黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その32: ドラム・ドラム・ドラム

国文社 SKS-016

ムード・イン・ドラム

発売: 1970年?

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ジャケット

 

A1 ドラムを叩け (サンディ・ネルソン)

A2 ホワット・アイ・セイ (レイ・チャールズ) 

A3 ハートブレイク・ホテル (エルヴィス・プレスリー)

A4 ロック・アラウンド・ザ・クロック (ビル・ヘイリーと彼のコメッツ) 

A5 ドック・オブ・ザ・ベイ (オーティス・レディング)

A6 ハンキー・パンキー (トミー・ジェイムズ&ザ・ションデルズ)

B1 オブラディ・オブラダ (ザ・ビートルズ) 🅴

B2 マンチェスターリヴァプール (ピンキー&フェラス) 🅲

B3 0011-ナポレオン・ソロ (ジェリー・ゴールドスミス)

B4 独立騎兵隊 (ハリー・サックマン) 

B5 リパブリック賛歌 (アメリカ民謡)

B6 サニー (ボビー・ヘブ) 🅲

演奏: Johnny Young And Sun Pops

編曲: 無記名

定価: 1,000円

 

国文社の「ムード・ミュージック・ライブラリー」第一回配本分を語るチャンスがやっとやってきました。とにかく、山田書院のものと並び、リサイクルショップに行くと必ず出くわすやつで、特に歌謡に特化した内容でないので余計萎える。ただ、気合の入った製品作りをしているのは確かで、温めに温めて充実した第2回企画を送り出した種は撒かれていたというわけだ。

シリーズのおまけ的位置付けをされているこの盤は、明らかに「ドラム・ドラム・ドラム」系のシリーズ物が市場を賑わせる状況を意識したもので、シリーズの他の盤と雰囲気作りの矛先が違うのは明白すぎ(あと、これのみ見開きジャケットではない)。ムードのようでムードではない、という感じか。ドラムのがんばりを前面に出してはいるものの、雰囲気的には地方のダンスホールのハコバンという感じで、あえてサイケデリック時代と逆行した選曲をしている冒頭4曲は特にその色が強い。レア・グルーヴとしての強度には欠けるけど、それでいいじゃないか。B面に行くと、そのままのノリで「オブラディ・オブラダ」を演っている。オリジナルの感じを消化した演奏とは言えないけれど、フルートがラブリーな空気を送り込んでいてナイスヴァージョンだ。マンチェスターリヴァプールにはとってつけたようなドラムの見せ場がある。むしろこの盤のツボは、選曲的にロック的なものからかけ離れているその後の3曲だろう。「リパブリック讃歌」をそんなスインギーに演られると、某カメラ屋さんしか思い出せなくなるでしょ…

それにしてもJohnny Youngとは何者なのだ。オーストラリアに同名の国民的シンガーがいるけど、当然意識の外だったろうし。まぁ、著名ミュージシャンの隠れ仕事と思うのが妥当でしょう。アイ高野だったら痛快ですけどね(いくら父がジョージ・ヤングだからって…)。