黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

1975年、今日の1位は「センチメンタル」

コロムビア KW-7066

最新ヒット速報 傾いた道しるべ/恋まつり

発売: 1975年11月

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ジャケット

A1 傾いた道しるべ (布施明)Ⓐ 🅲

A2 センチメンタル (岩崎宏美) 🅳

A3 貴方につくします (八代亜紀)Ⓒ 🅲

A4 初恋の絵日記 (ずうとるび)Ⓐ

A5 美しい愛のかけら (野口五郎)Ⓑ 🅲

A6 花車 (小柳ルミ子)Ⓐ 🅲

A7 千羽鶴 (チェリッシュ)Ⓑ

B1 ささやかな欲望 (山口百恵)Ⓑ 🅳

B2 恋まつり (小坂恭子)Ⓑ

B3 愚図 (研ナオコ)Ⓑ 🅲

B4 俺たちの旅 (中村雅俊)Ⓑ 🅵

B5 あゝ人恋し (森進一)Ⓐ 🅱

B6 となりの町のお嬢さん (吉田拓郎)Ⓐ 🅳

B7 縁切り港 (西川峰子)Ⓐ 🅱

 

演奏: ゴールデン・ポップス

編曲: 永作幸男Ⓐ、鈴木敏夫Ⓑ、坂下晃司Ⓒ

定価: 1,500円

 

12月8日といえば、語るべきことは一つだけ…なのだけど、いつまでもセンチメンタルな気分になってはいられません。むしろ、この日だからこそ世の矛盾に怒りをぶつけなければ。パワー・トゥ・ザ・ピープルですよ。そんなわけで、あの悲劇の5年前、75年12月の場末の喫茶店の世界にタイムトリップ。こんな曲が流行っていました、当時の日本では。発売されたての「ボヘミアン・ラプソディ」を聴いて胸熱になっていた小4の自分も、ほんと逆らえない愛しい曲の応酬。

おしゃれさんジャケで目を引くコロムビアの「最新ヒット情報」シリーズは、そこまで大胆さを出すことなく当時の色を鮮明に記録する。真価を試す選曲と言えそうな「センチメンタル」も、本気全開ってほどではなく、出来る限りの力でがんばってますという感じだけど、基本的な部分はしっかりと作ってあって、呆れるほどせこいなんて印象は抱かせない。面白いことをやってたらそれなりに面白く聴けるけど、やっぱり当時はいかに早く対応するかが勝負だったのだから。本ブログ初登場、ずうとるび「初恋の絵日記」はそれなりにバブルガム色が現出したアレンジ。A面後半はしっとり聴かせる。千羽鶴の右チャンネルに入っている笛の音が謎だが、木製フルート(横)ではないかと読んでいる。B面もこんな感じで淡々と。「となりの街のお嬢さん」はおとなしめでレゲエ色も希薄。やっぱり「フォーク・ムード2」版の圧勝だ。ラストは敢えてオールドファッションな音色を多用した「縁切り港」

やっぱり氷山の一角なんだな、って思える束の間のランデブー。この頃の歌謡曲は、こんなもんじゃないよ。メロだけでも堂々と勝負できる曲がいっぱいある。特に女性アイドル界にはね。