黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日はなかにし礼さんを偲んで

CBSソニー SONL-56028

何があなたをそうさせた/昭和おんなブルース 

発売: 1971年1月

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ジャケット

A1 昭和おんなブルース (青江三奈) 🅳

A2 銀座の女 (森進一)Ⓑ 🅳

A3 愛のいたずら (内山田洋とクール・ファイブ)Ⓐ 🅱

A4 さすらい (伊東ゆかり)Ⓐ 🅱

A5 男と女の数え唄 (日吉ミミ)Ⓐ 🅲

A6 恋のぬくもり (小川知子)Ⓑ 🅱

A7 雪国の女 (本田孝)Ⓐ 🅱

B1 何があなたをそうさせた (いしだあゆみ) 🅴

B2 時は流れる (黛ジュン) 🅴

B3 花喰う蟲のサンバ (森山加代子)Ⓐ

B4 むらさき日記 (ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)Ⓐ 🅱

B5 ロダンの肖像 (弘田三枝子) 🅴

B6 チュクチュク (ジミー・オズモンド)Ⓑ 🅱

B7 愛があるなら年の差なんて (にしきのあきら)Ⓑ 🅱

 

 

演奏: 小野満とスイング・ビーバーズ/白磯哮 (トランペット)、阿部章治 (ギター)

編曲: 小川俊彦Ⓐ、外山兼治Ⓑ

定価: 1,800円

 

昨年亡くなったばかりの巨星・なかにし礼先生には、歌無歌謡ブログとしてもしっかりトリビュートしなきゃということで、その作品が4曲選ばれたこのアルバムを。言葉が聴こえてこないとはいえ、筒美京平さんや川口真さんによるメロディーを聴くだけでも胸が熱くなりますね。ここでは、大御所小野満とスイング・ビーバーズが軽妙な演奏を聴かせる。生半端な出来には終わっていないし、音質面にもこだわっていたソニーのクオリティ・コントロールのおかげで、生々しさもばっちり。クリスタル・サウンズ創設後のノリの軽さも捨てがたいのだけど、歌無歌謡界をも変革しようというこの初期の姿勢も避けて通れません。SONL-56000番台シリーズは70年3月から怒涛のリリース攻勢に入り、本作の内ジャケにも最近の5作分の広告が載せられているのだけど(SONL-56025『嘘でもいいから/時は流れる』は谷岡ヤスジをジャケットに起用!)、曲名以外の情報が記載されていなくて残念。

「花喰う蟲のサンバ」「チュクチュク」は例外としても、69年の霧を抜けて、派手な方向に向かって行った70年というムードが希薄で、いい演奏の割に選曲にパンチが足りないというイメージもあるけど、あまり気にならない。何せ英語のタイトルは本田孝推しになっているし、RCAの新人へのシンパシーだろうか(まさか40年後、この2社が統合してしまうなんて、誰が思っただろうか…)。先の2曲のドラムの走り具合に先導されたスカッとしたバンドアンサンブルは、もう少し後の曲でもっと聴いてみたいという感じがする。「CBSソニーレコード御愛好者カード」を付けてしっかり作ってある変形帯、ちゃんと残ってるものは偉いけど、レア盤と呼ぶのはちょっとね(盤の内容にもよるか)…