黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は小林旭さんの誕生日なので

CBSソニー 15AH-442 

ヒット演歌ベスト20

発売: 1978年4月

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ジャケット

A1 そんな女のひとりごと (増位山太志郎) 🅳

A2 愛の條件 (八代亜紀)

A3 沈丁花 (石川さゆり)

A4 灯りが欲しい (五木ひろし) 🅰→8/28

A5 おゆき (内藤国雄) 🅴

A6 なみだの操 (殿さまキングス) 🅷

A7 星の砂 (小柳ルミ子) 🅰→8/28

A8 能登半島 (石川さゆり) 🅲

A9 よこはま・たそがれ (五木ひろし) 🅸

A10 うそ (中条きよし) 🅵

B1 潮どき (五木ひろし)

B2 ひとり歩き (小柳ルミ子) 🅱

B3 津軽海峡 冬景色 (石川さゆり) 🅳→8/28

B4 北の宿から (都はるみ) 🅶→8/27

B5 中の島ブルース (内山田洋とクール・ファイブ) 🅳

B6 くちなしの花 (渡哲也) 🅸

B7 長崎は今日も雨だった (内山田洋とクール・ファイブ) 🅹

B8 心のこり (細川たかし) 🅵

B9 さすらいの道 (小林旭) 

B10 昔の名前で出ています (小林旭) 🅲

 

演奏: クリスタル・サウンズ

編曲: 無記名

定価: 1,500円

 

昨日の幻想世界から、一気に現実へ…9月6日の『フォーク&ニューミュージック・ベスト20』と対をなす、「ゴールデン・スペシャル1500」の演歌編。当時の最新ヒットに至る過去10年間のヒット曲を寄せ集め、70分強を1枚に押し込むといういつもの調子だが、2曲ほどクリスタル・サウンズ創設前の曲が含まれており、どうやら当時のオーセンティックな歌無しヴァージョンを流用している模様。確かによこはま・たそがれで音の調子が豹変するし、ベースのプレイそのものが70年代中期以降では有り得ない感触だ。この頃になると単に「便利な名義」と化していたんでしょうな、出す側にとっては。

その曲と比較すると、「そんな女のひとりごと」をここまで小粋に軽音楽として仕上げた例は他社では考えられず、ルーティーンとしての歌無歌謡とどう向き合うかというクリスタルの課題を汲み取れる。そんな感じで演歌にアプローチした例が並べられているので、かえって昭和演歌入門編としては効果的かもしれない。歌を歌うのではなく、歌詞カードに印刷された言葉から各自ストーリーを妄想して、そのBGMとしてこれを機能させる。そんな楽しみ方が最も有効かも。クラウン以外の昔の名前で出ていますの歌無盤は新鮮な気持ちで聴ける(爆)。飲み屋のねーちゃんというより、寧ろしのぶと呼ばれた舞妓さんを想起させる女性ヴォーカルがムードを高めております。しかし、この頃になると小柳ルミ子もすっかり「演歌の人」になってたのだな…

なお、ジャケットはこの頃ファミリークラブ盤を集中して手掛けていたペーター佐藤氏によるもの。