黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

歌謡フリー火曜日その38: 一旦お開き

キング SKK-607

夢みる人/ギター合奏ファミリー・コンサート

発売: 1970年   

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ジャケット

A1 夢みる人Ⓐ

A2 花 (滝廉太郎)Ⓐ 🅵

A3 セレナーデ (シューベルト)Ⓑ

A4 舟唄Ⓒ

A5 久しき昔Ⓐ

A6 子守歌 (タウベルト)Ⓑ

A7 望郷Ⓐ

B1 楽しき農夫Ⓑ

B2 雪山讃歌

B3 子守歌 (フリース)Ⓑ

B4 村の娘Ⓑ

B5 旅愁

B6 故郷を離るる歌Ⓑ

 

演奏: ザ・ドリマーズ

編曲: 新堀美根子Ⓐ、新堀寛己Ⓑ、宮島寅次Ⓒ、菊地俊一Ⓓ

定価: 1,500円

 

突然ですが…

歌無歌謡ブログに多少の彩りを、ということで毎週火曜日にお送りしてまいりました「歌謡フリー火曜日」は、今回をもって一旦お開きとすることになりました。ブログの構想を開始した時は、52週分充分ネタを用意できていたのですが、ブログ開始以降もコンスタントに歌無歌謡ネタが増え続け、歌無歌謡ではないレコード以上に語るべきネタに恵まれすぎたからというのが、その最大の理由です。些細なポピュラー盤でさえ、語る価値を見出したいという個人的な気持をスポイルするのもなんなのですが、それだけ歌無歌謡が深すぎるからしょうがありません。

と言いつつ、語り損ねた14枚以上のネタに触れる機会が完全に失われたとは敢えて言いませんので、今後3ヶ月間の黄昏みゅうぢっくの行方を見守っていただければ幸いです。来週からは、火曜日も通常のテーマに基づいた歌無歌謡盤語りに専念したいと思います。

 

最後に相応しく、まったり聴けるレコードを。「日本のメロディー」と称して、童謡・唱歌の類を取り上げたレコードを何枚か紹介しましたが、なら「世界のメロディー」があっちゃいけないのか?セミクラシックと言ってしまえばおしまいですが、普通にオーケストラやソロ楽器で演奏した盤じゃなければ、別にいいじゃないですか。というわけで、おなじみ「新堀ギター音楽院」の門下生により結成された女性だけのギター・アンサンブルが奏でる、世界の愛唱歌セレクションがこれ。

ギター合奏関連のインスト盤というと、普通に売られているレコードよりも、所謂「身内音楽」に属するものの方に遥かに愛着を感じていて、中でも宮城県の某女子高ギター部が79年に行ったリサイタルの模様を記録した『龍宮城』は愛しすぎる名盤。ゲストのフルート奏者(女子ではない)を招いたバッハ曲のガチな演奏もあるが、大半はポピュラー系の曲を力を込めて演奏していて、中でも「ヘイ・ジュード」が最高すぎ。律儀なアンサンブルをより突っ走らせるドタドタしたドラムといい、エンディングでの大斉唱といい、瑞々しすぎて抱きしめたくなる(汗)。さだまさしの「天までとどけ」が演奏される中行われる、リサイタルならではのまさかのパフォーマンス(?)も聴きものだし。この前年のリサイタル盤で聴けるサンタナの「哀愁のヨーロッパ」も熱すぎる、テヘペロなプレイに何かがほとばしらずにいられなくなる(瀧汗)。まぁ、ギターや吹奏楽、さらには合唱ものより、愛しいやつは当然ありますけどね(撃沈)。

めちゃ話が逸れたけど、このレコードの響きは当然そんなもんじゃない。みっちり専門教育を受けた奏者たちの瑞々しい演奏が、メジャーならではの音できちんと記録されている。女性だけの演奏らしい優しい響きが随所に聴かれるし、B面では通常のギターに音域的改良を加えた特殊な楽器を導入して、幅広い音域でのアンサンブルが展開されている。他の楽器の音さえ幻聴しそうだ。ギターの響きって、何故ここまでにも心の奥まで揺さぶるのだろうか…木村好夫こそ全てなんて言ってられない、こういう世界に立ち戻ってみなきゃいけない。「舟唄」「望郷」旅愁も、歌謡曲よりこちらの方が、当然「初めにありき」だ。