黄昏みゅうぢっく〜歌のない歌謡曲に愛をこめて〜

昭和40年代の日本大衆文化の重要構成要素、「歌のない歌謡曲」のレコードについて考察します。

宇崎竜童さんの誕生日は2月23日

CBSソニー SOLT-69~70 

歌謡ワイド・ワイド・スぺシャル '75~'76ベスト歌謡ヒット

発売: 1975年11月

ジャケット

A1 私鉄沿線 (野口五郎)Ⓐ 🅳→2/24

A2 湖の決心 (山口百恵)Ⓐ 🅴→2/24

A3 花のように鳥のように (郷ひろみ)Ⓐ 🅲→22/4/14

A4 ひとり歩き (桜田淳子)Ⓑ 🅳→2/24

A5 白い部屋 (沢田研二)Ⓐ 🅲→2/24

A6 哀恋記 (五木ひろし)Ⓑ 🅲→2/24

A7 哀愁のレイン・レイン (チェリッシュ)Ⓐ 🅳→2/24

A8 愛のアルバム (天地真理)Ⓑ 🅲→2/24

A9 年下の男の子 (キャンディーズ)Ⓑ 🅲

A10 我が良き友よ (かまやつひろし)Ⓑ 🅱→21/5/10

B1 22才の別れ (風)Ⓑ 🅰→21/5/10

B2 昭和枯れすすき (さくらと一郎)Ⓐ 🅷→21/11/15

B3 夏ひらく青春 (山口百恵)Ⓑ 🅴

B4 十七の夏 (桜田淳子)Ⓑ 🅵

B5 この愛のときめき (西城秀樹)Ⓐ 🅳→2/24

B6 やすらぎ (黒沢年男)Ⓒ 🅲→8/20

B7 哀しみの終るとき (野口五郎)Ⓑ 🅳→22/4/14

B8 誘われてフラメンコ (郷ひろみ)Ⓒ 🅱→8/20

B9 心のこり (細川たかし)Ⓒ 🅵→21/11/3

B10 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ (ダウン・タウン・ブギウギ・バンド) 🅳

C1 シクラメンのかほり (布施明)Ⓑ 🅲→21/5/10

C2 夢よもういちど (真木ひでと)Ⓑ 🅱

C3 夕立ちのあとで (野口五郎)Ⓐ 🅲→8/20

C4 ささやかな欲望 (山口百恵)Ⓐ 🅱→8/20

C5 天使のくちびる (桜田淳子)Ⓐ 🅲→8/20

C6 想い出まくら (小坂恭子)Ⓐ 🅲→8/20

C7 ロマンス (岩崎宏美)Ⓐ 🅳→8/20

C8 別れの接吻 (森進一)Ⓑ 🅱→8/20

C9 時の過ぎゆくままに (沢田研二)Ⓑ 🅲→8/20

C10 人恋しくて (南沙織)Ⓐ 🅳→8/20

D1 北へ帰ろう (徳久広司)Ⓐ 🅶

D2 ふたりの旅路 (五木ひろし)Ⓐ 🅲→8/20

D3 中の島ブルース (内山田洋とクール・ファイブ)Ⓐ 🅳→21/11/3

D4 面影 (嶋崎由里)Ⓐ 🅲

D5 センチメンタル (岩崎宏美)Ⓑ 🅶

D6 美しい愛のかけら (野口五郎)Ⓑ 🅵

D7 「いちご白書」をもう一度 (バンバン)Ⓑ 🅲→21/5/10

D8 その気にさせないで (キャンディーズ)Ⓐ 🅱

D9 逢えるかもしれない (郷ひろみ)Ⓑ

D10 お前に惚れた (萩原健一)Ⓐ 🅲

 

演奏: クリスタル・サウンズ

編曲: 矢野立美Ⓐ、渡辺博史Ⓑ、横内章次Ⓒ

定価: 2,600円

 

クリスタル・サウンズの魅力にどっぱまりになった『歌謡ワイドワイドスペシャル』シリーズでは3作目でラストになったレコード。例によって1枚ものからの寄せ集めで、既に紹介した盤と重なりまくっているが、ここで初紹介となる曲はどうやら75年8月新譜(SOLU-46)から持ってこられている模様。いや、「センチメンタル」は時期的にあり得ないし、他にも盤がありそうだが。依然「冬の色」や「はじめての出来事」が入っているはずの盤の情報が手許になくて、その辺まで押さえないと気が済まないのだが、『ワイドワイド』2作目(SOLT-45~46)には入っているのかな。カタログ掲載期間が極端に短くて、そのせいで悶々としてる…

何れにせよ、安心のクリスタル節で40曲、無茶突っ込みながら長旅のお供に最適。のっけから名演「湖の決心」が飛び出すし、これが入っている盤は何枚持ってようが平気。誰でも知ってるレベルの曲なのに、ヴァージョン3つ目とは淋しい「年下の男の子」は流石に慎重にこなしており、エレガントなストリングスが響く中、クリスタル名物の初々しいフルートやヴァイブが舞う。ちょっとメロディーこなしに残念な部分があるのが、穂口さん的には減点かも(汗)。「十七の夏」は3日前のコロムビア盤と似たり寄ったりで、やはりフルートが活躍している。「港のヨーコ~」はどう来るかと思いきや、各楽器のアドリブを生かしたそれほど実験的でないアレンジ。このリフのこなし方、他のどのヴァージョンよりもファイヴ・バイ・ファイヴ “Good Connection” との近似性を浮き彫りにしている。一気にアダルト色を増す2枚目では、「湖の決心」に通じるテイストのアレンジが効いた「面影」が耳をとらえる。といっても、メロトロンは使われていない(汗)が、華麗なストリングスでラブサウンド色濃厚だ。この曲はやはり、東宝スキャットヴァージョンに決定盤ととどめを刺したい。「センチメンタル」も地味なアレンジではあるが、ファンシーな音色のあしらい方に安堵感が。これもやっぱ、東芝の琴三味線ヴァージョンに愛着があるのだよね…終盤にもう一発、キャンディーズの必殺曲「その気にさせないで」が。派手なシンセをフィーチャーして、思いっきり場末のディスコモードに入っている。

『ワイドワイド』1作目の「初恋の味」を再現する曲が「哀愁のレイン・レイン」「天使のくちびる」しかないのがちょい淋しいけど。宇崎さんの作曲家としての躍進まで含む次なるトレンドの到来に向けて、桃色サンゴが手を振る様子が見えてくる2枚組だ。