クラウン GW-5140
魅惑のヒット歌謡16集 女のブルース
発売: 1970年4月
A1 恋ひとすじ (森進一)Ⓐ 🅵
A2 女のブルース (藤圭子)Ⓑ 🅶
A3 恋人 (森山良子)Ⓓ 🅶
A4 恋狂い (奥村チヨ)Ⓐ 🅲
A5 白い鳥にのって (はしだのりひことシューベルツ)Ⓑ 🅱
A6 国際線待合室 (青江三奈)Ⓔ 🅳
A7 あなたならどうする (いしだあゆみ)Ⓐ 🅴
A8 帰りたい帰れない (加藤登紀子)Ⓒ
B1 白い蝶のサンバ (森山加代子)Ⓐ 🅴
B2 女の子 (メチャ&ベチャ)Ⓑ
B3 私が死んだら (弘田三枝子)Ⓓ 🅲
B4 愛の美学 (ピーター)Ⓐ 🅲
B5 生まれかわれるものならば (じゅん&ネネ)Ⓑ
B6 大阪の夜 (美川憲一)Ⓔ
B7 土曜の夜何かが起きる (黛ジュン)Ⓐ 🅳
B8 花のように (ベッツイ&クリス)Ⓒ 🅳
演奏: まぶち・ゆうじろう’68オールスターズⒶ
山下洋治と’68オールスターズⒷⒸ
いとう敏郎と’68オールスターズⒹ
あらおまさのぶと’68オールスターズⒺ
編曲: 福山峯夫ⒶⒸⒹⒺ、小杉仁三Ⓑ
定価: 1,500円
ポール・マッカートニーのビートルズ脱退宣言という、音楽史に残る転換期となった70年4月を彩った歌謡名曲集。例によってクラウンの主役級総出(ありたしんたろうとニュービートは、まだここに食い込むには新参勢力すぎた)で畳みかけてきますが、かえって安定の色があり、この激動期を伝えてくれるにはちょうどいい。様々な歌無盤が市場に溢れていたけれど、最も美味しいつまみ食いができたシリーズに違いない。それに相応しいジャケットも用意してくれてるし(汗)。
76年以降の歌無盤では「昔の名前で出ています」の人というイメージしか浮かばない(爆)小杉仁三氏だが、当時のクラウンの通常歌謡では大車輪の活躍を見せており、ここでも辛うじて4曲、福山峯夫氏の領域に食い込んでいる。重厚な「女のブルース」と比較して、フォーク系ノベルティソング「女の子」では軽いタッチ。この曲を選んだところがクラウンの意地という感じだけど、正直な話、初期パナムレーベルは興味深いリリースが多くて、アンソロジーのリリースを切望している。この曲の極一部、ジョージ・ハリスン的なコード使いが出てくるところとか、ほんとたまりませんね。「生まれかわれるものならば」は、2年後にいしだあゆみが同名の曲をリリースしており、歌無歌謡界で最も長い「タイトル被り」の例になっている。どっちかというとテイチク的なサウンドですね、これは。
あと、ウクレレとエーメンブレイクが出会う「白い鳥のように」を加えたこれら4曲を除くと、例によってこの頃のクラウン特有の場末ノリに覆われており、昭和喫茶の雰囲気が充満。やはり「土曜の夜何かが起きる」が傑出した出来。この曲はどう料理しようが、「正解」になってしまうようだ。「帰りたい帰れない」のクラシカルなムードもいいけど、個人的には加藤登紀子曲のインスト盤の極め付けは、トイ・マジック・オーケストラの「時には昔の話を」ってことになりますね(汗…これを出したのも、実はクラウン)。ユニオン盤の「知床旅情」と違った意味で、ね。