黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その35: ハワイアン・ロック

ビクター SJV-133

スチール・ギターでヒット・パレード

発売: 1965年   

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ジャケット

 

A1 ティケット・トゥ・ライド(涙の乗車券) (ザ・ビートルズ) 🅲

A2 10番街の殺人 (ザ・ベンチャーズ) 🅱

A3 ダイアモンド・ヘッド (ザ・ベンチャーズ) 🅱

A4 君に涙とほほえみを (ボビー・ソロ)

A5 太陽を探せ (デル・シャノン)

A6 ロックン・ロール・ミュージック (ザ・ビートルズ) 🅱

B1 真珠貝の歌 (ビリー・ヴォーン楽団)

B2 スイムで行こう (エルヴィス・プレスリー)

B3 カレン (ザ・サファリーズ)

B4 ダイナマイト (クリフ・リチャード) 🅱

B5 太陽を胸に (ヴィック・ダナ)

B6 ブルー・レディに赤いバラ (ウェイン・ニュートン)

 

演奏: ポス宮崎とコニー・アイランダー

編曲: 無記名

定価: 1,500円

 

真冬にも染みるスチール・ギターの調べ、歌謡曲じゃなくてもバッチリ映えるぜ、ということで引っ張り出してきました、65年の最新洋楽ヒット大会。9月26日の「ハワイアン歌謡アルバム」と時期的に近いですが、そこで述べた「他の363枚と明らかに異なるファクター」にギリギリ引っかかりませんでした(汗)。既にRCA盤歌無歌謡での演奏を取り上げているポス宮崎とコニー・アイランダースによる、朴訥ながら実に洋楽的なノリが個性的な1枚。

オープニングの「涙の乗車券」からして、ウクレレの刻むリズムがユルユルなムードを導きつつ、同じビクターの東京ビートルズが僅か1年前というのも信じられない洗練された演奏。オリジナル・ヴァージョンで聴けるポールのリード・ギターにどことなく南国っぽいニュアンスが感じられるので、ここでも大フィーチャーかと思いきや完全に抜かれている。最後のリフが1回だけでフェイドアウトしてしまうのが残念。続くベンチャーズの2曲もフットワーク軽くこなし、特に「ダイヤモンド・ヘッド」はハワイが舞台故にどっぱまり。エキゾティックなエフェクトも全開。「ロックンロール・ミュージック」も意外にタイト。ドラマーのプレイはどっちかというとピート・ベストのスタイルに近いけど…

B面に行くともっとノリのいい演奏が控えている。元からハワイ色が濃い真珠貝の歌」はガチでエレキ・バンドのスタイルにアレンジされておりびっくり。Bメロを完全に端折っているところとか、田舎のガレージ・バンドのやり方ではないか。エルヴィスの「スイムで行こう」ビーチ・ボーイズがTVヴァージョンを歌っていた「カレン」、そして元祖「ダイナマイト」など、エキゾティック風味をまぶしたエレキ・サウンドが弾けまくり、通常のエレキ・ギターも熱演。最後の2曲はポピュラー色が濃いが、そのノリが保たれているので違和感がない。恐らく収録曲順に演奏して一気に録ったのだろうか、その辺りが当時の制作スタイルを匂わせる。もう一度冒頭に戻って聴くと、特にギターのプレイにエンジンがかかってないと感じてしまうのだ…