黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は上原謙さんの誕生日なので

コロムビア/山田書院 GES-3006

ゴールデン歌謡アルバム 愛のロマンチック・ムード

発売: 1969年

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ジャケット(裏)



A1 雲にのりたい (黛ジュン) 🅲

A2 愛して愛して (伊東ゆかり) 🅳

A3 或る日突然 (トワ・エ・モア) 🅷

A4 恋のしずく (伊東ゆかり) 🅲

A5 爪 (ペギー葉山)

A6 見上げてごらん夜の星を (坂本九) 🅱

B1 禁じられた恋 (森山良子) 🅶

B2 涙の中を歩いてる (いしだあゆみ) 🅴

B3 だけど愛してる (梓みちよ) 🅱

B4 小指の思い出 (伊東ゆかり) 🅱

B5 誰もいない (菅原洋一) 🅱

B6 君といつまでも (加山雄三) 🅳

演奏: コロムビア・オーケストラ

編曲: 河村利夫、山路進一

定価: 1,700円

 

リサイクルショップの花と化した感もある「ゴールデン歌謡アルバム」の6作目。ほんと、このシリーズはリビングルームの活性化剤にでもなってたのか、語らいの友として何度も使われたのだろうか。状態のいい盤を探すなんてのはどうでもいい、この手の盤がどのようなシチュエーションで世に蔓延したかを探ることに最大の関心がある。ここでも、若干牛歩気味のサウンドは特徴的だ。「雲にのりたい」も、グルーヴとしてみればせこいのだけど、ストリングスの響きに鋭さがあって、山倉たかし的ニュアンスも少々。「或る日突然」には全然想定外のイントロが付けられており、かえって面白いが、原曲の洗練された感覚がどこかに追いやられた感も。見上げてごらん夜の星をで、かえってムードを後向きにしてしまうところも異色。「禁じられた恋」は原曲に近い重さをたたえているが、Bメロでそれが裏返されるところに意表を突かれる。ラストでキュートな展開に持っていった後、ダメ押しのようにあの音が鳴る。「涙の中を歩いてる」は逆に下世話感が強調された感じがあるが、「だけど愛してる」はむしろそれがいい方に出ている。まぁ、解釈がどう映るかも原曲次第なんだな。とどめに「君といつまでも」だ。決してロマンチック感を高めるサウンドにはなり得ないけど、この音楽から今何かが始まったとすれば、きっといいものになるのではないだろうか。上原謙の血が加山雄三へと受け継がれたように…