黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は安倍理津子さんの誕生日なので

キング SKK-693

愛の終りに レオン・ポップス・ゴールデン・ヒッツ

発売: 1971年

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ジャケット



A1 地球は回るよ (トワ・エ・モア) 🅱

A2 戦争を知らない子供たち (ジローズ)

A3 さいはての女 (藤圭子) 🅱

A4 女の意地 (西田佐知子) 🅵

A5 ざんげの値打ちもない (北原ミレイ)

A6 二人の世界 (あおい輝彦)

A7 花のメルヘン (ダーク・ダックス)

B1 愛の終りに (布施明)

B2 雨がやんだら (朝丘雪路) 🅱

B3 何かいいことありそうな (ピンキーとキラーズ)

B4 愛のおもいで (安倍律子) 🅱

B5 空に太陽がある限り (にしきのあきら) 🅱

B6 さいはて慕情 (渚ゆう子) 🅱

B7 知床旅情 (加藤登紀子) 🅴

 

演奏: レオン・ポップス

編曲: 石川皓也

定価: 1,500円

 

「レオン・ポップス」はそれこそ50年代末期にまでルーツを遡ることのできる、キングの伝統あるオーケストラ名義。歌手のバックを務めた例も数多い。当初は洋楽のカヴァーや映画音楽、ホーム・ミュージックを中心に取り上げていたが、歌謡ワールドがポップに歩み寄る風潮を反映してか、68年から72年あたりまでは積極的に歌無歌謡にアプローチ。このアルバムでも、あまり泥臭くならない範囲内で71年初頭のヒット曲を取り上げ、軽妙に聴かせる。軽快に、ピースフルなノリで聴かせる「地球は回るよ」でアルバムのトーンは決定されている。多彩な楽器の音色が程よくブレンドされ、時にオルガンの切り込みでユーモラスな感触も。完成度も高く、これぞ和製ソフトロックの適切なインスト化だ。戦争を知らない子供たちはLPを45回転でかけた位スピードアップしており、原曲の無邪気なシニカル性をさらに軽くあしらっている(これが東芝から出たなんて、いかにもピースフルな時代であった…)。A面中盤は多少は泥臭い雰囲気に傾斜しているが、それでも「さいはての女」をここまで欧州風に料理してしまっているのには脱帽。分厚く敷き詰められたストリングスを中心に、洗練の極みを尽くした心地よいアルバムだ。こんなサウンドで聴くと、知床旅情の出処がよりはっきりと解ってしまうから、辛いところもあるけれど。

ジャケ、ものすごく魅力的なのですが、やはり帯をずらすしか術がないです(ちゃんと着てますよ…下の方は…汗)。あ、安倍さんまた地味に名前変えてますね…