) 🅱

B4 マイ・ファニー・ヴァレンタイン (リチャード・ロジャース)

B5 愛の花咲くとき (エンゲルベルト・フンパーディンク)

B6 思い出のグリーン・グラス (トム・ジョーンズ) 🅱

 

演奏: ニュー・サン・ポップス・オーケストラ

編曲: T. Akano、R. Koroku

定価: 2,200円

 

国文社「ニュームードミュージック」の「ラブ・サウンド」第2弾。若干ポピュラーの中道寄りという感じの選曲ではあるけど、前作に比べてリズムに重点を置いたアレンジの曲が多く、ディスコ・ブームの直接的影響が反映された感がある。良くも悪くも、ロマンティックな関係の忠実な音像化というか、70年代中期の恋模様が伝わって来るような。目の前でこんな流暢な響きが展開されたら、どんなシチュエーションだろうがいい感じになってしまうような。一聴して無難な感じだろうが、どこかにハートをときめかせる要素がある、それがラブ・サウンドなのだ。決して、スーパーで買い物する時に流れる音楽に含まれてはいけない、そんな要素に満ちている(爆)。

トップはナタリー・コールが東京音楽祭グランプリを獲得した時の曲で、全米でブレイクするまでに更なる紆余曲折を経たため、全世界的には認識が薄いが、確かに日本では大ヒットした。続く「天使のささやき」とソウル色が強い曲が続いて、ボトムの強さを印象づけるが、ここから先のポピュラー色の強い選曲でもその感触が生きている。特にマイ・ウェイのガチディスコ仕立ては、8月3日紹介の『ディスコ・スタンダード』と一味違う。B面に行くと、「見つめあう恋」で王道ポップモードに向かうが、時折入るシンセの妙な音がロマンチックモードに茶々を入れる。「初恋の丘」も異常なペースで吹っ飛ばし、シンセの音により当世風ムードも注入。「しあわせの朝」もボトムを強化した新鮮なアレンジで、深いリヴァーブをかけた男性コーラスはメロトロンを意識した響きか?前作では使っていたのに、なんか勿体ない気も。唐突に割り込む「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は安堵の場所か。「愛の花咲くとき」は艶かしいフルートが曲のテーマを明確にしつつ、Bメロで歯切れの良いシンセに引導するナイスアレンジ。ベースも大暴れしている。「トップ・オブ・ザ・ワールド」でも聴けるけど、この辺の曲でフルートを出されると必殺だよなぁ。これがリコーダーだと、果たして「ラブ・サウンド」になり得るのか…でも聴いてみたいものだ。蛇足だけど「トップ~」を小気味よいアレンジで聴かされると、どうしても須賀響子の「黄色いハンカチ」という曲を思い出します(汗)

表ジャケ、際どさという点では充分セーフと思ったけど、なんか裏の方が主旨に沿ってるという感じがあるので、裏を載せました(汗)。