黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

今日は山口百恵さんの誕生日なので

キング SKM-1397

パールカラーにゆれて~ねえ気がついてよ

発売: 1977年

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ジャケット

A1 パールカラーにゆれて (山口百恵) 🅱

A2 ちっぽけな感傷 (山口百恵) 🅱

A3 青い果実 (山口百恵) 🅱

A4 春風のいたずら (山口百恵) 🅲

A5 ひと夏の経験 (山口百恵) 🅳

A6 横須賀ストーリー (山口百恵) 🅶

B1 ねえ気がついてよ (桜田淳子)Ⓑ 🅲

B2 十七の夏 (桜田淳子)Ⓐ 🅳

B3 花占い (桜田淳子)Ⓑ

B4 はじめての出来事 (桜田淳子)Ⓑ 🅱

B5 わたしの青い鳥 (桜田淳子)Ⓐ 🅲

B6 夏にご用心 (桜田淳子)Ⓐ 🅵

 

演奏: ニュー・サウンド・オーケストラ

編曲: 栗田俊夫Ⓐ、坂下晃Ⓑ

定価: 1,500円

 

百恵淳子、当時のトップアイドル二人の曲に特化したインストアルバム。カラオケならまだしも、需要あったんでしょうかね。ジャケットは全然ガーリーじゃないし、帯の主役達の名前も黄色地に白と、めちゃ遠慮がちに記されている程度。ただ、乙女達の歌声を何の音で置き換えているかというのには興味津々。なんてったって、『さわやかなヒット・メロディー』という超模範盤がありますしね。あのアルバムはあくまでも、自社歌手贔屓でしたけど。こちらを出していた当時のキングは、今からは想像できないけどアイドル不在期…黒木真由美が辛うじて、その領域に入っていたかという頃でしたから。何とかして乗りたかったんでしょうな。

楽曲的には、当時の最新曲と初期曲に重きを置いた選曲で、「冬の色」や「湖の決心」「ひとり歩き」あたりが抜け落ちているのが残念。但し、従来の歌無盤に入っていたのと同じ演奏を使っていないのは好感が持てる。少なくとも、横須賀ストーリー「夏にご用心」は、従来取り上げたキング盤とヴァージョンを変えていて、後者などテンポが落ちすぎて悪酔しそうな『総集!ヒット歌謡ベスト24』のヴァージョンじゃなくてよかった。アレンジャー同じなんですけど。この辺の配慮は、クラウンやソニーには出来ない芸当ですよね。

肝心の演奏は、殆どの主旋律がギターかサックスで演奏されており、特に「春風のいたずら」あたりではテナー・サックスが吠えまくり、原曲の乙女の恥じらいは何処へやらという印象。怖くなるのは聴いている方である。「花占い」のイントロで、やっとリコーダーが出てきてホッとさせるが、ソリーナの存在にやっぱり76年の音なんだなと。「はじめての出来事」のイントロも、低音部はテナー・リコーダーでオクターブ下を重ねているようだけど、多分フルート奏者の持ち替えという気がする。この曲の歌無盤を聴くと、やはり「呼び込み君No.4」にこの曲が与えた影響は大きいと思い知らされますね(爆)。「わたしの青い鳥」のイントロは、クライネソプラニーノだろうか、超高音だ。気づいてみれば、やはりリコーダーの活躍に気を取られますね(汗)。この曲は前述の「夏にご用心」のヴァージョンとは逆に、テンポ上げすぎ。主役なき乙女サウンドの演出という点では、参考にも反面教師にもなる、見逃せない1枚だ。