黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は今陽子さんの誕生日なので

キング SKK-624 

青い森の二人 レオン・ポップス・ゴールデン・ヒッツ

発売: 1970年

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ジャケット



A1 青い森の二人 (ピンキーとキラーズ)

A2 恋の色 恋の味 (じゅん&ネネ) 🅱

A3 そっとおやすみ (布施明) 🅲

A4 今日でお別れ (菅原洋一) 🅴

A5 思いがけない別れ (小川知子) 🅲

A6 経験 (辺見マリ) 🅳

A7 愛は不死鳥 (布施明) 🅱

B1 あなたならどうする (いしだあゆみ) 🅳

B2 ちっちゃな恋人 (ジミー・オズモンド) 🅲

B3 都会 (ザ・タイガース)

B4 老人と子供のポルカ (左卜全とひまわりキティーズ) 🅱

B5 恋ひとすじ (森進一) 🅳

B6 愛の旅路を (内山田洋とクール・ファイブ) 🅲

B7 燃える手 (弘田三枝子) 🅲

 

演奏: レオン・ポップス

編曲: 石川皓也

定価: 1,500円

 

11月になりました。10月は宗内の母体的に、また一般的にも激動の月になりましたが、それでスタンスがあっさり元通りになるとは思えず、よって今後も熱意を持って黄昏みゅうぢっくと向き合うことを約束します。

そんな11月の入口にあるのは、キングの名門レオン・ポップスによる70年初夏のヒット集。1曲目「青い森の二人」、他ではあまり取り上げられてないし、どうも聞き覚えないなと思って調べたら、ピンキーとキラーズのシングルで初めてオリコン100位に入らなかった曲だった。デビューからしばらく、快調にヒットが続いてるイメージだったのに、2年後にはチャートに入り損ねる曲を出してしまったなんて。まぁ、それでもキングにとってはまだトップ・プライオリティ・アーティストだったから、ちゃんと1曲目に選ばれてるし、アルバムのタイトルにまでなったわけだけど。それだけ、当時のチャートは激戦だったし、万人の好みも移り変わりが激しかったのだ。決定的アイドルが不在だった故、選択肢も幅広くて、振り返ってみればめちゃ羨ましい時代だったけど、最近のJ-pop事情を見るとむしろ、傾向的にはその頃に近くなってるように思える。続く「恋の色・恋の味」もそう。シングル7枚目にして筒美京平を起用したものの、初めて100位圏外の味を体験。「そっとおやすみ」にしたって、最高49位は想定外だ。名曲なのになぁ。

自社アーティストを慎重に扱った冒頭3曲のムードはその後も保たれ、良質な録音で重厚なサウンドが冴えまくる。ここはもっと大胆に行って欲しいとか、そんな高望みを跳ね除ける安定のクオリティ。「思いがけない別れ」も妙な方向に揺れることなく、ストリングスによりときめきの度合いを高めたアレンジ(但し、Aメロ繰り返し部分のコードチェンジは行われていない)。老人と子供のポルカから藤本サウンド「愛の旅路を」まで、全て同じ水平線に並べて料理した職人技が楽しめる1枚。