キャニオン C18R-0013
愛のエレクトーンII 江川マスミ
発売: 1979年6月
A2 白いブランコ (ビリー・バンバン)Ⓑ 🅻
A3 この広い野原いっぱい (森山良子)Ⓒ 🅷
A4 空に星があるように (荒木一郎)Ⓑ 🅳
A5 想い出の渚 (ザ・ワイルド・ワンズ)Ⓐ 🅴
A6 遠い世界に (五つの赤い風船)Ⓑ 🅳
A7 小さな日記 (フォー・セインツ)Ⓒ 🅵
A8 翼をください (赤い鳥)Ⓐ
B1 あなたの心に (中山千夏)Ⓑ 🅴
B2 誰もいない海 (トワ・エ・モア)Ⓒ 🅵
B3 この手のひらに愛を (ザ・サベージ)Ⓐ
B4 あなたのすべてを (佐々木勉)Ⓒ 🅲
B5 サルビアの花 (もとまろ)Ⓐ 🅴
B6 秋でもないのに (本田路津子)Ⓑ 🅲
B7 涙をおふき (布施明)Ⓐ 🅱
B8 今日の日はさようなら (森山良子)Ⓒ 🅲
演奏: 江川マスミ
編曲: 高田弘Ⓐ、土持城夫Ⓑ、江川マスミⒸ
定価: 1,800円
昨年4月26日取り上げた第1弾に続く、「女性が選ぶ女性のためのエレクトーン」シリーズ第2弾。曲目を見れば一目瞭然、リアルタイムでJKやJDとしてこれらの曲に親しんだ方々が30代に達したかそろそろか、という層をターゲットにしており、良き家庭生活の潤いとしての楽器演奏を推進するような、そんなハイソなタッチの1枚。確かに、いいとこのお嬢さんが「バイバイバイ…」とか口ずさみながら、せわしなく手足を動かすシュールな光景を想像させる前作に比べると、遥かにヘルシーなアルバム。しかしまぁ、実際この辺の曲にノスタルジアを感じながら、家事育児をこなしていた奥様方の姿も想像できません。ハイソな少女たちは、ずっとハイソなまま大人になっていくのですから。そんで、いけない道に足を突っ込んだりしてね。
そんな生活観を忘れて素直に聴いていると、楽器屋さんの店頭で優しいお姉さんがこの辺りの曲を弾きながら、周りを行き交う一般人たちの熱い眼差しを浴びている様だけが想像できるのです。それでいいじゃないですか。誰でも知ってる曲に素直に頷きながら、時々一緒に歌ったりして。いつか、親友の結婚式であの曲を弾いてやる、みたいな野心を抱くのは、余計なお世話ですよね。
宗内(の母体)も、数年前に近所のショッピングセンターでのハロウィンイベントで、音楽教室のデモとしてフルートとエレクトーンの先生のミニコンサートが開かれるところに同席したことがあります。突然「また逢う日まで」が演奏され、その後のMCで「この曲知ってる人いますか」との声に、ひとり嬉々として答えました。ええ、言う訳ないじゃないですか、「ひとりの悲しみ」って(爆)。
ナツメロはそれでいいのです。ここでの江川さんの演奏も、ひたすら優しく、新しい時代の風を帯びたアレンジも決して曲の邪魔をしない。「あの素晴らしい愛をもう一度」のイントロも、原曲のニュアンスを生かしながらきらびやかに再構築しているし、「想い出の渚」も最後の方に行くともう、丘サーファーで溢れる70年代末の雰囲気に転じている。「翼をください」はアクシデントでもあったのか、「鳥のように」に当たる部分だけが飛ばされている要注意アレンジだ。ちなみにこの曲は元々B面のため、通常のリアルタイム歌無歌謡盤で取り上げられたことはほとんどない。「サルビアの花」はやはりキャニオン発のせいか、もとまろ色が濃厚なアレンジで、このラインナップの中では異色。通常歌謡で活躍した二人よりも、本人によるアレンジが素直な分際立っている。
付属の譜面は、主旋律と基本的な左手パートのみ記載で、歌詞はなし。「弾いてみた」もいいけれど、他の楽器でも聴いてみたい、そんな乙女な名曲揃いですね。でもやっぱ、親友の結婚式に「サルビアの花」は御法度ですよ。