黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その31: 山倉ブラスロック

テイチク BL-1037

ニュー・ヒット・ポップス・ベスト10 ナオミの夢

発売: 1971年

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ジャケット

 

A1 ナオミの夢 (ヘドバとダビデ) 🅱

A2 ブラック・マジック・ウーマン (サンタナ) 🅱

A3 マック・エビル (ブラッド・スウェット&ティアーズ)

A4 シーズン (アース&ファイアー) 

A5 雨を見たかい (クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)

B1 カム・トゥギャザー (オリジナル・キャスト) 

B2 グッド・サリー (ショッキング・ブルー) 

B3 ノックは3回 (ドーン) 🅱

B4 ジプシー・クイーン (ジプシー) 

B5 流血の日 [1969年8月29日] (シカゴ) 

演奏: ニュー・サウンズ・オーケストラ

編曲: 山倉たかし

定価: 1,000円

 

昨日に続いて「BEST and BEST」シリーズの1枚。シングル並みに手早い制作スタンスで次々と畳み掛け、一体何枚リリースされたんでしょうか。曲が少ない分音圧も高いし、DJみたいな用途にはうってつけ。71年に日本でヒットした洋楽の中でも、ノリのいいものを集めたこの1枚。何せ山倉たかし編曲なのでときめきます。ニューロック直撃世代の若者が熱く演奏しても、ここまで引き締まったものにならないであろう、場を重ねた人だからできる乗せ方が堪能できる。まぁ、歌がない分多少緩くなるのはしょうがないけど。「ナオミの夢」なんてほぼ歌謡曲だし違和感ないですね。以前、弾き語りアーティストのライヴを主催した時、奈央美さんという歌手をキャスティングしたのだけど、その登場前にこの曲を流そうとして未遂に終わったのが忘れられません(汗)。サンタナやBS&Tの曲も決してこけてないし、「シーズン」もオリジナルより簡潔でノリがいい。この曲を収録した70年代洋楽のコンピCDに、アーティスト名の横に「誤植ではないです」と書かれていたのが忘れられません(爆)。オリジナル通りリコーダーを使用した歌無盤はないんかなぁ…「雨を見たかい」は軽くしすぎてむしろ逆効果かも。反戦歌だからなぁ。

B面トップは残念ながらビートルズの曲ではないけど、ステレオで録られたドラムのフィルにそれっぽいところが聴かれてニヤリ。「グッド・サリー」はちょっと「白いシャム猫」的でもっとニヤリ。「ノックは3回」には山倉印ストリングスも加わり、より華やかだ。ラストは問題作「流血の日」を軽くこなす。熱いところはシカゴ譲り、先月19日に取り上げたずっこけヴァージョン「67&68」とは雲泥の差ではあるが…もうちょっとムーディな曲も聴きたかった、というもどかしさは残るな。

ジャケット、魅力的だけどこの鏡像がなんか異様だなぁ…これも山倉マジック?(まさか)